【完結】愛執 ~愛されたい子供を拾って溺愛したのは邪神でした~

綾雅(りょうが)要らない悪役令嬢

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103.フェニックスの尾羽根

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 燃える鳥は「フェニックス」という種類みたい。たくさん触らせてもらって、それから小さな子供も見せてもらった。生まれたばかりの子は「雛」と呼ぶの、ちゃんと覚えたよ。

「僕の弟も、もうすぐ生まれるの!」

 雛を膝に乗せて話すと、首を傾げたフェニックスがセティを振り返った。僕を見て鳴き声みたいな声を出したので、びっくりして雛を落としそうになる。

「親と引き離したわけじゃない。イシスは捧げられた贄だった。あのジジイの許可は取れてる」

『つがい殿がおかしなことを言うゆえ、驚いた』

 よくわかんない話をしてるね。雛はお膝の上で温かくて、ぽかぽかする。炎に見える毛は柔らかいんだ。顔を出したトムを不思議そうに見つめた雛は、子猫を突いた。変な声を出したトムが雛を引っ掻こうとしたので、慌てて手を出して止める。

「ダメだよ、トム。優しくして」

 まだ赤ちゃんだって言ってた。卵から出てくる弟にも優しくして欲しい。トムも小さい子猫だから我慢は難しいけど、僕と一緒に頑張って。

 撫でながら何度も説明している間に、セティと雛のお母さんはいろんな話をしたみたい。ドラゴンが僕のお父さんとお母さんになってくれた話を聞いて、驚いてた。

『して、お前様は本当にこの子と番うのかえ?』

「そうだ」

『すでに番う意味を教えておるのか』

「……いや」

「僕、セティとずっと一緒の約束したよ」

 番うって、ずっと一緒にいることだもん。お母さんもそれで合ってるって言った。だからセティに強く言わないで。

 僕が両手を広げて間に入ろうとしたら、フェニックスは笑い出した。それから僕に頬擦りして、セティに向き直る。

『つがい殿の方が一枚上手じゃ。よいよい、野暮なことは言わぬよ。こうして挨拶に来てくれたゆえ』

 とろんと溶けて落ちそうな金色の瞳は、お父さん達より少し濃い色をしていた。フェニックスは長い尾の羽根を一本抜いて、僕に差し出す。たくさん模様があって、宝物みたいな羽根だ。

『何かあれば頼るがよい、イシス』

 名前を呼んでもらった。嬉しくなって大きく頷く。

「大切にします。ありがとう」

 きちんとお礼を言ったところで、セティは慌ただしく移動すると言う。次はどこへ行くんだろう。わくわくしながら、セティに抱っこされた。

「またね」

 手を振る先で、雛が駆け寄る。お母さん鳥が嘴で引き留めて背中に乗せた。頭の上にかけて来て、ぴぃって鳴いてる。

 セティが魔法で移動した。今度は赤い水がない、森の中みたい。前に旅して野営した場所に似ていた。でも木が違う。丸い葉っぱじゃなくて、尖った葉っぱが多かった。

「この先に亀がいるぞ。それを見たら、久しