121 / 131
121 獣の捕獲、ヨシイ古書店の供述(前)①
しおりを挟む
井ノ口とヨシイ古書店は、聖マリアンヌ教会の納骨堂に入ったところで辻堂刑事ら警察に逮捕された。
私につけられていた盗聴器で、警察は迅速に動いてくれたし、犯行をほぼほぼ自供したようなものだった『シナリオ』音声を聞かされて、二人ともあっさり陥落したらしい。
また池上も自発的にスマホの位置情報を警察に提供していた。井ノ口との関係を辻堂刑事に告白してから、私に危害が加えられないようにしたいと申し出てくれていたらしい。
そもそも池上は井ノ口に脅されていた。館蔵のとある貴重な資料を破損させてしまい、言わないでおくから言うことを聞け、と言われ、入職したばかりで仕事を辞めさせられたくなかった池上はその要求を飲んてしまったのだという。
そして時間を見ては古書店などを回り、その資料を探していた。ヨシイ古書店にも足繁く通って探していたらしい。
でも井ノ口がその資料が手に入ったら必ず自分に先に一報入れてくれと全国の古書店に通知していたため、池上のところには連絡は入らなかった。ここら辺は、皆同じ職場だからいいだろうと思っていた節もあるのだろう。
老舗の伊織堂だけは誠実に協力してくれていたが、この頃古書店界隈でもおかしなことが起きていると池上に告げていた。どうもお宅の井ノ口とヨシイ古書店とが何かしてるんじゃないのかと。
それを聞いて池上は個人的に調べ出した。その中で分かった事が、井ノ口は計算して牧田を佐山氏のところに入れて、自分と同じように何かで弱みを掴んで追い詰め、佐山の情報を得るためのコマにしようとしたのではないかと言うことだ。
池上は、井ノ口とヨシイ古書店の変名であるニッコー門木氏の振込口座を開設させられたりと、多くの要求に応じさせられていた。この事件が起きてからは、やたらと巻きこまれている私を彼らが邪魔に思うようになっていたので、自分が犯人と誤解されている内なら彼らも油断するし、私も安全だろうと思っていたそうだ。
私につけられていた盗聴器で、警察は迅速に動いてくれたし、犯行をほぼほぼ自供したようなものだった『シナリオ』音声を聞かされて、二人ともあっさり陥落したらしい。
また池上も自発的にスマホの位置情報を警察に提供していた。井ノ口との関係を辻堂刑事に告白してから、私に危害が加えられないようにしたいと申し出てくれていたらしい。
そもそも池上は井ノ口に脅されていた。館蔵のとある貴重な資料を破損させてしまい、言わないでおくから言うことを聞け、と言われ、入職したばかりで仕事を辞めさせられたくなかった池上はその要求を飲んてしまったのだという。
そして時間を見ては古書店などを回り、その資料を探していた。ヨシイ古書店にも足繁く通って探していたらしい。
でも井ノ口がその資料が手に入ったら必ず自分に先に一報入れてくれと全国の古書店に通知していたため、池上のところには連絡は入らなかった。ここら辺は、皆同じ職場だからいいだろうと思っていた節もあるのだろう。
老舗の伊織堂だけは誠実に協力してくれていたが、この頃古書店界隈でもおかしなことが起きていると池上に告げていた。どうもお宅の井ノ口とヨシイ古書店とが何かしてるんじゃないのかと。
それを聞いて池上は個人的に調べ出した。その中で分かった事が、井ノ口は計算して牧田を佐山氏のところに入れて、自分と同じように何かで弱みを掴んで追い詰め、佐山の情報を得るためのコマにしようとしたのではないかと言うことだ。
池上は、井ノ口とヨシイ古書店の変名であるニッコー門木氏の振込口座を開設させられたりと、多くの要求に応じさせられていた。この事件が起きてからは、やたらと巻きこまれている私を彼らが邪魔に思うようになっていたので、自分が犯人と誤解されている内なら彼らも油断するし、私も安全だろうと思っていたそうだ。
0
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
四次元残響の檻(おり)
葉羽
ミステリー
音響学の権威である変わり者の学者、阿座河燐太郎(あざかわ りんたろう)博士が、古びた洋館を改装した音響研究所の地下実験室で謎の死を遂げた。密室状態の実験室から博士の身体は消失し、物証は一切残されていない。警察は超常現象として捜査を打ち切ろうとするが、事件の報を聞きつけた神藤葉羽は、そこに論理的なトリックが隠されていると確信する。葉羽は、幼馴染の望月彩由美と共に、奇妙な音響装置が残された地下実験室を訪れる。そこで葉羽は、博士が四次元空間と共鳴現象を利用した前代未聞の殺人トリックを仕掛けた可能性に気づく。しかし、謎を解き明かそうとする葉羽と彩由美の周囲で、不可解な現象が次々と発生し、二人は見えない恐怖に追い詰められていく。四次元残響が引き起こす恐怖と、天才高校生・葉羽の推理が交錯する中、事件は想像を絶する結末へと向かっていく。
男友達を家に入れたら催眠術とおもちゃで責められ調教されちゃう話
mian
恋愛
気づいたら両手両足を固定されている。
クリトリスにはローター、膣には20センチ弱はある薄ピンクの鉤型が入っている。
友達だと思ってたのに、催眠術をかけられ体が敏感になって容赦なく何度もイかされる。気づけば彼なしではイけない体に作り変えられる。SM調教物語。
サディストの飼主さんに飼われてるマゾの日記。
風
恋愛
サディストの飼主さんに飼われてるマゾヒストのペット日記。
飼主さんが大好きです。
グロ表現、
性的表現もあります。
行為は「鬼畜系」なので苦手な人は見ないでください。
基本的に苦痛系のみですが
飼主さんとペットの関係は甘々です。
マゾ目線Only。
フィクションです。
※ノンフィクションの方にアップしてたけど、混乱させそうなので別にしました。
妻が小説で俺の不倫を暴露する件について
環 花奈江
ミステリー
大手食品メーカーに勤務する高橋勝典は40過ぎのエリートサラリーマン。
美人で賢い妻と、優秀な息子がいて、私生活でも満たされている。
そんな彼はある日、妻が趣味で書いているネット小説に、自分の不倫が綴られているのをみつけてしまい……?
Webコンテンツ大賞にて奨励賞に選んでいただきました♪
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
明智さんちの旦那さんたちR
明智 颯茄
恋愛
あの小高い丘の上に建つ大きなお屋敷には、一風変わった夫婦が住んでいる。それは、妻一人に夫十人のいわゆる逆ハーレム婚だ。
奥さんは何かと大変かと思いきやそうではないらしい。旦那さんたちは全員神がかりな美しさを持つイケメンで、奥さんはニヤケ放題らしい。
ほのぼのとしながらも、複数婚が巻き起こすおかしな日常が満載。
*BL描写あり
毎週月曜日と隔週の日曜日お休みします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる