君の瞳は月夜に輝く

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幕開け

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「…リュークさんの部屋…?」



 思いがけない目的地に胸騒ぎは止むどころかむしろひどくなるばかりで、僕は思わず扉に手をかけていた。


「…り、リューク、さん…?いますか…?……はっ…。」





 ぐちゃぐちゃになった部屋を目の当たりにし、声が出なくなる。


「りゅ、リュークさん…?リュークさん!リュークさん!?返事してください!リュークさん!!!」


 リュークさんを探し部屋の中を歩き回る。ベッドの下、クローゼットの中、倒れた本棚の裏、どこを探してもその姿は見つからない。その時、カーテンをはためかせ、開かれたままの窓が目に入る。



「間に合わなかっ、た…?僕、…。」

 その瞬間体中の力が抜け、その場に座り込んでしまう。なんでかは分からない、けれど『また、間に合わなかった。』という言葉ばかりが頭を駆け巡る。


「アル!何をしてるんだ!?こんなところ、で…。」後ろを振り向くと、部屋の入口にお兄ちゃんとシンとリーン、ソーン君が立っていた。全員部屋の有様に驚いているのか硬直していた。

「お兄ちゃん、どうしよう…僕、リュークさんが…!」
「…シンとリーン、危ないからアルを外に出してそばを離れるな。おい、ソーン、俺と何か残っていないか探すぞ。」そう、鋭く言い放ってずかずかと部屋の中に入り、ソーン君もそれに続いて入ってくる。通りすがりに、
「アル、一応防御魔術かけておくよ。これでひとまずは安心だと思うけど、2人のそばを絶対にはなれないでね。」
と言い、僕に魔術をかけていった。







 シンとリーンに連れられて部屋の外に出る。依然動悸が激しく頭痛までしてくる始末だ。

 ……どうしよう、僕、今ものすごく怖い…。どうしよう体が震えてる…。怖い…。

「アル、一旦座りましょう。落ち着いて、深呼吸して。私を見て、真似しよう。吸って…吐いて…吸って…そうそう…。」リーンの声に合わせて何とか呼吸をする。

「落ち着いたかしら。ゆっくりでいいから、私たちに何があったか教えてくれる?」
「…何が…?な、なに、なにが…。…分からない、なんか、誰かに呼ばれたような気がして、それで、それで、気付いたらここにいて、でも名前呼んでもリュークさんがいなくて……。どうしよう、リュークさん、さらわれちゃった…!」そう口に出した途端、再びパニックに陥る。

「アル!?ちょっと、大丈夫?落ち着て、深呼吸!!」
「お、俺先生呼んでくる!」

「その必要はない。」
「シャーマール先生!?」
「これは、どういう状況かな…?」
「エドガー先生!!」
「アルス君はどうしたの?」
「それが、パニックになっちゃったみたいで…。」
「ふむふむ…。アルス君!聞こえているかい?アルス君ー?アルス君!!……あらら、聞こえてないみたいだ…。仕方ない、あんまり使いたくないんだけど…ちょっと眠っていようか…。」

 そこで、エドガー先生は僕に向って何かをつぶやき、僕はそのまま眠ってしまった。

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