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第一部 名も無き島の小さな勇者とお姫様
第47話 永遠と呼ばれる町
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「何、ここ……?」
「遺跡……みたいだね。島にも似たようなのがあるんだ」
二人だけで買い物に行くのを許されたのは永遠の町パラティーノ。
でも残念ながら、わたしの記憶にパラティーノはない。
記憶にない以上は転移で飛べないのが原則ですけど、あくまで原則ですもの。
抜け道があるのよね。
魔石に転移情報を記録するとでも言えば、分かりやすいかしら?
ヘイムダルを脅し……いえ、丁寧にお願いしてパラティーノに行ける魔石を譲ってもらったのよ。
でも、苔むした年代物の石造りの廃屋としか思えない場所が転移先とは思わなかったですけど。
「人気のない寂しい場所みたいだから、転移先としては正解かしら?」
「目立つとまずいの?」
「ん……レオ君。よぉ~く考えて。いきなり人が何もないところから、現れたらどう思うかしら?」
「ビックリするね」
「そうでしょ。だから、なるべく人気のないところに出るのが一番なの」
その後にレオが「もし人がいたら、どうするの?」と聞かなかったのは何となく、察したのでしょうね。
え? 別に消したりはしないわよ?
そんなことをしたら、レオに嫌われるし、わたしもそういう直接的なやり方は嫌いなの。
遺跡らしい廃墟を出て、パラティーノの目抜き通りを歩く。
勿論、しっかりと手を繋いで、指まで絡めた恋人の繋ぎ方をするのを忘れずに!
それでもルテティアの町を歩いた時は仲の良い姉と弟にしか、見えなかったのかしら?
今はどう見えているのかが気になるわ。
レオの背が伸びて、男らしくなったんですもの。
(あくまでリリアナの個人的な感想であり、以下略)
「前に行ったところと大分、違うんだね」
「そうね。あの町も古都だけど、このパラティーノほどではないの。その違いかしら?」
「そうなんだ」
こと町としての活気という点においてはルテティアの方に分があるわね。
人口も多いし、商業都市としてもあちらの方が栄えているのよね。
ただ、人柄という点で見れば、パラティーノの圧勝だわ。
花の町は悪く言えば、お高く留まっているのよ。
世界の中心が自分達と信じて疑っていない人種と言えば、いいのかしら?
パラティーノはそれに比べると大らかでお人好し。
ルテティアからは田舎者なんて、馬鹿にされているらしいけれど永遠の町はファッションの町でもあるのよ?
だからこそ、パラティーノに来たんですもの。
「エ・ウンポ・カーロはパ・シェル・ブークとは毛色が違う百貨店なの」
「エ……ウン……舌を噛みそうだね」
もう噛んでるわね。
買い取ってもらわないといけなかったのとレオの武具を探す必要性があったから、ルテティアのパ・シェル・ブーク百貨店を選んだのよね。
でも、今回は純粋に買い物を楽しみたいの。
あれも買いたいし、これも買いたいって、色々ある。
何と言っても新しい下着と水着を見たいわ♪
最近、ちょっときつくなってきたから……失礼ね!
ウエストではないわよ?
「見えてきたわ」
「へえ。やっぱり、大きな建物なんだね」
「そうね。百貨店だからじゃない?」
「リーナはたまに大雑把になるよね」
「細かいことを気にしないの。さぁ、行きましょ♪」
「ち、ちょっとリーナ!」
また、戸惑っているレオを引っ張るように店内に入るとパ・シェル・ブークとはまた違うどことなく、お洒落な雰囲気が漂うエントランスに二人して、息を吞んでしまった。
「きれいね」
「リーナの方がきれいだよ」
「ん? 何か、言った?」
「何も……」
周囲の喧騒でレオが何か、呟いたのが聞き取れなかったけど、彼にしては珍しく、わたしから、視線を逸らした。
変なの。
まるで照れているみたい。
レオが照れた?
まさか……と思って、彼の顔を見るといつものように大きく、口を開けて、快活な笑顔を見せてくれた。
さっきのはやはり、気のせいなのよね?
