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81.にゃーを蹴ったから大嫌い
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ゼルクが遊びに来る日だ。家の玄関の横にある長い椅子に座る。ベンチというの。にゃーが寝そべって、僕が椅子に登るのを助けてくれた。
「ありがとう、にゃー」
「見つけた!!」
僕が話す声に、知らない声が重なる。びっくりした僕の前に立つのは女の人だった。サフィより細い感じ。全体にペタンとして、棒みたいだ。
にゃーが間に入る。シャーッと怒った声を上げた。その姿に、心の中でメリクを呼んだ。でも伸ばした腕が僕を掴む。
「にゃー!」
ぎゃうん! 蹴飛ばされた三毛猫のにゃーが転がった。酷いことする人だ。大っ嫌い! 手をジタバタさせて降りようとするけど、掴まれた腕がすごく痛い。
「どういうつもりだ、離せ」
メリクの声がして、でも動けないの。がっちり腕を回して僕を捕まえた女の人は、低い声でメリクに嫌な言葉を使った。意味は知らないけど、きっと悪い言葉だ。だって、メリクが怒ってる。
同じ言葉でメリクも言い返す。それを繰り返したあと、僕は女の人に連れて行かれてしまった。慌てたメリクが叫んで、僕に手を伸ばす。僕も伸ばしたけど、お腹の上を掴まれて届かなかった。
「メリクっ!」
くるくると目の前が動いて、知らない場所に下された。暗くて、ジメジメして、嫌な臭いがする。
「お前のせいだよ」
いきなり怒る声に、唇を尖らせる。涙はまだ止まらなくて、僕は鼻を啜った。短い袖を引っ張って、顔を拭く。
「きらい!」
来ないで、あっち行って!! 叫んだ僕に、メリクが「立派だ」と褒める声が聞こえた。きょろきょろした僕の前にメリクが現れて、お部屋が明るくなる。
違う、ここはお部屋じゃない。お外だけど……変な三角の建物があった。三角は指で遊ぶときに、ゼルクが教えてくれた形だ。それを見たメリクが、チッと音を出した。
「何を考えてやがる」
いつもより声が低くて、でもメリクだから平気。僕は女の人から離れようと動いたけど、砂が邪魔で進めなかった。
「イル、危ないから助けにいくまで待っててくれ」
「うん……」
頷いたところへ、皆も来てくれた。ゼルク、ルミエル、サフィ、それからシュハザ。それぞれ、手にいろんなものを持っていた。
それを僕の隣の女の人に向ける。僕は横にいるけど、ちょっとだけドキドキした。びっくりしたけど、平気だよ。
「すぐに助けてやっからな」
ゼルクがそう笑い、サフィも同じように笑顔で頷いた。だから怖くないんだなと安心する。難しい顔をするシュハザをつつくルミエルが、僕にひらひらと手を振ってくれた。
振り返そうと動いたら、固まっちゃった。動けなくて転がる僕は、さっきまで泣いてた頬に砂がつくし、お口にも入っちゃう。ぺっと吐き出した。
「イルは愛し子だ。手出しは禁じられているはずだが?」
「それ以前に、シアラの領域を無断侵犯した理由をお伺いしましょうか」
メリクとシュハザが前に出る。この人嫌い。メリクが早く僕を抱っこしてくれたらいいな。そう思いながら、また口に入った砂を外へ出した。
「ありがとう、にゃー」
「見つけた!!」
僕が話す声に、知らない声が重なる。びっくりした僕の前に立つのは女の人だった。サフィより細い感じ。全体にペタンとして、棒みたいだ。
にゃーが間に入る。シャーッと怒った声を上げた。その姿に、心の中でメリクを呼んだ。でも伸ばした腕が僕を掴む。
「にゃー!」
ぎゃうん! 蹴飛ばされた三毛猫のにゃーが転がった。酷いことする人だ。大っ嫌い! 手をジタバタさせて降りようとするけど、掴まれた腕がすごく痛い。
「どういうつもりだ、離せ」
メリクの声がして、でも動けないの。がっちり腕を回して僕を捕まえた女の人は、低い声でメリクに嫌な言葉を使った。意味は知らないけど、きっと悪い言葉だ。だって、メリクが怒ってる。
同じ言葉でメリクも言い返す。それを繰り返したあと、僕は女の人に連れて行かれてしまった。慌てたメリクが叫んで、僕に手を伸ばす。僕も伸ばしたけど、お腹の上を掴まれて届かなかった。
「メリクっ!」
くるくると目の前が動いて、知らない場所に下された。暗くて、ジメジメして、嫌な臭いがする。
「お前のせいだよ」
いきなり怒る声に、唇を尖らせる。涙はまだ止まらなくて、僕は鼻を啜った。短い袖を引っ張って、顔を拭く。
「きらい!」
来ないで、あっち行って!! 叫んだ僕に、メリクが「立派だ」と褒める声が聞こえた。きょろきょろした僕の前にメリクが現れて、お部屋が明るくなる。
違う、ここはお部屋じゃない。お外だけど……変な三角の建物があった。三角は指で遊ぶときに、ゼルクが教えてくれた形だ。それを見たメリクが、チッと音を出した。
「何を考えてやがる」
いつもより声が低くて、でもメリクだから平気。僕は女の人から離れようと動いたけど、砂が邪魔で進めなかった。
「イル、危ないから助けにいくまで待っててくれ」
「うん……」
頷いたところへ、皆も来てくれた。ゼルク、ルミエル、サフィ、それからシュハザ。それぞれ、手にいろんなものを持っていた。
それを僕の隣の女の人に向ける。僕は横にいるけど、ちょっとだけドキドキした。びっくりしたけど、平気だよ。
「すぐに助けてやっからな」
ゼルクがそう笑い、サフィも同じように笑顔で頷いた。だから怖くないんだなと安心する。難しい顔をするシュハザをつつくルミエルが、僕にひらひらと手を振ってくれた。
振り返そうと動いたら、固まっちゃった。動けなくて転がる僕は、さっきまで泣いてた頬に砂がつくし、お口にも入っちゃう。ぺっと吐き出した。
「イルは愛し子だ。手出しは禁じられているはずだが?」
「それ以前に、シアラの領域を無断侵犯した理由をお伺いしましょうか」
メリクとシュハザが前に出る。この人嫌い。メリクが早く僕を抱っこしてくれたらいいな。そう思いながら、また口に入った砂を外へ出した。
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