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51 幸せな朝
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フェリチアーノとテオドールは満ち足りた朝を二人で迎えた。ベッドの上で幸せを噛み締めながらじゃれついていれば、コンコンと扉を叩かれロイズが呆れた様子で部屋へと入ってくる。
フェリチアーノから離れたがらないテオドールを何とか引っぺがし、準備へと追いやるとロイズはフェリチアーノの様子を伺った。
「色々と……大丈夫ですか?」
言葉を濁しながらも体調を気遣ってきたロイズに思わず目を見開けば、それにロイズは眉を顰めた。
「すみません、苦言を言われる物とばかり思っていたので」
「私はそこまで鬼畜ではありませんよ……」
「ふふふ、すみません。今日はいつもより気分が良いです。まぁそう言う意味での怠さはありますけど」
「殿下……」
「あぁ、殿下はだいぶ気遣ってくれましたよ。決して無理矢理とかでは、ないので」
「……そうですか。はぁ、ではこちらに朝食を運ばせますので、時間までゆっくりしてください」
準備を終えたテオドールに続きフェリチアーノも着替え運ばれた朝食を取るが、その雰囲気は今までよりも遥かに甘ったるい物だった。
テオドールの膝の上に乗せられ、給餌されるフェリチアーノには今までの少し遠慮したような素振りはなく、安心しきってテオドールに身を任せていた。
そんなフェリチアーノをテオドールも今まで以上に甘やかな表情で世話をし、暖かな朝日が差し込む部屋に穏やかな空気が漂っていた。
帰宅する為にミリアに挨拶へ行けばニヤニヤとした顔を隠される事も無く、根掘り葉掘りと敢えて聞かれない事にフェリチアーノは安堵しながらも、ロイズ以外のしかも会ったばかりのテオドールの身内にそう言う事情を知られていると言うのも気恥ずかしさがあった。
それはテオドールも同じの様で、顔を真っ赤に染めながらミリアに「何も言わないからな!」とフェリチアーノを抱き込みながら吠えている事にフェリチアーノはクスクスと笑ってしまうのだった。
家まで送るというテオドールの言葉に甘え、いつもよりゆっくりと走らせる馬車の中で二人は余韻に浸りながらも離れ難さを今まで以上に感じていた。
すっかりと定位置になってしまった様にテオドールの膝の上に座らされているフェリチアーノは、こてんと頭をテオドールの胸に預けながら寂しさを紛らわせるように鼓動を聞いていた。
テオドールもまたフェリチアーノの肩口から垂れている髪を指先で遊びながらどうしたら一緒に居られる時間を増やせるかと考える。
「そうだ、フェリチアーノ。今度一緒に湖畔の近くにある離宮に避暑に行こう。丁度向こうに用事もあるから、フェリも連れて行ければある程度一緒に居られるんだけどどうだ?」
「良いんですか?」
「フェリは俺と一緒に居たく無いのか?」
途端にむすっとしたように言い返してきたテオドールにクスクスと笑いながら、フェリチアーノは了承した。
いくら馬車をゆっくり走らせたとしても屋敷には着いてしまう。あぁ戻って来てしまったと、暗い気持ちになりながらも縋るようにテオドールに抱きつけばポンポンと背中をあやす様に叩かれた。
「すぐに会えるだろう?」
スルリと手を取られ、刺青の部分に口を付けられる。本来は忌むべき刺青だが、今の二人にはそれはお互いの物であると象徴する物になっていた。
くすぐったさと欲が入り混じり、二人はどちらともなく笑い合う。
「色々と必要な物があれば渡したやつで好きなだけ買って貰って構わないからな? こっちでも一通りは揃えるけど、フェリには快適に過ごしてもらいたいし」
とんでもない金額をポンと、たかが短期間の避暑へ行く為にフェリチアーノ渡してきたテオドールに、王族だと言う事を改めて思い出させれ、受け取りを拒否したもののそれは許されなかった。
ロイズにすら受け取れと言われればそうするしかなく、そこでサライアスに‘’王族の隣に立つ為にそれなりに金をかけろ‘‘と言われていた事も改めて思い出し有り難く受け取る事になった。
どう転んでもデュシャン家には入念に準備するだけの予算は無い。サライアスから給金として貰っている物もあるのだが、この場合はテオドールからちゃんと受け取りそれを使った方がテオドールを立てられるのだ。