「遺跡……みたいだね。島にも似たようなのがあるんだ」
二人だけで買い物に行くのを許されたのは永遠の町パラティーノ。
でも残念ながら、わたしの記憶にパラティーノはない。
記憶にない以上は転移で飛べないのが原則ですけど、あくまで原則ですもの。
抜け道があるのよね。
魔石に転移情報を記録するとでも言えば、分かりやすいかしら?
ヘイムダルを脅し……いえ、丁寧にお願いしてパラティーノに行ける魔石を譲ってもらったのよ。
でも、苔むした年代物の石造りの廃屋としか思えない場所が転移先とは思わなかったですけど。
「人気のない寂しい場所みたいだから、転移先としては正解かしら?」
「目立つとまずいの?」
「ん……レオ君。よぉ~く考えて。いきなり人が何もないところから、現れたらどう思うかしら?」
「ビックリするね」
「そうでしょ。だから、なるべく人気のないところに出るのが一番なの」
その後にレオが「もし人がいたら、どうするの?」と聞かなかったのは何となく、察したのでしょうね。
え? 別に消したりはしないわよ?
そんなことをしたら、レオに嫌われるし、わたしもそういう直接的なやり方は嫌いなの。
遺跡らしい廃墟を出て、パラティーノの目抜き通りを歩く。
勿論、しっかりと手を繋いで、指まで絡めた恋人の繋ぎ方をするのを忘れずに!
それでもルテティアの町を歩いた時は仲の良い姉と弟にしか、見えなかったのかしら?
今はどう見えているのかが気になるわ。
レオの背が伸びて、男らしくなったんですもの。
(あくまでリリアナの個人的な感想であり、以下略)
「前に行ったところと大分、違うんだね」
「そうね。あの町も古都だけど、このパラティーノほどではないの。その違いかしら?」
「そうなんだ」
こと町としての活気という点においてはルテティアの方に分があるわね。
人口も多いし、商業都市としてもあちらの方が栄えているのよね。
ただ、人柄という点で見れば、パラティーノの圧勝だわ。
花の町は悪く言えば、お高く留まっているのよ。
世界の中心が自分達と信じて疑っていない人種と言えば、いいのかしら?
パラティーノはそれに比べると大らかでお人好し。
ルテティアからは田舎者なんて、馬鹿にされているらしいけれど永遠の町はファッションの町でもあるのよ?
だからこそ、パラティーノに来たんですもの。
「エ・ウンポ・カーロはパ・シェル・ブークとは毛色が違う百貨店なの」
「エ……ウン……舌を噛みそうだね」
もう噛んでるわね。
買い取ってもらわないといけなかったのとレオの武具を探す必要性があったから、ルテティアのパ・シェル・ブーク百貨店を選んだのよね。
でも、今回は純粋に買い物を楽しみたいの。
あれも買いたいし、これも買いたいって、色々ある。
何と言っても新しい下着と水着を見たいわ♪
最近、ちょっときつくなってきたから……失礼ね!
ウエストではないわよ?
「見えてきたわ」
「へえ。やっぱり、大きな建物なんだね」
「そうね。百貨店だからじゃない?」
「リーナはたまに大雑把になるよね」
「細かいことを気にしないの。さぁ、行きましょ♪」
「ち、ちょっとリーナ!」
また、戸惑っているレオを引っ張るように店内に入るとパ・シェル・ブークとはまた違うどことなく、お洒落な雰囲気が漂うエントランスに二人して、息を吞んでしまった。
「きれいね」
「リーナの方がきれいだよ」
「ん? 何か、言った?」
「何も……」
周囲の喧騒でレオが何か、呟いたのが聞き取れなかったけど、彼にしては珍しく、わたしから、視線を逸らした。
変なの。
まるで照れているみたい。
レオが照れた?
まさか……と思って、彼の顔を見るといつものように大きく、口を開けて、快活な笑顔を見せてくれた。
さっきのはやはり、気のせいなのよね?
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