君の瞳は月夜に輝く

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幕開け

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「おかえりー。」テストが終わって戻ると、待っていたのはお兄ちゃんではなくメルロス殿下であった。
「殿下!?何でここに?」
「当たり前だろ、俺も闘技会出るんだから。」あ、そうか。隣を見るとカルロ殿下が立っていた。こうやって二人並ぶと似てるな…。ん、待てよ…、ということはやっぱり、カルロ殿下も出られるのかな…。

「それで?テストはどうだった?」
「あ、それが…。実は、何も覚えてなくて…。」

 リュークさんと会った後、かろうじてお兄ちゃんに出会えたのは覚えているんだけど、以降の記憶がないんだよね…。なんていうか、いつの間にか終了の合図がかかっていた感じ?


「緊張してたのか?まぁ、悪くはなかったと思うがな。ていうか、お前あんなに魔術使えたんだな。てっきり全く使えないのかと思ってたわ。」
「そうですね…。って、僕魔術使ってたんですか!?」
「そこも、覚えてないのかよ。どんだけ緊張してたんだよ。」笑いながら僕の肩をたたいてくる殿下。

 魔術は全く使えないわけではない。ただ、本当に少ししか使えないし、使ったところで僕の魔力量では役に立たないから今まで生きてきてほとんど使ったことがない。でも、測定テストで使えていたのか…。不思議だな…。

 そんなことをしていると、131番の出場者、つまりはお兄ちゃんを呼ぶアナウンスが流れる。

「お、そろそろアランの番か…。お前も見に行くだろ、急ごうぜ。」と、メルロス殿下に手を引かれ、僕たちは観客席へと急いだ。


「俺、アランの戦うところ初めて見るかもな…。」
「僕もです。」
「僕は何回か見たことあるけどね。」いつの間にか隣に立っていたカルロ殿下が言う。

 いつものごとく審査員が旗を揚げてテストが始まる。


「…すごいや…。」

 お兄ちゃんは、試合開始の合図とともに光属性の魔術を使い剣を作り上げ、それを使って人形の攻撃をかわしつつ反撃をしていた。その身のこなしはもちろん剣さばきもすごく僕はしばらくお兄ちゃんに見とれていた。

「すごいな…。俺、初めて魔剣ってやつを見たぞ…。さすがルーナ=シューベルトの生まれ変わりと言われているだけあるな…。」
 メルロス殿下の言う通り、光る剣を使いながら戦うお兄ちゃんの姿はさながら伝説や昔話で出てくる大おばあ様のようだった。
「まぁ、僕は見慣れているけどね。それにしてもあいつ、弟いるからって、気合入りすぎでしょ…。」


 テストが終わったお兄ちゃんと合流をし、カルロ殿下とメルロス殿下に別れを告げ、再度受付に向かう。
「本日はお疲れさまでした。どの部門に分けられるかは後日お知らせいたします。その際闘技会に必要な書類をいくつか共に送付するので大会までに目を通しておいてください。それでは、良い一日を~。」そう言って、これからの予定が書かれた紙をもらい、ぼくたちは会場を出る。

 が、出ようとした瞬間、誰かが僕の目の間に立ちはだかる。顔はすごくかっこよくて、さわやかを体現しているようなんだけど、いかんせん無表情でこちらを見下ろしているからとても怖い。ていうか、この人どこかで見たことあるような…?
 そんなことを考えている、お兄ちゃんが間に入る。

「またフライングですか、リリーシュ殿下…。」……リリーシュ殿下…。リリーシュ殿下!?リリーシュってあの!?この国の第一王子じゃないか!…いわれてみればどことなくカルロ殿下とかメルロス殿下に似ているような…?
「………今回は、偶々だ……。」
「…そうですか…。忘れないでくださいね、あなたのために時間を作ったんです。くれぐれも約束を破らないように…。」
 え、待ってお兄ちゃん今、この国の王子、しかも王位継承権第一位の人と喋ってるんだよね…。なんで、こんなに強気にいってるの…?しかもなんでちょっと上から…?

「それでは、失礼します。」
「あ、ちょっと…。」
混乱している僕をよそにお兄ちゃんは僕の手を引っ張りその場を離れる。最後リリーシュ殿下に呼び止められた気がしたが、すでに遠く離れてしまっていた。
 



 いろいろと聞きたいことはあったが、どうやらそれを聞けるような雰囲気ではなかったため僕はおとなしく馬車に乗り込む。…一体、リリーシュ殿下はお兄ちゃんに何をしたんだろう…。
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