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外伝
外伝3.言葉交わすも多少の縁(SIDEカイルス)
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俺が割り込んだと思ったのか、水色のドラゴンが威嚇してブレスを放つ。威嚇と同時に攻撃は、威嚇が意味をなさないぞ? ついでに相手の力量を計らずに攻撃するのは、下の下だ。悲鳴を上げた桃色ドラゴンを庇う位置で、左手を掲げる。触れたブレスが消失した。
魔物や魔獣の頂点に立つドラゴンであっても、最上位の神に勝てるはずがなかった。そもそもの土台が違うのだ。神に逆らおうなど、恐れ知らずにも程がある。
圧倒的な力の差を見せつけられ、水色のドラゴンが驚きで固まった。顎を開いたままでは急所を晒しているのと変わらない。ぱちんと指を鳴らし、舌先を切り落とした。痛みを訴えてのたうち回るドラゴンに溜め息をつく。どうやらドラゴンも個体差が激しいようだ。
俺の知るドラゴンは最上級の家族だから、余計に違和感がぬぐえない。こんな愚かだと、竜種と呼ぶのも烏滸がましいか。竜帝が聞いたら怒り出しそうだな。
「すごぉい!! イシスおじさまの旦那様みたい」
よく見たらそっくりと呟きながら、桃色のドラゴンは体を伏せた。礼儀を叩き込まれたのだろう。美しい所作で敬意を示す。
「先ほどもイシスと呼んだが、黒髪の豊穣神のことか?」
「ええそうよ、じゃなくて……はい」
「普通に話せ」
こちらが神族だと気づき、言葉遣いを改めようとする努力は認めるが、似合っていない。お転婆な姿を最初に見たから余計だった。俺はガイアほど礼儀にうるさくないし、タイフォンほど乱暴でもないからな。程々でいい。
「ならば、竜帝ファフニールの親族か」
「ええ! ファフニールはお祖父様なの。私は孫のエディットよ。お礼がしたいわ、一緒にいらして」
「タイフォンとイシスの邪魔をするのは気が引けるから」
断ろうとしたら、ぐいっと手首を掴まれた。遠慮はないらしい。下から顔を覗き込み、そっくりと呟いた。彼女が見知った「イシスおじさまの旦那様」は俺の兄弟だ。そっくりだろうさ。ほぼ同時に生まれたのだから。
双子神として対になったガイアとタイフォンが誕生し、わずかに遅れて俺が生まれ落ちた。時間にして数日の差だ。外見も色以外はよく似ているのに、能力は彼らの残りを与えられた。誕生と死の間で、成長を促すという中途半端な力は、さして必要とされない。双子の残りと呼ばれてきた。
顔や姿が似ている分、余計に惨めな思いをしたが……彼女は無邪気に似ていると笑う。
「おじさま達なら、灰色狼のフェルに乗って海へ行ったわ。数日戻らないの。恩人に何もしないで返したら、私がお祖父様やお祖母様に叱られちゃう」
助けると思ってお願い。そう言って両手を合わせる愛らしい仕草を見せた。苦笑いして頷くと、背に乗れと促す。迷ったが、自力で飛べるから湖まで来たのだろう。落ちることもあるまいと飛び乗った。
……まさか落とされるとは思わなかったぞ。それも落ちた時に俺を下敷きにしやがって。
魔物や魔獣の頂点に立つドラゴンであっても、最上位の神に勝てるはずがなかった。そもそもの土台が違うのだ。神に逆らおうなど、恐れ知らずにも程がある。
圧倒的な力の差を見せつけられ、水色のドラゴンが驚きで固まった。顎を開いたままでは急所を晒しているのと変わらない。ぱちんと指を鳴らし、舌先を切り落とした。痛みを訴えてのたうち回るドラゴンに溜め息をつく。どうやらドラゴンも個体差が激しいようだ。
俺の知るドラゴンは最上級の家族だから、余計に違和感がぬぐえない。こんな愚かだと、竜種と呼ぶのも烏滸がましいか。竜帝が聞いたら怒り出しそうだな。
「すごぉい!! イシスおじさまの旦那様みたい」
よく見たらそっくりと呟きながら、桃色のドラゴンは体を伏せた。礼儀を叩き込まれたのだろう。美しい所作で敬意を示す。
「先ほどもイシスと呼んだが、黒髪の豊穣神のことか?」
「ええそうよ、じゃなくて……はい」
「普通に話せ」
こちらが神族だと気づき、言葉遣いを改めようとする努力は認めるが、似合っていない。お転婆な姿を最初に見たから余計だった。俺はガイアほど礼儀にうるさくないし、タイフォンほど乱暴でもないからな。程々でいい。
「ならば、竜帝ファフニールの親族か」
「ええ! ファフニールはお祖父様なの。私は孫のエディットよ。お礼がしたいわ、一緒にいらして」
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断ろうとしたら、ぐいっと手首を掴まれた。遠慮はないらしい。下から顔を覗き込み、そっくりと呟いた。彼女が見知った「イシスおじさまの旦那様」は俺の兄弟だ。そっくりだろうさ。ほぼ同時に生まれたのだから。
双子神として対になったガイアとタイフォンが誕生し、わずかに遅れて俺が生まれ落ちた。時間にして数日の差だ。外見も色以外はよく似ているのに、能力は彼らの残りを与えられた。誕生と死の間で、成長を促すという中途半端な力は、さして必要とされない。双子の残りと呼ばれてきた。
顔や姿が似ている分、余計に惨めな思いをしたが……彼女は無邪気に似ていると笑う。
「おじさま達なら、灰色狼のフェルに乗って海へ行ったわ。数日戻らないの。恩人に何もしないで返したら、私がお祖父様やお祖母様に叱られちゃう」
助けると思ってお願い。そう言って両手を合わせる愛らしい仕草を見せた。苦笑いして頷くと、背に乗れと促す。迷ったが、自力で飛べるから湖まで来たのだろう。落ちることもあるまいと飛び乗った。
……まさか落とされるとは思わなかったぞ。それも落ちた時に俺を下敷きにしやがって。
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