映画をむさぼり、しゃぶる獣達――カルト映画と幻のコレクション

来住野つかさ

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054 カルト映画と殺人⑤

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 鑑識と管轄の警察に現場を任せて、辻堂刑事は私を東原警察署に連れて行き、さらに事情を聞かれていた。私のショックが大きすぎたので、現場から離れた方がいいと判断されたからだ。

「日比野さん、先程の尿検査の結果、睡眠薬が検出されていますね。比江島氏の時と同じものです」
「······えっ?」
「これから八頭さんの方は遺体解剖に回しますが、彼女からも出るようなら食事かワインに入っていたのかもしれませんね。舌が青かったので、まず間違いなく入っていたと思いますが。あとはシーシャですか?」
「摂取したのはそれだけです。舌が青いって何ですか? 私も青いんですか?」

 舌が青いってブルーハワイのかき氷を食べた時くらいしかならない気がするけど、睡眠薬を飲むとそうなるものなのだろうか?

「比江島さんが亡くなられた時、睡眠薬が検出されたと言いましたでしょう? あの時に使用されたサイレースという薬の特徴が、服用すると舌が青くなるというものなんです。強い薬だから何度も飲まないように、という意味と、一時期はデートレイプドラッグとしても使われていたことがあって、飲まされた女性が自分で異変に気がつくように、という意味もあるんです」
「そんな強いものが······」
「サイレースはアルコールと合わせると効果が上がるらしいんですよね。今は処方箋がないと手に入れられませんが、裏で出回っているのかもしれません」

 恐る恐る舌を出してみると、辻堂刑事はあっさりと「青いですね」と答える。八頭女史が睡眠薬を? 私にそんな事してどうするつもりだったのだろう。

「まあ私が八頭さんのところに事情聴取に行ったせいで巻き込まれてしまったようですから、少し責任は感じますが。······本当に事件とは何も関係ないのですよね?」
「ないです! 本当に何も······」

 またボロボロと涙が溢れてしまう。頭がうまく回らないが事件現場に置かれていたカバンは持ち帰ることが許されず、私は今ハンカチ一枚持っていないのだ。

「すみません。念のための確認ですから。じゃあ資料課の西村課長に連絡入れましょうか? それともご実家、は遠かったんでしたっけ?」
「実家は東北なので遠いです。誰か必要なら西村課長にお願いします」
「コーヒー持ってきますから、少し休んでいて下さい。もう少ししたらカバンも返せますし、西村課長にはこちらから連絡してみますよ」

 
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