44 / 131
044 第三のコレクター八頭女史②
しおりを挟む
気になって会議室を見に行こうとすると、池上に止められた。
「レッドLのことが気になるんだろうけど、多分後で呼ばれるから待ってよう。動いたら、日比野ちゃんが関係あると思われるよ」
「······はい」
そうか、そういう点も気を配らないといけないのか。というか、『レッドL』って何?
「あー。いわゆるあだ名? 赤い服ばかり着るから」
「レディのLですか?」
「いや······、内緒だよ? レッド・ロブスターの略」
思わず吹いてしまった。ロブスターってあの?
「伊勢海老でも何でもいいんだけどさ、大型の赤い歩行型のエビ。赤くて両手に何か沢山付けてるし。若い時は両手首にリボンを付けてるときもあったんだって。それで誰かが呼び出したっぽいよ」
「ああ······。エビ······!」
「一応もし聞かれたとしても、日比野ちゃんみたいにレディの方って言えるからね。駄目だよ、そんなに笑っちゃ」
そんなきついあだ名、一体どこまで広がっているのだろう。映画業界は狭いから、想像以上に浸透していそうで怖い。
「でも映画好きな方で、あんなに音が出るものを身に着けるのは珍しいですね」
「彼女はいつもストールを持ってて、それを畳んで膝に乗せてるから、そこに手を置くと思ったほど音が出ないらしいよ。近くに座った人情報だけど」
「資料課ー。明日の件で打ち合わせするよー」
田代主任の大きな声がする。
「はーい! ほら行こう、日比野ちゃん」
「はい!」
◇ ◇ ◇
「辻堂刑事に確認してみたけどね、やはり当館で話を聞いたなんて八頭さんには話していないらしい。ただ警察だって色々と他所でも聞き込みをしているだろうから、どこかから噂が出たのかもね」
「うちはあくまで捜査に協力してるだけなんだから、刑事が来たら話すに決まってるよ」
「そうそう、仕方ない仕方ない」
西村課長の言葉に尾崎係長と田代主任も勢い込んで同意する。私が気にしてるのが丸わかりだからだろうか。まだまだ内面が隠せなくて恥ずかしい。
「悪いことしたわけでもないですし、気にしないことにします」
そうだ、気持ちを切り替えよう。人の死に面食らっていたが、私には直接関わりのない人々なのだし、引き摺られるのは良くない。
散会してマグカップを洗っていると、池上が肩を突いてきた。
「今日はさ、お互いのカレーをLINEで送り合うってのはどう? 二人でオンラインカレー会してもいいよ」
「そこまでは遠慮しておきます。でも写真は撮りますよ」
「じゃあ、俺も目玉焼き以外に何か映えるものトッピングしようかな。出来たら送るから判定してね!」
「私もそんなに料理得意じゃないですよ」
「日比野ちゃんが食べたい度数で評価してくれればいいよ。決まりね!」
「レッドLのことが気になるんだろうけど、多分後で呼ばれるから待ってよう。動いたら、日比野ちゃんが関係あると思われるよ」
「······はい」
そうか、そういう点も気を配らないといけないのか。というか、『レッドL』って何?
「あー。いわゆるあだ名? 赤い服ばかり着るから」
「レディのLですか?」
「いや······、内緒だよ? レッド・ロブスターの略」
思わず吹いてしまった。ロブスターってあの?
「伊勢海老でも何でもいいんだけどさ、大型の赤い歩行型のエビ。赤くて両手に何か沢山付けてるし。若い時は両手首にリボンを付けてるときもあったんだって。それで誰かが呼び出したっぽいよ」
「ああ······。エビ······!」
「一応もし聞かれたとしても、日比野ちゃんみたいにレディの方って言えるからね。駄目だよ、そんなに笑っちゃ」
そんなきついあだ名、一体どこまで広がっているのだろう。映画業界は狭いから、想像以上に浸透していそうで怖い。
「でも映画好きな方で、あんなに音が出るものを身に着けるのは珍しいですね」
「彼女はいつもストールを持ってて、それを畳んで膝に乗せてるから、そこに手を置くと思ったほど音が出ないらしいよ。近くに座った人情報だけど」
「資料課ー。明日の件で打ち合わせするよー」
田代主任の大きな声がする。
「はーい! ほら行こう、日比野ちゃん」
「はい!」
◇ ◇ ◇
「辻堂刑事に確認してみたけどね、やはり当館で話を聞いたなんて八頭さんには話していないらしい。ただ警察だって色々と他所でも聞き込みをしているだろうから、どこかから噂が出たのかもね」
「うちはあくまで捜査に協力してるだけなんだから、刑事が来たら話すに決まってるよ」
「そうそう、仕方ない仕方ない」
西村課長の言葉に尾崎係長と田代主任も勢い込んで同意する。私が気にしてるのが丸わかりだからだろうか。まだまだ内面が隠せなくて恥ずかしい。
「悪いことしたわけでもないですし、気にしないことにします」
そうだ、気持ちを切り替えよう。人の死に面食らっていたが、私には直接関わりのない人々なのだし、引き摺られるのは良くない。
散会してマグカップを洗っていると、池上が肩を突いてきた。
「今日はさ、お互いのカレーをLINEで送り合うってのはどう? 二人でオンラインカレー会してもいいよ」
「そこまでは遠慮しておきます。でも写真は撮りますよ」
「じゃあ、俺も目玉焼き以外に何か映えるものトッピングしようかな。出来たら送るから判定してね!」
「私もそんなに料理得意じゃないですよ」
「日比野ちゃんが食べたい度数で評価してくれればいいよ。決まりね!」
10
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる