18 / 22
第18話 隣室での会話 後編 side妹
しおりを挟む
###
※後編の次に終編があります。
###
「私も二人に質問があります!」
自分の立てた完璧な作戦を、私は早速実行することにしました。
「えっと、優成君の妹の優菜ちゃんだよね!何かな!」
「は、はい……!何でも聞いてください……!」
いつの間にかお母さんと仲良くなっている杏優さんと莉子さんは、すっかり緊張が解けた様子でそう言ってきました。
――いつの間にお母さんと仲良くなったんですか。
――ま、まあ、お母さんと彼女たちの仲が良いほどこの作戦の成功率は上がるので問題ないですが!
私はそう、誰に向けかわからない言葉を呟やいてしまいました。
「杏優さんと莉子さんは、お兄ちゃんと音楽活動を始めたって言ってましたが、二人はお兄ちゃんに釣り合ってるんですか?」
「えっと……」
「そ、それは……」
私の言葉に二人は図星のような顔をしました。――いけます!
そう思った私はお母さんに視線を送りつつ話を続けます。
「お兄ちゃんはだれが見てもわかる通り完璧です!容姿も性格も成績も!」
「――それに対して二人は?お兄ちゃんの足を引っ張っているんじゃないですか?」
「別に私は、二人がお兄ちゃんと活動することに反対しているわけではありません。ただ私は、お兄ちゃんの活動を応援しているので、二人がお兄ちゃんに相応しいか確認したいんです!」
私はそう言って二人を見つめます。
――もちろん本心を伝えるわけにはいかないので言葉を濁します。
すると――
「それもそうねぇ……。確かに優ちゃんが凄くても、一緒に活動しているメンバーが足を引っ張ったら困るわね……」
――とお母さんが私の言葉に乗ってくれました。
……これで彼女たちの逃げ場は無くなりました。私の作戦通りです!
「――ということなので! 二人がお兄ちゃんと活動するのに相応しい力量があるのか証明してもらいます!」
そう言ってから私は、初めに莉子さんに視線を送ります。
「まずは莉子さんからお願いします!莉子さんは作曲などを担当すると聞きました!」
「う、うん!楽器やってたから。」
「では、実際に作曲したものを聞かせてください!……既にある程度曲ができていることはお兄ちゃんに聞いています!」
「わ、わかった!少し待って!」
莉子さんがそう返事をして作成した曲のファイルをスマホで開く間、私は勝ちを確信していました。――お兄ちゃんたちが音楽活動を始めたのは今日が最初です。いくら才能があったとしても、この短い時間でいい曲など作れるはずがありません!
――つまり、初めから私の掌の上だったということです!
「――準備できました!……じゃあ、今から再生します!」
私が心の中で勝ちを確信していると、準備ができた莉子さんが、そう言って曲を再生し始めました。そして――
「……」
「……」
「……」
「……」
――私だけでなくお母さんまでもが、その曲に聞き入ってしまいました。
「――以上です。……どうだったかな?この曲自信作なんだよね!」
――おかしいです。本当にこの曲を一日で作ったんですか……?
――それに、こんなにいい曲だとは思ってませんでした。
――まさか他の人が作った曲を流してる?――――いや、そんなことしたら絶対にばれますね。
それに、もしそんなことをすれば、私が作戦を立てるまでもなくお兄ちゃんと活動できなくなります。
――どうしよう……。完全に予想外です……。これでは作戦が……。
――い、いいえ!まだです! お兄ちゃんの音楽活動はMVを作ると言ってました!それもアニメーションの!
私は焦りましたが、何も莉子さんだけがメンバーではない、ということを思い出しました。――そうです。もう一人います!
――なら!……いくら曲が良くてもグラフィックが悪ければ、お兄ちゃんの足を引っ張ります!ここは、杏優さんに方向転換しましょう!
