泡沫の欠片

ちーすけ

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再会確保

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仕事の話は良いのか?
その仕事が決まったから前祝してんだよ…とばかりに始まった、私の尋問。
飲みの席では相応しくないんだけどなあと思いつつ、まあ、間違いなく心配かけたんだろう双子の、特にマー君の言葉に大人しく答える。
「つまりは、なんだ? オバサンがカード依存で、病気になって。オジサンがギャンブル依存症で、オバサン死んだショックで働かなくなって、そのままギャンブルに更にのめり込んで、そこまできてやっと縁を切った?」
「普通、もっと早くに縁切らない?」
「いや、だって、姉ちゃんの子供も血小板なんちゃらって病気で、生まれる前から色々あるってのに、あの人、私以上に我慢強いっていうか、ギリギリまで糞親父ウチで引き取るとかアホな事言ってたんだよ? そら、見捨てたら被害受けるの子供の方じゃん」
「それ、お前がひっかぶる理由もないだろ」
「兄貴、カエは昔から年下に甘いから、無理」
「いや、だからって、ソレで借金で、役者続けられなくなったのか?」
「あーそっちは、伯父さんの所為だね。あの人やくざの美人局に引っかかってさぁ。親戚縁者周囲郎党に事業の失敗で生活がーって泣きついた挙句に金巻き上げて、破産宣告して逃げやがったんだよね。オトンの葬式の時に出て来て、そうでもしなきゃやくざに何されるのか分からなかったって泣かれたさ。いい迷惑だよね。バイト先のコールセンターに迄督促電話かかってきてさぁ」
「お前は全然関係なくねぇか?」
「関係はないんだけど、連日連絡あったり待ち伏せされたりとかしたら、金払うことで消えてくれるからって、実際払っちゃう人も出てくるみたいだね。あれ、知ってる? 一回でも支払っちゃうと、代理納入の意志有りとか見なされて、支払い義務とか出てくるんだって。怖いよねぇ」
「怖いのはお前じゃ! なんでそんなんなってるんなら…「兄貴」」
怒りそうなマー君に、ゆっ君が苦笑い。
「親親戚まとめて大混乱中。年下の、血縁でもない相手には、金の問題で助けてって言い難いって。それも、モーちゃん結婚して子供も大変だったんなら、カエが自分で何とかしなきゃってなるの、仕方ないって」
「そんなん分かってる! 分かってるけど、だからって、連絡先も知らせずに!!」
「やくざ絡んでるんならそれも仕方ないって」
「あっ、ごめん。それはただ単に、そこまで気が回らなかっただけ。生活していくのに必死で、連絡しなきゃどうの、全く考えもしなかった」
「「カエ?」」
テヘペロを今したら、殺されかねないなぁと、酒を飲もうとしたら、涙ぐんだ駆郎君にお酒を注がれていた。
「どうしよう。駆郎君可愛い」
「いや、だって、そんな」
本気で泣いてるらしい男の子が可愛過ぎる。
「ほらほら。お姉さんが慰めてあげよう」
と腕を広げたら、涙目のまま真赤になる。
「へ? 芸能人だよね?」
「いや、だってそんな、む…」
「駆郎邪魔」
そしてなぜか、飛び込んできた長身。
「やべ。マジ気持ちイイっ」
「清牙代われ」
「すげー、なに? やべっ。言葉が死ぬ。ちんちん勃つ」
「だからマジ代われや!!」
カオスだ。
お綺麗な細すぎる芸能人様が足を折り曲げ縮こまって胸に縋り付き、それを後ろから引き剥がそうとする美青年。
そんな二人の首元掴んで涙目で「止めてよ」と泣く男の子。
「私、モテモテじゃない?」
「おっぱいがね」
「だからお前はっ!」
そう怒鳴りかけたマー君は、立ち上がって男の子3人を放り投げる。
力技か。
相変わらずだね。
「今のは空手と関係ないよね?」
「空手じゃないね。兄貴は一応師範代まで行ったけど。その他にも色々覚えたみたいだよ。若いのが集まるとやっぱり物理って必要になってくるんだよねぇ」
それぞれ目指す位置は一緒なのに、考え方針が全く違うのが集まれば、揉めるよな。
そして若く血気溢れる男の子達ともなれば、殴り合いに簡単に発展してしまう…と。
「マサさん、今のどうやった?」
「マサさん、清牙の顔だけは止めてもらってイイっすかね。仕事に差し支えるんで」
「マサさん。俺関係ないんですって」
「黙れ」
マー君ご立腹。
まあ、楽しくもない話を延々聞かされれば、そういう風にもなるよね。
「カエ」
そしてその怒りは当然、私にも降りかかる。
「お前は、女なんだから、もっと自分の事を守れ。ホイホイ、男に胸を晒すな」
「到頭、接触解除までになるとはねぇ。兄貴もしたら?」
「忠幸!」
「カエ。俺も顔パフさせて」
「別にそれぐらいなら「良くねぇよ!!」」
別に、ハグと変わらなくね?
