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第5章
169話 また会えるのを楽しみに
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また甘い雰囲気になりかけた時、部屋の扉の外から、コンコンと音が聞こえて。
僕は体をビクリと反応させた。
それはサフィルも同じで。
僕はギクシャクしながら返事をした。
「な、なに。」
「シリル様、失礼しますね。」
そう言って入って来たのはテオだ。
……レイラじゃなくて良かった。
彼女だったら、絶対今の僕の顔を見て、揶揄って来る筈だから。
そういった勘だけはいいから。
「もうすぐ皆様がご帰宅なさる頃合いだと思いますが。」
アルベリーニ卿はどうしますか?
この公爵家の皆様や、巫子様方とお会いになりますか?
恐らく、お茶をご一緒する事になりますけど。
テオは言外にそう言っていた。
でも、声音は柔らかなのに、表情は険しい……というか、また負のオーラを漂わせながら笑っていた。
お前に会える度胸があるなら会ってみろよ。
……どちらかと言えば、言外に滲ませているのは、こっちか。
もー、サフィルに対する当たりの強さをどうにかしてくれ。
僕はヒヤヒヤしながら笑うテオを見やっていたが。
すると、サフィルが席を立った。
「でしたら私はそろそろ失礼致します。殿下の方も戻られていると思いますし。」
サフィルは遠慮がちにそう言った。
そして、じろりと睨んでいるテオの前を通り過ぎながら、振り返り。
「お大事にして下さいね。また学院でお会いできるのを楽しみにしています。」
そう言って、彼は去って行った。
レイラに玄関の方へ促される彼を見送ってから。
僕は、まだ部屋の外を睨んでいるテオに声を掛けた。
「テオ。」
するとテオは僕の方を振り返り、さっきとは別人の様な優しい笑顔を見せてくれた。
「卿とお話は出来ましたか?」
「あ、うん。その……ありがとう、テオ。」
僕の気持ちを知ってくれているから、サフィルと話せるように気を遣ってくれたテオに、僕は礼を述べると。
「俺は何も。アイツってば全然音沙汰無かったから、これ以上無視する様ならこっちから乗り込んで行ってやろうかと思っていた所ですよ。」
「フフッ。仕方ないよ、年末年始は挨拶回りとかで忙しいだろうから。」
「……良かったですね。」
「うん。本当にありがとう。」
そう礼を言って満面の笑みを見せた僕に、テオは眉根を垂れ下げながら笑みを返してくれた。
僕は体をビクリと反応させた。
それはサフィルも同じで。
僕はギクシャクしながら返事をした。
「な、なに。」
「シリル様、失礼しますね。」
そう言って入って来たのはテオだ。
……レイラじゃなくて良かった。
彼女だったら、絶対今の僕の顔を見て、揶揄って来る筈だから。
そういった勘だけはいいから。
「もうすぐ皆様がご帰宅なさる頃合いだと思いますが。」
アルベリーニ卿はどうしますか?
この公爵家の皆様や、巫子様方とお会いになりますか?
恐らく、お茶をご一緒する事になりますけど。
テオは言外にそう言っていた。
でも、声音は柔らかなのに、表情は険しい……というか、また負のオーラを漂わせながら笑っていた。
お前に会える度胸があるなら会ってみろよ。
……どちらかと言えば、言外に滲ませているのは、こっちか。
もー、サフィルに対する当たりの強さをどうにかしてくれ。
僕はヒヤヒヤしながら笑うテオを見やっていたが。
すると、サフィルが席を立った。
「でしたら私はそろそろ失礼致します。殿下の方も戻られていると思いますし。」
サフィルは遠慮がちにそう言った。
そして、じろりと睨んでいるテオの前を通り過ぎながら、振り返り。
「お大事にして下さいね。また学院でお会いできるのを楽しみにしています。」
そう言って、彼は去って行った。
レイラに玄関の方へ促される彼を見送ってから。
僕は、まだ部屋の外を睨んでいるテオに声を掛けた。
「テオ。」
するとテオは僕の方を振り返り、さっきとは別人の様な優しい笑顔を見せてくれた。
「卿とお話は出来ましたか?」
「あ、うん。その……ありがとう、テオ。」
僕の気持ちを知ってくれているから、サフィルと話せるように気を遣ってくれたテオに、僕は礼を述べると。
「俺は何も。アイツってば全然音沙汰無かったから、これ以上無視する様ならこっちから乗り込んで行ってやろうかと思っていた所ですよ。」
「フフッ。仕方ないよ、年末年始は挨拶回りとかで忙しいだろうから。」
「……良かったですね。」
「うん。本当にありがとう。」
そう礼を言って満面の笑みを見せた僕に、テオは眉根を垂れ下げながら笑みを返してくれた。
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