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続編2 手放してしまった公爵令息はもう一度恋をする
18話 使者殿たってのご希望
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面会に応じるので、先に殿下のお部屋へ行って頂く様にと、ダリア嬢に案内をお願いし、部屋のソファーへ腰掛けて頂いた所に、僕らも駆け付けた。
「お客様をご案内致しました。」
こんな予想外の事案でも、淡々とこなして下さる彼女に心強く感じるが、その背後から、例のお客が席から立ち上がり、パッと此方へ駆け寄って来た。
「面会をお許し頂きありがとうございます、ロレンツォ殿下!……それに。やっと会えた!久しぶりだね、シリル!」
「えっ!君は…っ」
親し気に声を掛けて来るその者の行動に、殿下は軽く目を丸め、サフィルは若干顔を顰める。
僕はと言えば、ただただビックリして……。
「ジェラルド?!……どうして君が?何故此処に?」
目の前に居たのは、僕のエウリルス学院時代の同級生で、趣味で時折顔を出していた魔術同好会のメンバーでもある、ジェラルド・シャンデル公爵令息……その人だった。
「あれ?さっき気付かなかった?アデリート王に謁見を申し出てたの、俺なんだよ?」
「え?!そうだっだの?!」
「うん、そう!ユリウス様の名代で来たんだよ。……ごめんね、本当は君の義父のクレイン公爵が希望されたんだけど、俺も来てみたかったからさぁ。今回は譲ってもらったんだ。」
「そう……だったんだ。」
以前と変わらず無邪気に笑う彼に、僕は呆気に取られて頷いた。
その親しい様子に、殿下とジーノ、テオに……特にサフィルから、訝しい視線を向けられる。
「あ、その。紹介するね。彼はジェラルド・シャンデル公子。僕と同じエウリルス学院の同級生で、時々顔を出してた同じ同好会の知り合いなんだよ。」
「知り合いだなんて冷たいな~。俺達友達でしょう?」
ねぇ?と悪戯っぽく視線を向けて来る彼には、何の悪気も無いのだろう。
でも、僕の横から刺さる刺さる……サフィルの視線が。
「僕なんか友達って言っちゃって良いのかな?」
「もちろん!そうでないと困るよ!そのつもりで此処まで来たんだからね。」
「……どういう事?」
(怒んないで、サフィル。彼とは本当にただの同級生でしかないんだから!)
楽しそうに話すジェラルドとは対照的に、どんどん機嫌を悪化させているサフィルの向けて来る視線にどぎまぎしながら、話半分に聞いていると。
「もう!忘れたなんて言わないでよ?!あの時の約束、果たしてもらおうと思って!」
ちょっと怒った様なフリをした後、にっこにこの笑顔を向けて来られて。
サフィルの機嫌が最高潮に悪くなってる気がする。
彼は気付かないのか、この僕の横から発せられる負のオーラに。
それに、口を開けば開く程、僕との親密さを示されて、留まる事を知らない。
殿下はと言えば、この様子を面白そうにニヤニヤして見ているし。
このぉ…!