清牙の奴は手を添えて揉みしだこうとしてきたのでアウトだけど。
「でもさぁ、このサイズに顔を埋めるってなかなか出来ないよね」
「サイズだけじゃないっす。むっちゃ柔くて」
「清牙」
あらあら、マー君ご立腹。
でも、折角お綺麗な顔で鼻の下伸ばして指をワキワキさせるのはアウト過ぎる。
「どうなってるんですかね、ソレ」
清牙のデカ過ぎて長過ぎる手が伸びてくるのを、マー君が叩き落す。
「触るな。触らせるな」
「本人嫌がってないじゃないですか」
「清牙はヤダ。なんかエロい」
「当たり前っしょ! そのおっぱいにエロが無かったら「清牙」」
くすくす笑いなが、当然の様にゆっ君は私の胸をわし掴む。
「うわっ、前より柔くなってない? てか、確実にデカくなってるし」
「忠幸!」
「え? 昔から揉み放題?」
「カエ、運動神経切れてるって言ったろ? なんでもないところで転んだりするからさ」
「ラッキースケベか」
「狙ってるんだから、ラッキーじゃないだろ」
駆郎君から珍しい突込みが入りました。
「兄貴はその度に怒ってたけどね。だから、兄貴は間違いなくラッキースケベ」
「こいつが、卑猥な格好でうろうろするからだっ!!」
「マー君言い方」
「いや、カエ。今よりちっさかったとはいえ、学校一の巨乳が、ノーブラタンクトップ短パンはダメだって」
「何、そんな美味しい思いしてんすか!? 世の男共に喧嘩売ってます? 野球してないだけの、有名漫画をエロにしてイイんっすか?」
「私の若い頃のブラジャーは本当に機能性が酷かったんだよ。長時間やってられなかったし、ウチもアレだったもんで、エアコンとかも節電した結果、ノーブラタンクトップだっただけで」
「洗濯で伸び切ってた奴、アレはヤバかったよね」
「超、そこんとこ詳しく」
「今よりカップ3つくらい小さい時だよね?」
確かに小さかったけどと指折り数えていたら、マー君によって、手を叩き落される。
「数えんな。答えるな」
「いや、ちょっと待って。普通、3つも育つ? それも今、それ以上に指折って、戻してってしてませんでしたか?」
「今は太ったし、サイズ的にはそんな変わんないだろうけど、カップは小さくなってるよ」
「だから答えるなと」
「I」
ボソリと清牙がまた余計な事言うし。
「だからカップは下がったて」
「そこまであったんだね」
「あったんすね」
「え? 本当にいるの、そんな人?」
何で、芸能人様がこんな話に飛びついてるんだろう?
「芸能人なら、Iカップなんてそこそこいるでしょうに」
「自称なら」
まあ、あるあるだよね。
寄せて上げての形を整える過程での詰め物は当然の話だろうし。
「いや、サイズどうのよりも、感触がヤバい」
「姐さん! 最近女に振られたんでぜひ慰めを!!」
「ええ? そうなの? じゃあ、俺も揉んどこうかな」
「舞人、忠幸」
マー君が低く唸ってます。
本気のお怒りですが、まあ、初志貫徹はしなければなるまい。
私は日本酒に飽きたので焼酎ロックを作りつつ、駆郎君を指先手招いてしゃがませる。
意味が解ってないのか、酔いが回ってきているのか、ほんのり赤い駆郎君は大人しく膝をついて正座。
それも可愛いなと思いつつ頭を抱き込んだところで声が上がった。
「うっ」
「あああああっ!!!」
「なんで、駆郎? 俺は!?」
「駆郎代われ! それは俺のだ!」
「いや、清牙。お前のじゃないからね。アレは俺達の幼馴染。所有権は俺達にあるから」
「カエ! お前酔うにしても、慎みをだな!!」
私、そんなに酔ってないけどとか言ったら、また煩そう。
ただ単に、最初に駆郎君呼んだのに、清牙が割り込んできたせいで、なあなあになっちゃったから初志貫徹通しただけなのにと駆郎君の頭を解放したら、なぜか崩れ落ちた。
「あれ、駆郎君?」
「カエ。本当に、純情少年に何やってんの? そう言うのは大人でやらないと」
「いや、俺も大人なんで」
「お前まだ18だろうが!」
「成人だろ」
「投票権の為だけで、酒もたばこも禁止されてる時点で偉そうな」
マー君?
