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第47話 新生ファーコミン始動

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 本章から登場人物視点の1人称でお送りいたします。

 ◆タカヤの視点

 全ての疑問が解けた俺は、やるべき事を理解した。
 そしてそれを成し遂げる為の最短ルートも調べた。
 俺が成し遂げる事。それはこの世界を支配して俺のハーレム国家を作り上げる事だ!
 人類の存続? 未来世界で人類が絶滅した謎? そんなモンどうでもいい。
 俺はこの世界に呼ばれて、アリシアの望みどおりファーコミンを取り戻した。
 その対価としてアリシアは俺に全てを捧げるといっていた訳だし、カミーラも俺のハーレムに加わる事を求めている。クーリエだってそうだ。彼女はピーシェンを守る為に俺のハーレムに加わる事を望んだ。
 いいじゃないか。お互いの利害の一致。
 この世界は現実の世界を使った究極の体感ゲームだが、彼女達人工生命はちゃんと感情を持った命だ。
 だったら何も問題ない。
 もし彼女達がプログラムどおりに動くだけの肉人形だったら俺は世界で一人だけの人間という絶望にいつか死を選んだかもしれない。
 けど、彼女達人工生命と俺は子供を作る事が出来る。
 だったらなにも絶望する事はない。
 だから俺はこの未来世界に俺の国を作る。どうせ元の時代に戻るあてもないのだし、仮に戻れたとしてもこんな面白い世界を捨てる理由なんて何処にもない。
 だって美少女達に囲まれてゲームの世界で暮らす事が出来るんだぜ?
 しかも今の俺はこの世界の効率的な攻略法を知っている。
 多少時間はかかるが世界征服も夢じゃない。
 とはいえ、簡単に世界征服ができるかというとそうでもない。
 さっきも言ったがこの世界の住人である人工生命は本物の命だ。
 彼女達は生まれた時に役割りに沿った本能を与えられる。
 分かりやすい例で言うとピーシェンのゴルゴス王だ。
 あいつは貴族キャラにランダムで生まれる支配欲に満ちた愚王の本能を与えられた王だった。
 他にもカミーラの家族を優先する本能、アリシアの国民を愛する本能などがある。
 ただしこの本能は人工生命の遺伝子由来のモノなので、人間の血が濃い人工生命はこの限りではない。
 また国や地方によってもこの本能は影響してくる。この辺りは南国の人間はおっとりしているとか生存が厳しい土地の人達は団結力があるとかいったのと同じ感じだ。
 人工生命をより人間らしくする為に与えられた土地ごとの個性なんだろう。
 勿論その個性は人工生命のステータスにも影響している。
 バランスの取れたステータスの国、特定の能力に優れた国なども人工生命ならではの偏りだ。
 俺が所属するファーコミンはバランス型の国民。ピーシェンは攻撃寄りの国民だな。

 そしてスキルだが、コレは各国家ごとに分かれていて、その国家の全人口の5%にスキルが与えられると攻略サイトには書かれていた。
 スキルは生まれた時に完全にランダムで与えられるらしいが、ダンジョンなどで見つかる秘宝を使えば生まれる前に強力なスキルを与えられるらしい。
 で、そのシステムを動かしているのが目に見えない程小さいナノマシンだ。
 このゲームで発生する常識外れの自称は全てナノマシンが行っていた。
 アリシア達騎士の変身や、植物の異常な成長などだ。
 ナノマシン、ゲームやアニメではお約束の未来技術だが、まさか自分がそれを体験する事になるとは驚きだ。
 そしてそのナノマシンが俺の目的のひとつになる。

 今、この世界、正しくは地球の8割以上がゲームの舞台として利用されている。
 なんと言うか、そこまで土地を使っても問題ないまでに人類が減っていた事に驚きだが。
 ともあれ、その残り2割弱の土地にこの世界を管理する施設が存在する。
 このゲームを管理する施設もそのどこかにある訳だ。
 今後の目的としては、管理施設がある禁断の地まで行って、この世界の支配権を確立する事が第一目的 だ。
 本当なら攻略サイトでゲームのデータ改造に関する情報がないか知りたかったんだが、政府が絡んでる一大プロジェクトらしく、とても俺の手には負えそうも無かった。
だからメインシステムのある施設に直接出向いて、マスターシステムからデータをいじくるのが目的だ。
 ただ、そこにたどり着くまでに複数の国と戦わなけりゃならないから、その為にも戦力を増強しなければならない。
 戦力増強の手段としては二つ、ファーコミンとピーシェンのダンジョンに潜って秘宝を手に入れる事。 
 もう一つは他国を侵略して戦力を手に入れる事。
 ファーコミンの隣国はピーシェンとガキューブ、それにメ・ガドラン。
 そのうちピーシェンは俺が支配したから、残るはガキューブとメ・ガドランの二つだ。
 ダンジョンに潜ると暫くの間、戦力が動かせなくなる。しかもあそこはスキルの【緊急避難】が仕えないからうかつな戦力を送る訳には行かない。
 そう言う意味では先代国王がウルザを送り出したのは正解と言える。
 と、なると残るは他国の侵略だ。
 俺としてはガキューブの侵略を考えている。
 理由は三つ。
 ガキューブはピーシェンと組んでファーコミンを襲った国だから。
 二つ目として、メ・ガドランは王が危篤でそれ所じゃない。
 メ・ガドランを襲っている間にガキューブに襲われたら2国を同時に相手しなければいけないからだ。
 最後の理由だが、これが一番重要、ガキューブは俺が目指す管理施設がある方角だからだ。
 だから俺はガキューブを侵略する事にする。
 これで目的も定まった事だし、ゲームに戻るとするか。

 ◆

 再びスタート画面に戻ってくる。
 この光景は現実の光景ではなく、ナノマシンが見せている脳内の映像だ。
 現実の世界では俺はコンマ1秒も動いてはいない。
 食事と共に体内に入ったナノマシンが感覚を加速させて情報を流し込んでいたのだ。
 それはスタート画面でロードを選ぶ。
 すると目の前にポップアップが表示された。

『前回のプレイは強制終了されました。直後から再開しますか?』

 あー、エロが解禁されていないのにエロを強行しようとしたのが原因だっけか。
 はいを選択するとスタート画面が消え、目の前に頬を染めたクーリエが現われる。
 突然現われたクーリエにドキリとさせられるが、実際にはほとんど時間は経っていないんだよな。

「どうかされたのですか?」

 スタート画面に戻った事で冷静さを取り戻した俺の変化を訝しがるクーリエ。
 今まではこれ以上を行おうとするとシステムの警告に邪魔されていたものだが、これからは違う。
 俺はクーリエを抱きしめてその唇に触れる。
 俺から求められた事にクーリエはすこし震えたが、直ぐにクーリエも俺の背中に手を回してきた。

 ピーシェンの女は情熱的に求められるのに弱い。
 それは攻略サイトに書かれていたエロ情報だった。
 俺は攻略情報に書かれていたピーシェンの女の弱点を徹底的に攻めて行く。
 見る見る間にクーリエの表情が蕩けていき、遂には腰砕けになって俺にもたれかかってきた。

「それでは、いっただっきま~す!!」

 今夜、俺の異世界ハーレム生活の第一歩が漸く始まるのであった。
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