「じゃあまたなフェリ」
名残惜しそうに軽い口付けを落とすとテオドールは城へと戻っていった。その馬車の姿をフェリチアーノは見えなくなるまで見送ってから屋敷の中へと戻ったのだった。
フェリチアーノから離れたがらないテオドールを何とか引っぺがし、準備へと追いやるとロイズはフェリチアーノの様子を伺った。
「色々と……大丈夫ですか?」
言葉を濁しながらも体調を気遣ってきたロイズに思わず目を見開けば、それにロイズは眉を顰めた。
「すみません、苦言を言われる物とばかり思っていたので」
「私はそこまで鬼畜ではありませんよ……」
「ふふふ、すみません。今日はいつもより気分が良いです。まぁそう言う意味での怠さはありますけど」
「殿下……」
「あぁ、殿下はだいぶ気遣ってくれましたよ。決して無理矢理とかでは、ないので」
「……そうですか。はぁ、ではこちらに朝食を運ばせますので、時間までゆっくりしてください」
準備を終えたテオドールに続きフェリチアーノも着替え運ばれた朝食を取るが、その雰囲気は今までよりも遥かに甘ったるい物だった。
テオドールの膝の上に乗せられ、給餌されるフェリチアーノには今までの少し遠慮したような素振りはなく、安心しきってテオドールに身を任せていた。
そんなフェリチアーノをテオドールも今まで以上に甘やかな表情で世話をし、暖かな朝日が差し込む部屋に穏やかな空気が漂っていた。
帰宅する為にミリアに挨拶へ行けばニヤニヤとした顔を隠される事も無く、根掘り葉掘りと敢えて聞かれない事にフェリチアーノは安堵しながらも、ロイズ以外のしかも会ったばかりのテオドールの身内にそう言う事情を知られていると言うのも気恥ずかしさがあった。
それはテオドールも同じの様で、顔を真っ赤に染めながらミリアに「何も言わないからな!」とフェリチアーノを抱き込みながら吠えている事にフェリチアーノはクスクスと笑ってしまうのだった。
家まで送るというテオドールの言葉に甘え、いつもよりゆっくりと走らせる馬車の中で二人は余韻に浸りながらも離れ難さを今まで以上に感じていた。
すっかりと定位置になってしまった様にテオドールの膝の上に座らされているフェリチアーノは、こてんと頭をテオドールの胸に預けながら寂しさを紛らわせるように鼓動を聞いていた。
テオドールもまたフェリチアーノの肩口から垂れている髪を指先で遊びながらどうしたら一緒に居られる時間を増やせるかと考える。
「そうだ、フェリチアーノ。今度一緒に湖畔の近くにある離宮に避暑に行こう。丁度向こうに用事もあるから、フェリも連れて行ければある程度一緒に居られるんだけどどうだ?」
「良いんですか?」
「フェリは俺と一緒に居たく無いのか?」
途端にむすっとしたように言い返してきたテオドールにクスクスと笑いながら、フェリチアーノは了承した。
いくら馬車をゆっくり走らせたとしても屋敷には着いてしまう。あぁ戻って来てしまったと、暗い気持ちになりながらも縋るようにテオドールに抱きつけばポンポンと背中をあやす様に叩かれた。
「すぐに会えるだろう?」
スルリと手を取られ、刺青の部分に口を付けられる。本来は忌むべき刺青だが、今の二人にはそれはお互いの物であると象徴する物になっていた。
くすぐったさと欲が入り混じり、二人はどちらともなく笑い合う。
「色々と必要な物があれば渡したやつで好きなだけ買って貰って構わないからな? こっちでも一通りは揃えるけど、フェリには快適に過ごしてもらいたいし」
とんでもない金額をポンと、たかが短期間の避暑へ行く為にフェリチアーノ渡してきたテオドールに、王族だと言う事を改めて思い出させれ、受け取りを拒否したもののそれは許されなかった。
ロイズにすら受け取れと言われればそうするしかなく、そこでサライアスに‘’王族の隣に立つ為にそれなりに金をかけろ‘‘と言われていた事も改めて思い出し有り難く受け取る事になった。
どう転んでもデュシャン家には入念に準備するだけの予算は無い。サライアスから給金として貰っている物もあるのだが、この場合はテオドールからちゃんと受け取りそれを使った方がテオドールを立てられるのだ。
「じゃあまたなフェリ」
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