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114.ゲリュオンに似たらダメ?
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お風呂で寝たのは「のぼせる」って状態だったみたい。暑くなってきたら出なきゃダメ、ちゃんと覚えた。目が覚めたらいっぱい虫に食われてたし、唇もひりひりする。セティに聞いたら、困った顔してた。
「ほかの人が見たらびっくりするからな」
長袖のシャツで首にも大きいリボンを巻く。それからすぽんとスカートを被った。肩から紐で支えるスカートだから、歩いても落ちてこない。くるくる回ったら、後ろのリボンを踏んじゃった。笑いながらセティが後ろに紐でリボンを結んでくれる。
「僕も出来るようになりたい」
「うん? リボンか。今夜練習しよう」
「やった!」
トムにもリボン結んであげるね。弟にも結んであげたいんだ。そうしたら今日の僕とお揃いだ。わくわくしながら荷物をしまったセティと手を繋いだ。この宿は今日だけ、今夜は森の中で寝るんだよ。野営だね。森にいくならフェルと会えるかも知れない。
「フェルいる?」
「フェルに乗せてもらうんだ」
またあのふかふかで柔らかい毛皮に乗れるの?! フェルは速いから、たくさんいろんなところに行ける。僕が同じ速さで走るのは無理だから、フェルが運んでくれるのは助かるね。
「森へ向かうぞ」
「うん!」
トムを袋に入れて、お腹のところに抱っこする。朝からずっと寝てるけど、ご飯食べないのかな。朝ご飯食べてないトムが心配だった。でもセティは「猫は食べたり食べなかったりするから、平気だ」って言う。お腹すいたら、鳴いて知らせてね。撫でてそう話しかけておいた。
宿を出て、お昼は海の近くで食べた。お魚のお店みたいで、たくさん頼んでおいたんだって。袋に入れるフリで、収納のお部屋に魚をしまうセティの前で僕も手伝った。見えないようにスカート広げて、にこにこするお仕事……終わったら、なぜかセティの機嫌が悪かった。
「イシスが狙われるだろ」
僕、スカートだと狙われるの? 広げたらダメだった? 足は見せてないんだけど。危険やショタがどうとか、知らない言葉をぶつぶつ言いながら抱っこされて、大急ぎで店を出たよ。お店の人やお客さんはいっぱい手を振ってくれた。
「そういや、少しふっくらしてきたな」
「僕、もっと大きくなれるかな!」
抱っこで運ばれながら、大きくなった自分を想像する。セティと同じくらいの背で、がっちりした腕なら荷物もたくさん持てるね。ゲリュオンみたいなの! セティがすごい嫌そうな顔で「ゲリュオンは目指すな」と注意してきた。え? だって強そうなのに。
「絶対にゲリュオンみたいになるなよ」
何度も言われたから、素直に頷く。ゲリュオンみたいはダメ。僕、どんな大人になればいいのかな。抱っこされてる子供から成長するんだから、あ、抱っこする側になればいいんだ! セティを目指そう。大人になってセティみたく優しくて強い人になったら、きっと嬉しいよね。
「僕、セティを目指す」
「……それもそれで複雑だが、ゲリュオンよりマシ」
あれ? これもダメなの? でも僕を助けて優しくして、いろんな嬉しいをくれるセティみたいな大人になりたいな。お腹の上で、トムが「ぅにゃぁ」とご飯を催促した。買ったお魚を少しずつ千切って食べさせながら、僕達は森の奥へ入っていく。
もう少しでフェルにまた会えるね。
「ほかの人が見たらびっくりするからな」
長袖のシャツで首にも大きいリボンを巻く。それからすぽんとスカートを被った。肩から紐で支えるスカートだから、歩いても落ちてこない。くるくる回ったら、後ろのリボンを踏んじゃった。笑いながらセティが後ろに紐でリボンを結んでくれる。
「僕も出来るようになりたい」
「うん? リボンか。今夜練習しよう」
「やった!」
トムにもリボン結んであげるね。弟にも結んであげたいんだ。そうしたら今日の僕とお揃いだ。わくわくしながら荷物をしまったセティと手を繋いだ。この宿は今日だけ、今夜は森の中で寝るんだよ。野営だね。森にいくならフェルと会えるかも知れない。
「フェルいる?」
「フェルに乗せてもらうんだ」
またあのふかふかで柔らかい毛皮に乗れるの?! フェルは速いから、たくさんいろんなところに行ける。僕が同じ速さで走るのは無理だから、フェルが運んでくれるのは助かるね。
「森へ向かうぞ」
「うん!」
トムを袋に入れて、お腹のところに抱っこする。朝からずっと寝てるけど、ご飯食べないのかな。朝ご飯食べてないトムが心配だった。でもセティは「猫は食べたり食べなかったりするから、平気だ」って言う。お腹すいたら、鳴いて知らせてね。撫でてそう話しかけておいた。
宿を出て、お昼は海の近くで食べた。お魚のお店みたいで、たくさん頼んでおいたんだって。袋に入れるフリで、収納のお部屋に魚をしまうセティの前で僕も手伝った。見えないようにスカート広げて、にこにこするお仕事……終わったら、なぜかセティの機嫌が悪かった。
「イシスが狙われるだろ」
僕、スカートだと狙われるの? 広げたらダメだった? 足は見せてないんだけど。危険やショタがどうとか、知らない言葉をぶつぶつ言いながら抱っこされて、大急ぎで店を出たよ。お店の人やお客さんはいっぱい手を振ってくれた。
「そういや、少しふっくらしてきたな」
「僕、もっと大きくなれるかな!」
抱っこで運ばれながら、大きくなった自分を想像する。セティと同じくらいの背で、がっちりした腕なら荷物もたくさん持てるね。ゲリュオンみたいなの! セティがすごい嫌そうな顔で「ゲリュオンは目指すな」と注意してきた。え? だって強そうなのに。
「絶対にゲリュオンみたいになるなよ」
何度も言われたから、素直に頷く。ゲリュオンみたいはダメ。僕、どんな大人になればいいのかな。抱っこされてる子供から成長するんだから、あ、抱っこする側になればいいんだ! セティを目指そう。大人になってセティみたく優しくて強い人になったら、きっと嬉しいよね。
「僕、セティを目指す」
「……それもそれで複雑だが、ゲリュオンよりマシ」
あれ? これもダメなの? でも僕を助けて優しくして、いろんな嬉しいをくれるセティみたいな大人になりたいな。お腹の上で、トムが「ぅにゃぁ」とご飯を催促した。買ったお魚を少しずつ千切って食べさせながら、僕達は森の奥へ入っていく。
もう少しでフェルにまた会えるね。
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