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280.どうかこのままで(SIDEセティ)※微
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*****SIDE セティ
イシスは羞恥心が薄い。というより、ほぼゼロだった。抱かれる立場も、甘い声が漏れるのも、そういうものだと受け入れる。周りに声が聞こえてたと注意されても、きっと理解しないだろう。それでも声を遮断するのは、可愛いイシスの甘い声を誰かに聞かせる気はないからだ。独占したい。
ファフニールが「息子を返せ」と騒いでいるが、少ししたら静かになった。おそらくヴルムとルードルフが抑えたのだろう。はしゃぐボリスの無邪気な声が響くのが、なんとも居心地悪い。
「セティ、もっと」
唇へのキスが止まると、イシスはぽってりと腫れた唇で強請る。素直ないい子だ。オレの醜い独占欲を浴びても変わらない。性欲を悪いことだと捉えていなかった。愛されることに飢える子どもは、愛する存在を無条件に慕う。洗脳したみたいだな。苦笑いして接吻ける。
舌を絡めて吸い上げると、動きを覚えたイシスが真似をした。まだ拙い動きだがイシスが自主的に行ったと思うだけで、欲が疼いた。めちゃくちゃに抱きたくなる衝動を抑える。大切な伴侶だ。欲を散らすためだけに消費する気はなかった。
キスに夢中のイシスの黒髪を撫でる。長くなった髪を結い上げておいたが、指先で紐を外して解いた。編んだ癖が少し残る黒髪は、ゆるりとイシスの背中を流れる。押し倒して抱くより、膝の上に抱き上げてしがみついた姿勢の方を好むイシスに合わせ、服を捲って脱がせた。
言いつけた通り、他人の前でスカートを捲らなくなった。ずっとスカートでいることに、何も疑問を持っていない。可愛い、無知な子どもを褒める。
「いい子だ、ほら……おいで」
両手を広げて、膝に跨るのを待つ。肌を擦り合わせて抱き着き、イシスは嬉しそうに笑った。体を神族に作り替えただけなのに、まるで受け入れるために生まれ変わったようだ。幼くさえ感じる性器から精を吐き出す姿も、熱い吐息を漏らす様子も、とても好ましい。
「イシス、愛してる」
まだ言葉の意味を理解しないイシスは知らない。独占欲に塗れ、束縛を意味する単語に目を瞬いて、ほわりと微笑む。最後まで美味しく頂き、浄化して綺麗に整えてから淡いピンクのワンピースを着せた。疲れて眠るイシスを抱き込んで横になったところで、外から必死の呼び出しを食らった。
起きないとは思うが、もし目覚めてしまったら泣くだろう。姿が見えないオレを探すイシスも可愛いが、くだらない意地悪で泣かせたいと思わない。眠りを深くするよう魔法をかけてから、首を出した。
「なんだ?」
声が不機嫌なのは仕方ないが、輪をかけて不機嫌な顔のファフニールの爪に引きずり出された。乱暴に放り出した後、ちらりとテントの様子を窺う。やはりイシスを泣かせるのは気が引けるらしい。この点だけはドラゴンとオレは気が合う。
「平気だ。術を掛けておいた」
「それならば問うが……食うたのか?」
「ああ。とっくに」
番だと言っただろう。それに神の伴侶はドラゴンの番と同じで変更が効かない。一度自分が決めてしまえば、二度と覆らないのだ。大切な伴侶であるイシスを愛するのはオレの権利だった。
「まだ早いと思わなかったか?」
「逆に遅いくらいだ」
中身が幼いのは、オレが醜い大人の世界を抑制しているからだ。このままイシスに妙な色を付けずに守り抜きたい。そう説明したオレに、ファフニールが唸った。
「タイフォン殿の性癖は問題あると思うが」
「……性癖じゃねえよ。イシスだからだ」
変な趣味があるみたいに言うんじゃねえよ。
イシスは羞恥心が薄い。というより、ほぼゼロだった。抱かれる立場も、甘い声が漏れるのも、そういうものだと受け入れる。周りに声が聞こえてたと注意されても、きっと理解しないだろう。それでも声を遮断するのは、可愛いイシスの甘い声を誰かに聞かせる気はないからだ。独占したい。
ファフニールが「息子を返せ」と騒いでいるが、少ししたら静かになった。おそらくヴルムとルードルフが抑えたのだろう。はしゃぐボリスの無邪気な声が響くのが、なんとも居心地悪い。
「セティ、もっと」
唇へのキスが止まると、イシスはぽってりと腫れた唇で強請る。素直ないい子だ。オレの醜い独占欲を浴びても変わらない。性欲を悪いことだと捉えていなかった。愛されることに飢える子どもは、愛する存在を無条件に慕う。洗脳したみたいだな。苦笑いして接吻ける。
舌を絡めて吸い上げると、動きを覚えたイシスが真似をした。まだ拙い動きだがイシスが自主的に行ったと思うだけで、欲が疼いた。めちゃくちゃに抱きたくなる衝動を抑える。大切な伴侶だ。欲を散らすためだけに消費する気はなかった。
キスに夢中のイシスの黒髪を撫でる。長くなった髪を結い上げておいたが、指先で紐を外して解いた。編んだ癖が少し残る黒髪は、ゆるりとイシスの背中を流れる。押し倒して抱くより、膝の上に抱き上げてしがみついた姿勢の方を好むイシスに合わせ、服を捲って脱がせた。
言いつけた通り、他人の前でスカートを捲らなくなった。ずっとスカートでいることに、何も疑問を持っていない。可愛い、無知な子どもを褒める。
「いい子だ、ほら……おいで」
両手を広げて、膝に跨るのを待つ。肌を擦り合わせて抱き着き、イシスは嬉しそうに笑った。体を神族に作り替えただけなのに、まるで受け入れるために生まれ変わったようだ。幼くさえ感じる性器から精を吐き出す姿も、熱い吐息を漏らす様子も、とても好ましい。
「イシス、愛してる」
まだ言葉の意味を理解しないイシスは知らない。独占欲に塗れ、束縛を意味する単語に目を瞬いて、ほわりと微笑む。最後まで美味しく頂き、浄化して綺麗に整えてから淡いピンクのワンピースを着せた。疲れて眠るイシスを抱き込んで横になったところで、外から必死の呼び出しを食らった。
起きないとは思うが、もし目覚めてしまったら泣くだろう。姿が見えないオレを探すイシスも可愛いが、くだらない意地悪で泣かせたいと思わない。眠りを深くするよう魔法をかけてから、首を出した。
「なんだ?」
声が不機嫌なのは仕方ないが、輪をかけて不機嫌な顔のファフニールの爪に引きずり出された。乱暴に放り出した後、ちらりとテントの様子を窺う。やはりイシスを泣かせるのは気が引けるらしい。この点だけはドラゴンとオレは気が合う。
「平気だ。術を掛けておいた」
「それならば問うが……食うたのか?」
「ああ。とっくに」
番だと言っただろう。それに神の伴侶はドラゴンの番と同じで変更が効かない。一度自分が決めてしまえば、二度と覆らないのだ。大切な伴侶であるイシスを愛するのはオレの権利だった。
「まだ早いと思わなかったか?」
「逆に遅いくらいだ」
中身が幼いのは、オレが醜い大人の世界を抑制しているからだ。このままイシスに妙な色を付けずに守り抜きたい。そう説明したオレに、ファフニールが唸った。
「タイフォン殿の性癖は問題あると思うが」
「……性癖じゃねえよ。イシスだからだ」
変な趣味があるみたいに言うんじゃねえよ。
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