公爵令嬢の婚約解消宣言

宵闇 月

文字の大きさ
4 / 25

4

しおりを挟む
オルフェウスは昔から国より父より立場より何よりアリシアが大事だった。

アリシアがいなければ完璧な王太子にはなっていなかっただろう。

アリシアがこの国を大切に思うからこそ立派な国王になる為に完璧な王太子を目指したのだ。

そしてアリシアを婚約者にする為にしたあの努力。

正直泣き崩れたいのはオルフェウスも同じだった。

オルフェウスは現状打開の為に涙目パニックになりながらも必死で頭を働かせる。

ーー国王の許可なく真実を話すことはできない。

それでもその噂が間違いであることをなんとしてでも証明し、婚約解消宣言の撤回を求めなければならない。

幼い頃から愛してやまない、自身の唯一であるアリシアを手放すことなどできないのだから。

しかし残念なことに、この時のオルフェウスはむしろ一番大事なことをしていないことに全く気付いていなかった。

拗らせヘタレのオルフェウスは未だにアリシアに愛を囁くどころか、自分の気持ちすら伝えたことがなかったのだ。

そしてそれが何よりアリシアを不安にさせる原因になっていることに。

現実、というのは、心が通じ合い、関係が確立した間柄でしか成立しない。

そして最低限の条件が揃わねばも得られないのだ。

結局、その日、オルフェウスの頭の中には彼が思うような答えは浮かんでこなかった。

そしてアリシアは父であるフェンデル公爵に婚約解消を伝えると言い残し、泣き帰って行ったのである。

オルフェウスは、立ち去る愛しい婚約者の背中をただ呆然と眺めることしかできず、内心ではなく本当に半泣きになってその場に立ち尽くした。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

さよなら 大好きな人

小夏 礼
恋愛
女神の娘かもしれない紫の瞳を持つアーリアは、第2王子の婚約者だった。 政略結婚だが、それでもアーリアは第2王子のことが好きだった。 彼にふさわしい女性になるために努力するほど。 しかし、アーリアのそんな気持ちは、 ある日、第2王子によって踏み躙られることになる…… ※本編は悲恋です。 ※裏話や番外編を読むと本編のイメージが変わりますので、悲恋のままが良い方はご注意ください。 ※本編2(+0.5)、裏話1、番外編2の計5(+0.5)話です。

婚約破棄から50年後

あんど もあ
ファンタジー
王立学園の卒業パーティーで、王子が婚約者に婚約破棄を宣言した。王子は真に愛する女性と結ばれ、めでたしめでたし。 そして50年後、王子の孫の王子は、婚約破棄された女性の孫と婚約する事に。そこで明かされた婚約破棄の真実とは。

あなたは愛を誓えますか?

縁 遊
恋愛
婚約者と結婚する未来を疑ったことなんて今まで無かった。 だけど、結婚式当日まで私と会話しようとしない婚約者に神様の前で愛は誓えないと思ってしまったのです。 皆さんはこんな感じでも結婚されているんでしょうか? でも、実は婚約者にも愛を囁けない理由があったのです。 これはすれ違い愛の物語です。

私は愛する人と結婚できなくなったのに、あなたが結婚できると思うの?

あんど もあ
ファンタジー
妹の画策で、第一王子との婚約を解消することになったレイア。 理由は姉への嫌がらせだとしても、妹は王子の結婚を妨害したのだ。 レイアは妹への処罰を伝える。 「あなたも婚約解消しなさい」

【完結】あなただけがスペアではなくなったから~ある王太子の婚約破棄騒動の顛末~

春風由実
恋愛
「兄上がやらかした──」  その第二王子殿下のお言葉を聞いて、私はもう彼とは過ごせないことを悟りました。  これまで私たちは共にスペアとして学び、そして共にあり続ける未来を描いてきましたけれど。  それは今日で終わり。  彼だけがスペアではなくなってしまったから。 ※短編です。完結まで作成済み。 ※実験的に一話を短くまとめサクサクと気楽に読めるようにしてみました。逆に読みにくかったら申し訳ない。 ※おまけの別視点話は普通の長さです。

近すぎて見えない物

あんど もあ
ファンタジー
エルリック王子と一夜を共にした男爵令嬢。エルリックの婚約者シルビアが、優しく彼女に言った一言とは。

勇者になった幼馴染は聖女様を選んだ〈完結〉

ヘルベ
恋愛
同じ村の、ほのかに想いを寄せていた幼馴染のジグが、勇者に選ばれてしまった。 親同士も仲良く、族ぐるみで付き合いがあったから、このままいけば将来のお婿さんになってくれそうな雰囲気だったのに…。 全てがいきなり無くなってしまった。 危険な旅への心配と誰かにジグを取られてしまいそうな不安で慌てて旅に同行しようとするも、どんどんとすれ違ってしまいもどかしく思う日々。 そして結局勇者は聖女を選んで、あたしは――。

あなたへの愛を捨てた日

柴田はつみ
恋愛
公爵夫人エステルは、冷徹な夫レオニスを心から愛していた。彼の好みを調べ、帰宅を待ちわび、献身的に尽くす毎日。 しかし、ある夜会の回廊で、エステルは残酷な真実を知る。 レオニスが、未亡人クラリスの手を取り囁いていたのだ。 「君のような(自立した)女性が、私の隣にいるべきだった」 エステルは悟る。自分の愛は彼にとって「重荷」であり、自分という人間は彼にとって「不足」だったのだと。その瞬間、彼女の中で何かが音を立てて砕け散る。

処理中です...