お嬢様が尊すぎて辛いのですが!?〜悲劇の悪役令嬢なお嬢様をお救いしようと思います!〜

ウミ

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碌なことがないとはまさにこの事

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「乗馬でございますか」

「ええ、サマンサももちろん来てくれるでしょう?」

 お嬢様と皇太子の婚約者となってはじめてのお出かけだそう。

 いえね、行きたい。行きたいですとも。天使が馬に乗っている姿を見ないわけにはいかないでしょう? だけどもねーー

「皇太子様とご一緒で……」

「ええ、親交を深めるためらしいわ! わたくしも皇族の方の敷地にある森には入ったことはないのだけれど、それはそれは神秘的で素晴らしいらしいわ!」

「ソウナノデスネ」

 注目すべき点はそこではないのだ、お嬢様! 婚約してすぐに皇族の所有する森に招待される? 普通はありえない! 今回行く森は神聖な場所とされているらしいのだ(と原作では書いてあった)! 

 しかも乗馬って……

「お嬢様、サマンサは馬に乗れません……」

「えっ! そうなのね! 任せてちょうだい‼︎」

 いや待て、お嬢様の笑みが不穏だぞ? これは、また良くないことを考えていらっしゃるのでは……いえ、お嬢様に忠誠を誓ったこと私がそんな邪推をするなど!

「サマンサ、安心してね。わたくし、頑張るわ!」

 あ、ダメだ。嫌な予感しかしないよ、これ。

「お、お嬢様……」

「なぁに?」

 っはぁ~! 天使。可愛すぎる。

「イエ、ナンデモゴザイマセン」

 サマンサはお嬢様の忠実な下僕。サマンサはお嬢様の忠実な下僕。サマンサはお嬢様の忠実な下僕!!!!

 よしっ、何とかなる!

「サマンサ、楽しみね! わたくし、お友達と初めてのピクニックだわ‼︎」

 ーーお友達。

「……そうでございますね」

 うむ、無理だ。私に純粋無垢なお嬢様を汚すことなどできない!

 とまぁ、こんな感じで私は皇族とそれに許された者しか入れないという森に向かったのですが……

「サマンサーーーー! 行ってくるわね!」

「お気をつけて‼︎」

 騎士が護衛につき、皇太子様と一緒に乗ったお嬢様が楽しそうに手を振っていらっしゃいます。え、危なくない? 皇太子もアレでしょ? お嬢様と同年代なんでしょ? 危ないよ。危ないよね? 

「やっぱり騎士様と一緒に乗るよう……」

「無粋な真似はやめてくださいますか」

 ルベルト、無粋ではないぞ。危険を防ごうと! もし、もし、お嬢様が皇太子に襲われたら? いや、いかん! 傷ついて涙するお嬢様を見るわけには。

「だから、落ち着いてください。騎士がいるのにイリージェ様が危険に晒されることはありませんよ」

「ではお聞きしますが皇太子様がお嬢様に手を出さないと確信できますか?」

「あーー…………出来ますよ」

 おい、その微妙な間はなんだ!

「本当ですか?」

「……あぁ」

「本当の本当に?」

「っしつこい!」

 あ、逃げた。……でも、あの純粋無垢で天使なお嬢様に手を出せるほど皇太子もまだ・・堕ちてはないと思う。

「はあ、ほら、行くきますよ」

「え? どこに?」

 私はここでお嬢様が無事に戻ってくるのを待っとくよ?

「……バカなのか? それとも本当のアホか?」

「アホとは何ですか、アホとは」

「バカもありますよ」

 口の悪い時期宰相様にバカとは言われたくないね。まだ15才というところだから、公私混同してしまうのだろう。やれやれ、私とは大違いだ。

「……全部聞こえていますよ? 随分と上から目線なのですね?」

「え"? ほほ、そんなことはございませんわ。さっきのはその、冗談でございます~」

 本当に冗談だもん! 過去に戻って自分の口を塞いでおきたい。このお怒りのルベルトサマをどうしろというのだ。悪いのは私。わかってる。くそう、過去の私よ、恨むぞ!

「そんなにあなたが賢いというのなら、向こうでお話ししましょう。貴女の方が賢い・・なら俺を楽しませることも出来ますよね?」

 いや、無理だってそんなの。まがりなりにも、時期宰相様よ? 原作では一度読んだ本は全て覚えていると書いてあったネ。むりネ。むりむり。

「さ、行きましょう」

「あ……」

 むりむりむりむり。怖いわこの子。速攻で開きかけた口を閉じました。

「何か?」

「いえー? 行きます行きます。行きますとも!」

 クソっ! チキンの私を笑ったやつ、覚えてろよ! こんな怖い笑みを浮かべるやつに逆らえるわけないって!!!!

「今、俺の悪口を……」

「いいえ? そんなことひとつも思っておりませんわ! ほほほ……」

「そうですか、では行きましょう」

「……ハイ」
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