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岩沢和文
16、→良い子は来いよ←
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「良い子は来いよ」
今朝、学校から派遣されてきたという不登校の復学支援する小太りな職員の男性が今しがた、おいらに背を向けその言葉を吐き捨てて帰っていった。
おいらの名前は岩沢和文。 東京の下町生まれ、下町育ち、地元の二流私立高校に籍を置いている。
入学以来、学校に行ったことは一度もない。
おいらは大学認定試験を受験するつもりなので、不登校でもその後の進路に別段支障は問題はないと割り切って今を生きている。
只、支援員の男性からおいらはMSDという病気の疑いがるということで、大学進学の前に診断と通院を薦められているのは厄介なことだ。
*
籍を置くだけの高校には小学校からの唯一の親友、池田圭が通っている。
だが、彼とは今年、別のクラスになってしまっているので、部活動に興味のないおいらは、学校に行く意義を未だに見いだせないでいる。
*
おいらが部屋を出るのは、深夜にコンビニに行く時と週数回、海釣りに行く時だけだ。
その時は大きめのマスクと帽子で醜い容姿を覆い隠して家を出る。
高校受験に失敗したの時からおいらの体重は10キロほど増えているのではないかと思う程、暴飲暴食のせいで身体はずっしりと重くなった。
鏡を見るのは正直、辛い。
「……さぁてと。今週の説教も無事、終わったし今日は天気がいいから釣りにでも行こう!」
おいらは脂ぎった髪を掻き上げ、小学校卒業まで夢中で応援していた地元野球チーム獅子,S のイニシャルが付いた野球帽を被った。
そして顔を覆うような大きなマスクを耳に掛ける。
首には愛用の蒼いタオルを巻きつけるのがおいらのいつものお出掛けスタイルだ。 そして締めに三段腹につけたポシェットに貴重品を入れる。
続けて左手には昨年末、亡くなった祖父から譲り受けた釣竿。
あと、古びた赤い折り畳みイスを脇に抱えると母のいるリビングのソファーの後ろを無言で通り過ぎ、玄関のノブに手を掛けた。
玄関横の生臭いクーラーボックスを肩に掛けると準備完了だ。
おいらは周りに誰もいないのを確認してそっと門扉を開けた。
「今日は何が釣れるかなぁ~」
おいらは小さな独り言を呟くと、蒼い空を見上げ、目的地へと小走りで駆け出しで行く事にした。
今朝、学校から派遣されてきたという不登校の復学支援する小太りな職員の男性が今しがた、おいらに背を向けその言葉を吐き捨てて帰っていった。
おいらの名前は岩沢和文。 東京の下町生まれ、下町育ち、地元の二流私立高校に籍を置いている。
入学以来、学校に行ったことは一度もない。
おいらは大学認定試験を受験するつもりなので、不登校でもその後の進路に別段支障は問題はないと割り切って今を生きている。
只、支援員の男性からおいらはMSDという病気の疑いがるということで、大学進学の前に診断と通院を薦められているのは厄介なことだ。
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籍を置くだけの高校には小学校からの唯一の親友、池田圭が通っている。
だが、彼とは今年、別のクラスになってしまっているので、部活動に興味のないおいらは、学校に行く意義を未だに見いだせないでいる。
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おいらが部屋を出るのは、深夜にコンビニに行く時と週数回、海釣りに行く時だけだ。
その時は大きめのマスクと帽子で醜い容姿を覆い隠して家を出る。
高校受験に失敗したの時からおいらの体重は10キロほど増えているのではないかと思う程、暴飲暴食のせいで身体はずっしりと重くなった。
鏡を見るのは正直、辛い。
「……さぁてと。今週の説教も無事、終わったし今日は天気がいいから釣りにでも行こう!」
おいらは脂ぎった髪を掻き上げ、小学校卒業まで夢中で応援していた地元野球チーム獅子,S のイニシャルが付いた野球帽を被った。
そして顔を覆うような大きなマスクを耳に掛ける。
首には愛用の蒼いタオルを巻きつけるのがおいらのいつものお出掛けスタイルだ。 そして締めに三段腹につけたポシェットに貴重品を入れる。
続けて左手には昨年末、亡くなった祖父から譲り受けた釣竿。
あと、古びた赤い折り畳みイスを脇に抱えると母のいるリビングのソファーの後ろを無言で通り過ぎ、玄関のノブに手を掛けた。
玄関横の生臭いクーラーボックスを肩に掛けると準備完了だ。
おいらは周りに誰もいないのを確認してそっと門扉を開けた。
「今日は何が釣れるかなぁ~」
おいらは小さな独り言を呟くと、蒼い空を見上げ、目的地へと小走りで駆け出しで行く事にした。
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