そう考えた私は、莉子さんにお礼を言った後、杏優さんに視線を向けました。
「――杏優さんは絵を担当すると聞きました!」
「は、はい……!!」
「では、杏優さんが描いた絵を見せてください!……莉子さん同様に、お兄ちゃんの妹である私が、お兄ちゃんとの活動に相応しい力量か判断します!」
「う、うん……!! わ、わかりました……!!」
そう言って杏優さんは、緊張した様子でスマホを開き画像ファイルを探し始めました。
――莉子さんは予想外でしたが、さすがに杏優さんまでそんなはずはないでしょう……。
――大丈夫です。私の作戦はまだ失敗したわけではありません……。
「……じゅ、準備できました……! ど、どうぞ……!」
私がそう考えていると、杏優さんが、画像を表示させたスマホを渡してくれました。
そしてその画面には――
「……」
「……」
「……」
「……」
――凄い、としか言いようのないイラストがありました。
もちろん他の人のイラストを表示している可能性は、莉子さんと同様の理由であり得ないでしょう。
莉子さんの曲を聴いたときは、ただ漠然と、凄いということしかわかりませんでしたが、
イラストの場合は、目に見えるのではっきりとわかりました。
――このレベルのイラストを描けるとなると、イラストレーターとして生活していけるんじゃないでしょうか……?
その絵を見た私は、自然とそう思ってしまいました。――それにこのイラストの画風。これって何処かで――――
「っ!!……も、もしかして……!」
画風を見て既視感を覚えた私は、すぐさまSwitterを開き、フォローしている沢山のイラストレーターのイラストを確認し始めました。
――そしてその中に、杏優さんが見せてくれたイラストと同じ画風のイラストレーターがいました。
――アカウント名は「Ayu」、フォロワーは30万人でした。……名前がAyu。そして杏優さん。
――もしかして……。
「……あ、あの!杏優さんってもしかしてイラストレーターのAyuさんですか……?!」
自分の導き出した答えに「あり得ない」と否定しつつ、そう質問をしてしまいました。
すると――
「は、はい……!!一応……私がAyuです……!」
――まさかの本人でした。
「わ、私!Ayuさんのファンです!……宜しければサインください!」
気が付くと、私は反射的にそう言っていました。
「そ、そうだったんですか……?うれしいです。――サインですね。いいですよ。」
――杏優さんはそう言って嬉しそうにサインをしてくれました。
「あ、ありがとうございます!」
「いえいえ……!こちらこそ嬉しかったです……!」
――斯くして、私の作戦はあっけなく失敗したのでした。
※後編の次に終編があります。
###
「私も二人に質問があります!」
自分の立てた完璧な作戦を、私は早速実行することにしました。
「えっと、優成君の妹の優菜ちゃんだよね!何かな!」
「は、はい……!何でも聞いてください……!」
いつの間にかお母さんと仲良くなっている杏優さんと莉子さんは、すっかり緊張が解けた様子でそう言ってきました。
――いつの間にお母さんと仲良くなったんですか。
――ま、まあ、お母さんと彼女たちの仲が良いほどこの作戦の成功率は上がるので問題ないですが!
私はそう、誰に向けかわからない言葉を呟やいてしまいました。
「杏優さんと莉子さんは、お兄ちゃんと音楽活動を始めたって言ってましたが、二人はお兄ちゃんに釣り合ってるんですか?」
「えっと……」
「そ、それは……」
私の言葉に二人は図星のような顔をしました。――いけます!
そう思った私はお母さんに視線を送りつつ話を続けます。
「お兄ちゃんはだれが見てもわかる通り完璧です!容姿も性格も成績も!」
「――それに対して二人は?お兄ちゃんの足を引っ張っているんじゃないですか?」
「別に私は、二人がお兄ちゃんと活動することに反対しているわけではありません。ただ私は、お兄ちゃんの活動を応援しているので、二人がお兄ちゃんに相応しいか確認したいんです!」
私はそう言って二人を見つめます。
――もちろん本心を伝えるわけにはいかないので言葉を濁します。
すると――
「それもそうねぇ……。確かに優ちゃんが凄くても、一緒に活動しているメンバーが足を引っ張ったら困るわね……」
――とお母さんが私の言葉に乗ってくれました。
……これで彼女たちの逃げ場は無くなりました。私の作戦通りです!
「――ということなので! 二人がお兄ちゃんと活動するのに相応しい力量があるのか証明してもらいます!」
そう言ってから私は、初めに莉子さんに視線を送ります。
「まずは莉子さんからお願いします!莉子さんは作曲などを担当すると聞きました!」
「う、うん!楽器やってたから。」
「では、実際に作曲したものを聞かせてください!……既にある程度曲ができていることはお兄ちゃんに聞いています!」
「わ、わかった!少し待って!」
莉子さんがそう返事をして作成した曲のファイルをスマホで開く間、私は勝ちを確信していました。――お兄ちゃんたちが音楽活動を始めたのは今日が最初です。いくら才能があったとしても、この短い時間でいい曲など作れるはずがありません!