貴方も酔ってないですか?
「つーか、これ、表にバレるとまずいよね?」
日本でも有名なロックバンド未成年飲酒とか。
「カエは出さないだろ?」
ゆっ君の言葉の通りではあるが、ここにある色々がある時点で言い訳のしようもなく?
「心配しなくても、ここは俺の店。居酒屋部屋でってなればバレる可能性上がるけど、カフェで元々酒置いてないからね。この上にシャワーもあるし、酒も抜けるし」
用意周到。
って言うか、そこまでして飲みたかったのか?
「今度のフェス、俺らがメインなんで」
清牙の拗ねたような言葉に、マー君が笑う。
「こいつらも嫌がらせだのなんだので苦労してきてる。アレの流感もあってさ、ホント、皆きつかった。それでもやっとって云うか、これからなんだし、派手に前祝しときたいだろ。終わったら終わったでまたやるだろうけど、そん時はこっちじゃなくて東京だからな」
「こっちでやるんだから、こっちの美味いもん食わせときたいじゃん」
そう云うところは双子らしいんだけどね。
「じゃあ、もっと大きいところでやれば良かったじゃない」
「それだと酒がねぇ。俺は良いんですけど」
ああ、舞人君は成人してんのね。
「こいつら喧嘩っ早いから」
「「清牙だけです」」
まあ、そんな感じだよね。
「清牙が暴れだしたら結局一緒になって暴れてる奴らが、偉そうに言うな」
「駆郎君もなの?」
「こいつ、こう見えて、容赦ないぞ。まあ、自分から喧嘩売ったりはしねぇけど」
それはそんな感じではあるんだけどさぁ。
「まあ、清牙が喧嘩売るのは、大抵理由が納得出来るんだが、やり過ぎるからな。だからそんな奴や乗り気じゃないのを外して、揉めそうにない奴をと思ったんだけど、明日ライブだとか移動とかで、今日は、此奴らだけになったんだよ」
「何より、多人数になると、良く分からん関係者増えるから」
どこから聞きつけて来たのか知らない、自称芸能人とかその卵とか、まあ、色々、大変だよねぇ。
そして関係者が増えるとどうしても、未成年はイイ子にしてなきゃいけなくて…って事ですかね。
「芸能人様も大変。ごめんね。関係ないのが割り込んだ上に、なんか変な感じにしちゃって」
「いや、そのおっぱいに埋めさせてくれるだけで」
「舞人」
「だって俺だけ、堪能してない!」
「俺も触ってねえよ!!」
「昔は触ってたんでしょ?」
「触ったんじゃない! 当たったんだ! それも、此奴の不注意で合って、俺は悪くない!」
言い分は分かるんだけど、
「それじゃあ私、痴女じゃね?」
「そのおっぱいの痴女なら大歓迎です」
「え? 痴女だよ? そんなにいいもんじゃないって」
「は? あの? カエさん、痴女に会ったことあるんですか?」
「うん。私、痴漢より痴女が先だったから」
「どんな先?」
「姐さん、アンタホント、際物?」
「清牙? 蹴っ飛ばすよ?」
「カエに蹴り飛ばされる成人男子なんて、太り過ぎてベッドから出られない人ぐらいだって」
「ゆっ君、じっくり飲もうか?」
頭来た。
潰してやる。
そんな感じで、久々に会った幼馴染からの流れで知り合った芸能人様との飲み会はまだまだ続くのであった、まる。
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