「約束?えっと……。」
「もー!酷いや!したじゃん!俺と話が合いそうだって!アデル第2王子様……なかなかこちらに来られる機会が無さそうだから、こっちから来てみたんだ。是非紹介してよ。楽しみにしてるんだから。」
「……あ、あぁ!そう言えばしたね、そんな話。分かった、こっちに滞在中に紹介するよ。……殿下、宜しいですか?」
そうだった。
そう言えば昔、そんな話をした。
救世の巫子達の事や、フローレンシア王国のベルナルト王太子殿下の呪いの件で色々調べてた際に、魔術同好会で会ったジェラルドと話した時に、彼の好きな物にとことんのめり込む感じが、なんとなく初めてお会いしたアデル殿下と似ていて、ポロッと口にしたんだったっけ。
すっかり忘れてたよ。
趣味の分野が似ている二人は、きっと気が合うと思って、あの時は気軽に口にしてしまっていたが。
彼は思った以上に乗り気だった様だ。
僕は了解を取るべく殿下に尋ねると、このやり取りを面白がってちょっと油断していた殿下は、急に話を振られてパッと表情を戻した。
「え?あぁ、そういう事なら、後で晩餐会の時に親父…王に直接言えば?」
「えぇ?!でも……あの…言っちゃあ何ですが、アデル様の御名前を口に出したら、国王陛下はご機嫌を損ねてしまわれるんじゃぁ……。」
さらりと答える殿下に、ジェラルドは言いづらそうにこちらを伺い見ながら返すが。
殿下は再度同じ、実に些細な事の様に返答する。
「いや、シリルの友人の貴殿相手なら問題無いだろう。……アデル兄と話が合いそうって事は、貴殿も絵画がお好きとか?」
「あ、まぁ…絵画も好きは好きですが、俺はどちらかと言うと古代史の方でして……。」
「あぁ、なるほど。そっち方面もかなり読み込んでるからなぁ~アデル兄は。」
「あぁ…でも、実は。アデル殿下はエウリルスの絵画もお気に召しておられるらしいと伺ったので、お眼鏡にかかれるかは分かりませんが、何点かお納め頂きたく持参したんです。」
遠慮がちに話すジェラルドだったが、本当に第2王子殿下とお会いするのを楽しみにしていたらしい。
高価な手土産まで持参したとは、相当な期待値の高さだ。
「……そうだな。貴殿の気持ちに他意が無いのはよく分かったが、王やヴァレン兄上……ヴァレンティーノ王太子に、先に目通しをさせてもらってもよいだろうか?アデル兄上は……以前の失脚の所為で、難しい立場であるのは変わりないんだ。先日、末妹の誕生日会には参内を許されたりして、かなり改善してきているとは言え、未だに基本は修道院から出られないし。変に勘ぐられて、要らぬ疑念を周囲に持たれたくない。」
「もちろんです。俺の所為でご迷惑はお掛けしたくありません。俺もアデル殿下に是非見て頂きたくて、持参しては来たのですが……正直、どうお渡しするのがいいのか迷っておりました。」
「貴殿さえ良ければだが……王太子への献上品の一つとして紛れ込ませてくれないか?それで、ヴァレン兄上からアデル兄上に下賜する形で手にして頂ければ、誰も文句も邪推する余地もないだろう。それこそ、エウリルスの絵画なんてあれば、ヴァレン兄はアデル兄が絶対好みそうだと言って、プレゼントしたがるに違いない。」
「……へぇ。俺はそれで全然構いませんが……お二人はそんなに仲がよろしいのですね?」
ロレンツォ殿下の提案に、ジェラルドは賛同しつつも驚いていた。
彼が驚くのも分かるな。
僕もこちらに来るまで、昔の事件の表面的な部分しか知らなかったから、王太子の座を巡って激しく敵対した上での失脚だったのだろうと思っていた。
昔はそういう部分もあったかもしれない。
けれど、アデル殿下は潔く身を引いた事で、今日、互いに良好な関係を築かれている。
政治には介入しない事で、文化面でこの国のより一層の発展を願い、日夜精進なされている。
その努力を知っておられるから、ヴァレンティーノ殿下も、アデル殿下を出来るだけ大事に尊重なされるのだろう。
何より、元は気の合う兄弟だ。
身近で王太子殿下を支えられているロレンツォ殿下だからこそ、よくお分かりなのだろう。
ジェラルドが持参した手土産はその様にして対応する事となり。
夜の晩餐では、同じエウリルス学院の同窓として、ロレンツォ殿下だけでなく僕とサフィルも同席し、ヴァレンティーノ王太子殿下の傍には彼の側近のセルラト公爵もいらっしゃった。
なんでも、彼も実はエウリルス学院に留学経験があったらしい。
彼は王立ヴェネトリア学園普通科を卒業後、エウリルス学院の専学科へ編入されたらしい。
僕とは逆のパターンだ。
そんな話でも盛り上がりながら、そもそもの目的であるユリウス王太子の婚姻式へのお知らせと、出席の案内をジェラルドは話してくれたのだが、その婚姻式の招待客とは。
同窓で友人のロレンツォ殿下とその妻ソフィア様、同じ王太子のお立場であるヴァレンティーノ王太子夫妻にと、案内状が渡された。
そして、僕とサフィルにも同じく渡してくれた。
「あれからもう十数年になるんですね。王太子殿下、ロレンツォ殿下も。向こうでのお話、ご帰国されたら是非教えて下さいね。」
「あぁ。その際は留守をよろしくな、ブラス。」
「えぇ、お任せくださいませ。」
にこやかに話す王太子殿下とセルラト公爵の様子を見やってから、国王陛下はジェラルドの方へお声を掛けられる。
「そなたがクレイン卿と友人とは驚いた。親しかったのか?」
「同級生でしたし、同好会でもたまに顔を合わせて話す機会もありましたが……救世の巫子様方には敵いません。ただ、学生時代、このアデリートに巫子様方と訪れた際、修道院の方にも出向いてお会い出来たアデル第2王子様と、私は気が合いそうだとクレイン卿が話をしてくれて……。聞けば殿下は古代史にも造詣が深くていらっしゃるとか。あの……国王陛下。滞在中、殿下にお目通りをお願いしても宜しいでしょうか?」
「ほう……そなたはそういう方面の話が好きなのか。なら案内はヴァレンティーノに任せよう。滞在中は好きになさるがよい。」
「はい……!誠にありがとうございます!なかなか深い話にまで語り合える者は少なくて……。アデリート国王陛下の深いご慈悲には、感謝の念にたえません。」
王から色よい返事を頂けたジェラルドは、目を一層キラキラさせて喜んでいる。
「ふ…。使者殿に喜んでもらえて何よりだ……。ところで、エウリルス王はどうだ?変わりないか。」
「陛下ですか?はい。お変わりございません。先にお渡しさせて頂いた親書にて、恐らくエウリルス国王陛下からアデリート国王陛下へのご挨拶もしたためられている事と存じます。それと……。陛下からお受けした際に、『アデリート王へよろしくと伝えておいて欲しい。変わらぬ友情をこれまでも、これからも…』と仰っておいででした。」
「“変わらぬ友情を”……か。そうか。そうだな……。」
ジェラルドが預かって来た言伝に、王は嬉しそうな……どことなく寂しそうな。
昔の郷愁が胸をよぎったのだろうか。
どことなく愁いを帯びた目で笑むその顔は、僕が前に陛下とお酒をお供させて頂いた時と似ていたのだった。
「お客様をご案内致しました。」
こんな予想外の事案でも、淡々とこなして下さる彼女に心強く感じるが、その背後から、例のお客が席から立ち上がり、パッと此方へ駆け寄って来た。
「面会をお許し頂きありがとうございます、ロレンツォ殿下!……それに。やっと会えた!久しぶりだね、シリル!」
「えっ!君は…っ」
親し気に声を掛けて来るその者の行動に、殿下は軽く目を丸め、サフィルは若干顔を顰める。
僕はと言えば、ただただビックリして……。
「ジェラルド?!……どうして君が?何故此処に?」
目の前に居たのは、僕のエウリルス学院時代の同級生で、趣味で時折顔を出していた魔術同好会のメンバーでもある、ジェラルド・シャンデル公爵令息……その人だった。
「あれ?さっき気付かなかった?アデリート王に謁見を申し出てたの、俺なんだよ?」
「え?!そうだっだの?!」
「うん、そう!ユリウス様の名代で来たんだよ。……ごめんね、本当は君の義父のクレイン公爵が希望されたんだけど、俺も来てみたかったからさぁ。今回は譲ってもらったんだ。」
「そう……だったんだ。」
以前と変わらず無邪気に笑う彼に、僕は呆気に取られて頷いた。
その親しい様子に、殿下とジーノ、テオに……特にサフィルから、訝しい視線を向けられる。
「あ、その。紹介するね。彼はジェラルド・シャンデル公子。僕と同じエウリルス学院の同級生で、時々顔を出してた同じ同好会の知り合いなんだよ。」
「知り合いだなんて冷たいな~。俺達友達でしょう?」
ねぇ?と悪戯っぽく視線を向けて来る彼には、何の悪気も無いのだろう。
でも、僕の横から刺さる刺さる……サフィルの視線が。
「僕なんか友達って言っちゃって良いのかな?」
「もちろん!そうでないと困るよ!そのつもりで此処まで来たんだからね。」
「……どういう事?」
(怒んないで、サフィル。彼とは本当にただの同級生でしかないんだから!)
楽しそうに話すジェラルドとは対照的に、どんどん機嫌を悪化させているサフィルの向けて来る視線にどぎまぎしながら、話半分に聞いていると。
「もう!忘れたなんて言わないでよ?!あの時の約束、果たしてもらおうと思って!」
ちょっと怒った様なフリをした後、にっこにこの笑顔を向けて来られて。
サフィルの機嫌が最高潮に悪くなってる気がする。
彼は気付かないのか、この僕の横から発せられる負のオーラに。
それに、口を開けば開く程、僕との親密さを示されて、留まる事を知らない。
殿下はと言えば、この様子を面白そうにニヤニヤして見ているし。
このぉ…!
「約束?えっと……。」
「もー!酷いや!したじゃん!俺と話が合いそうだって!アデル第2王子様……なかなかこちらに来られる機会が無さそうだから、こっちから来てみたんだ。是非紹介してよ。楽しみにしてるんだから。」
「……あ、あぁ!そう言えばしたね、そんな話。分かった、こっちに滞在中に紹介するよ。……殿下、宜しいですか?」
そうだった。
そう言えば昔、そんな話をした。
救世の巫子達の事や、フローレンシア王国のベルナルト王太子殿下の呪いの件で色々調べてた際に、魔術同好会で会ったジェラルドと話した時に、彼の好きな物にとことんのめり込む感じが、なんとなく初めてお会いしたアデル殿下と似ていて、ポロッと口にしたんだったっけ。
すっかり忘れてたよ。
趣味の分野が似ている二人は、きっと気が合うと思って、あの時は気軽に口にしてしまっていたが。
彼は思った以上に乗り気だった様だ。
僕は了解を取るべく殿下に尋ねると、このやり取りを面白がってちょっと油断していた殿下は、急に話を振られてパッと表情を戻した。
「え?あぁ、そういう事なら、後で晩餐会の時に親父…王に直接言えば?」
「えぇ?!でも……あの…言っちゃあ何ですが、アデル様の御名前を口に出したら、国王陛下はご機嫌を損ねてしまわれるんじゃぁ……。」
さらりと答える殿下に、ジェラルドは言いづらそうにこちらを伺い見ながら返すが。
殿下は再度同じ、実に些細な事の様に返答する。
「いや、シリルの友人の貴殿相手なら問題無いだろう。……アデル兄と話が合いそうって事は、貴殿も絵画がお好きとか?」
「あ、まぁ…絵画も好きは好きですが、俺はどちらかと言うと古代史の方でして……。」
「あぁ、なるほど。そっち方面もかなり読み込んでるからなぁ~アデル兄は。」
「あぁ…でも、実は。アデル殿下はエウリルスの絵画もお気に召しておられるらしいと伺ったので、お眼鏡にかかれるかは分かりませんが、何点かお納め頂きたく持参したんです。」
遠慮がちに話すジェラルドだったが、本当に第2王子殿下とお会いするのを楽しみにしていたらしい。
高価な手土産まで持参したとは、相当な期待値の高さだ。
「……そうだな。貴殿の気持ちに他意が無いのはよく分かったが、王やヴァレン兄上……ヴァレンティーノ王太子に、先に目通しをさせてもらってもよいだろうか?アデル兄上は……以前の失脚の所為で、難しい立場であるのは変わりないんだ。先日、末妹の誕生日会には参内を許されたりして、かなり改善してきているとは言え、未だに基本は修道院から出られないし。変に勘ぐられて、要らぬ疑念を周囲に持たれたくない。」
「もちろんです。俺の所為でご迷惑はお掛けしたくありません。俺もアデル殿下に是非見て頂きたくて、持参しては来たのですが……正直、どうお渡しするのがいいのか迷っておりました。」
「貴殿さえ良ければだが……王太子への献上品の一つとして紛れ込ませてくれないか?それで、ヴァレン兄上からアデル兄上に下賜する形で手にして頂ければ、誰も文句も邪推する余地もないだろう。それこそ、エウリルスの絵画なんてあれば、ヴァレン兄はアデル兄が絶対好みそうだと言って、プレゼントしたがるに違いない。」
「……へぇ。俺はそれで全然構いませんが……お二人はそんなに仲がよろしいのですね?」
ロレンツォ殿下の提案に、ジェラルドは賛同しつつも驚いていた。
彼が驚くのも分かるな。
僕もこちらに来るまで、昔の事件の表面的な部分しか知らなかったから、王太子の座を巡って激しく敵対した上での失脚だったのだろうと思っていた。
昔はそういう部分もあったかもしれない。
けれど、アデル殿下は潔く身を引いた事で、今日、互いに良好な関係を築かれている。
政治には介入しない事で、文化面でこの国のより一層の発展を願い、日夜精進なされている。
その努力を知っておられるから、ヴァレンティーノ殿下も、アデル殿下を出来るだけ大事に尊重なされるのだろう。
何より、元は気の合う兄弟だ。
身近で王太子殿下を支えられているロレンツォ殿下だからこそ、よくお分かりなのだろう。
ジェラルドが持参した手土産はその様にして対応する事となり。
夜の晩餐では、同じエウリルス学院の同窓として、ロレンツォ殿下だけでなく僕とサフィルも同席し、ヴァレンティーノ王太子殿下の傍には彼の側近のセルラト公爵もいらっしゃった。
なんでも、彼も実はエウリルス学院に留学経験があったらしい。
彼は王立ヴェネトリア学園普通科を卒業後、エウリルス学院の専学科へ編入されたらしい。
僕とは逆のパターンだ。
そんな話でも盛り上がりながら、そもそもの目的であるユリウス王太子の婚姻式へのお知らせと、出席の案内をジェラルドは話してくれたのだが、その婚姻式の招待客とは。
同窓で友人のロレンツォ殿下とその妻ソフィア様、同じ王太子のお立場であるヴァレンティーノ王太子夫妻にと、案内状が渡された。
そして、僕とサフィルにも同じく渡してくれた。
「あれからもう十数年になるんですね。王太子殿下、ロレンツォ殿下も。向こうでのお話、ご帰国されたら是非教えて下さいね。」
「あぁ。その際は留守をよろしくな、ブラス。」
「えぇ、お任せくださいませ。」
にこやかに話す王太子殿下とセルラト公爵の様子を見やってから、国王陛下はジェラルドの方へお声を掛けられる。
「そなたがクレイン卿と友人とは驚いた。親しかったのか?」
「同級生でしたし、同好会でもたまに顔を合わせて話す機会もありましたが……救世の巫子様方には敵いません。ただ、学生時代、このアデリートに巫子様方と訪れた際、修道院の方にも出向いてお会い出来たアデル第2王子様と、私は気が合いそうだとクレイン卿が話をしてくれて……。聞けば殿下は古代史にも造詣が深くていらっしゃるとか。あの……国王陛下。滞在中、殿下にお目通りをお願いしても宜しいでしょうか?」
「ほう……そなたはそういう方面の話が好きなのか。なら案内はヴァレンティーノに任せよう。滞在中は好きになさるがよい。」
「はい……!誠にありがとうございます!なかなか深い話にまで語り合える者は少なくて……。アデリート国王陛下の深いご慈悲には、感謝の念にたえません。」
王から色よい返事を頂けたジェラルドは、目を一層キラキラさせて喜んでいる。
「ふ…。使者殿に喜んでもらえて何よりだ……。ところで、エウリルス王はどうだ?変わりないか。」
「陛下ですか?はい。お変わりございません。先にお渡しさせて頂いた親書にて、恐らくエウリルス国王陛下からアデリート国王陛下へのご挨拶もしたためられている事と存じます。それと……。陛下からお受けした際に、『アデリート王へよろしくと伝えておいて欲しい。変わらぬ友情をこれまでも、これからも…』と仰っておいででした。」
「“変わらぬ友情を”……か。そうか。そうだな……。」
ジェラルドが預かって来た言伝に、王は嬉しそうな……どことなく寂しそうな。
昔の郷愁が胸をよぎったのだろうか。
どことなく愁いを帯びた目で笑むその顔は、僕が前に陛下とお酒をお供させて頂いた時と似ていたのだった。
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