――つまり、初めから私の掌の上だったということです!
「――準備できました!……じゃあ、今から再生します!」
私が心の中で勝ちを確信していると、準備ができた莉子さんが、そう言って曲を再生し始めました。そして――
「……」
「……」
「……」
「……」
――私だけでなくお母さんまでもが、その曲に聞き入ってしまいました。
「――以上です。……どうだったかな?この曲自信作なんだよね!」
――おかしいです。本当にこの曲を一日で作ったんですか……?
――それに、こんなにいい曲だとは思ってませんでした。
――まさか他の人が作った曲を流してる?――――いや、そんなことしたら絶対にばれますね。
それに、もしそんなことをすれば、私が作戦を立てるまでもなくお兄ちゃんと活動できなくなります。
――どうしよう……。完全に予想外です……。これでは作戦が……。
――い、いいえ!まだです! お兄ちゃんの音楽活動はMVを作ると言ってました!それもアニメーションの!
私は焦りましたが、何も莉子さんだけがメンバーではない、ということを思い出しました。――そうです。もう一人います!
――なら!……いくら曲が良くてもグラフィックが悪ければ、お兄ちゃんの足を引っ張ります!ここは、杏優さんに方向転換しましょう!
そう考えた私は、莉子さんにお礼を言った後、杏優さんに視線を向けました。
「――杏優さんは絵を担当すると聞きました!」
「は、はい……!!」
「では、杏優さんが描いた絵を見せてください!……莉子さん同様に、お兄ちゃんの妹である私が、お兄ちゃんとの活動に相応しい力量か判断します!」
「う、うん……!! わ、わかりました……!!」
そう言って杏優さんは、緊張した様子でスマホを開き画像ファイルを探し始めました。
――莉子さんは予想外でしたが、さすがに杏優さんまでそんなはずはないでしょう……。
――大丈夫です。私の作戦はまだ失敗したわけではありません……。
「……じゅ、準備できました……! ど、どうぞ……!」
私がそう考えていると、杏優さんが、画像を表示させたスマホを渡してくれました。
そしてその画面には――
「……」
「……」
「……」
「……」
――凄い、としか言いようのないイラストがありました。
もちろん他の人のイラストを表示している可能性は、莉子さんと同様の理由であり得ないでしょう。
莉子さんの曲を聴いたときは、ただ漠然と、凄いということしかわかりませんでしたが、
イラストの場合は、目に見えるのではっきりとわかりました。
――このレベルのイラストを描けるとなると、イラストレーターとして生活していけるんじゃないでしょうか……?
その絵を見た私は、自然とそう思ってしまいました。――それにこのイラストの画風。これって何処かで――――
「っ!!……も、もしかして……!」
画風を見て既視感を覚えた私は、すぐさまSwitterを開き、フォローしている沢山のイラストレーターのイラストを確認し始めました。
――そしてその中に、杏優さんが見せてくれたイラストと同じ画風のイラストレーターがいました。
――アカウント名は「Ayu」、フォロワーは30万人でした。……名前がAyu。そして杏優さん。
――もしかして……。
「……あ、あの!杏優さんってもしかしてイラストレーターのAyuさんですか……?!」
自分の導き出した答えに「あり得ない」と否定しつつ、そう質問をしてしまいました。
すると――
「は、はい……!!一応……私がAyuです……!」
――まさかの本人でした。
「わ、私!Ayuさんのファンです!……宜しければサインください!」
気が付くと、私は反射的にそう言っていました。
「そ、そうだったんですか……?うれしいです。――サインですね。いいですよ。」
――杏優さんはそう言って嬉しそうにサインをしてくれました。
「あ、ありがとうございます!」
「いえいえ……!こちらこそ嬉しかったです……!」
――斯くして、私の作戦はあっけなく失敗したのでした。
32
あなたにおすすめの小説
男女比1:15の貞操逆転世界で高校生活(婚活)
大寒波
恋愛
日本で生活していた前世の記憶を持つ主人公、七瀬達也が日本によく似た貞操逆転世界に転生し、高校生活を楽しみながら婚活を頑張るお話。
この世界の法律では、男性は二十歳までに5人と結婚をしなければならない。(高校卒業時点は3人)
そんな法律があるなら、もういっそのこと高校在学中に5人と結婚しよう!となるのが今作の主人公である達也だ!
この世界の経済は基本的に女性のみで回っており、男性に求められることといえば子種、遺伝子だ。
前世の影響かはわからないが、日本屈指のHENTAIである達也は運よく遺伝子も最高ランクになった。
顔もイケメン!遺伝子も優秀!貴重な男!…と、驕らずに自分と関わった女性には少しでも幸せな気持ちを分かち合えるように努力しようと決意する。
どうせなら、WIN-WINの関係でありたいよね!
そうして、別居婚が主流なこの世界では珍しいみんなと同居することを、いや。ハーレムを目標に個性豊かなヒロイン達と織り成す学園ラブコメディがいま始まる!
主人公の通う学校では、少し貞操逆転の要素薄いかもです。男女比に寄っています。
外はその限りではありません。
カクヨムでも投稿しております。
男女比5対1の女尊男卑の世界で子供の頃、少女を助けたら「お嫁さんになりたい!」と言って来た。まさか、それが王女様だったなんて……。
楽園
恋愛
「将来、あなたのお嫁さんになりたい」
10年前、俺は魔法の力で一人の少女を救った。
……そして現在。ここは男女比5:1の女尊男卑の世界。
男は女に「選ばれる」ためだけの存在する。
俺、アルトは、前世の記憶と女でさえ持っていない無限の魔力を隠し、父と静かに暮らす「モブ」になるはずだった。
「待っていましたわ、アルト」
学園で再会したあの時の少女は、驚くべきことにリリアーナ王女だった。
どうやら彼女、あの日の「約束」を本気で果たしに来たらしい。
(俺の平穏なモブ生活が……!)
最強を隠したい男と、その秘密ごと彼を手に入れたい王女の、すれ違い学園ファンタジー!
男女比1:10。男子の立場が弱い学園で美少女たちをわからせるためにヒロインと手を組んで攻略を始めてみたんだけど…チョロいんなのはどうして?
悠
ファンタジー
貞操逆転世界に転生してきた日浦大晴(ひうらたいせい)の通う学園には"独特の校風"がある。
それは——男子は女子より立場が弱い
学園で一番立場が上なのは女子5人のメンバーからなる生徒会。
拾ってくれた九空鹿波(くそらかなみ)と手を組み、まずは生徒会を攻略しようとするが……。
「既に攻略済みの女の子をさらに落とすなんて……面白いじゃない」
協力者の鹿波だけは知っている。
大晴が既に女の子を"攻略済み"だと。
勝利200%ラブコメ!?
既に攻略済みの美少女を本気で''分からせ"たら……さて、どうなるんでしょうねぇ?
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
高身長お姉さん達に囲まれてると思ったらここは貞操逆転世界でした。〜どうやら元の世界には帰れないので、今を謳歌しようと思います〜
水国 水
恋愛
ある日、阿宮 海(あみや かい)はバイト先から自転車で家へ帰っていた。
その時、快晴で雲一つ無い空が急変し、突如、周囲に濃い霧に包まれる。
危険を感じた阿宮は自転車を押して帰ることにした。そして徒歩で歩き、喉も乾いてきた時、運良く喫茶店の看板を発見する。
彼は霧が晴れるまでそこで休憩しようと思い、扉を開く。そこには女性の店員が一人居るだけだった。
初めは男装だと考えていた女性の店員、阿宮と会話していくうちに彼が男性だということに気がついた。そして同時に阿宮も世界の常識がおかしいことに気がつく。
そして話していくうちに貞操逆転世界へ転移してしまったことを知る。
警察へ連れて行かれ、戸籍がないことも発覚し、家もない状況。先が不安ではあるが、戻れないだろうと考え新たな世界で生きていくことを決意した。
これはひょんなことから貞操逆転世界に転移してしまった阿宮が高身長女子と関わり、関係を深めながら貞操逆転世界を謳歌する話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる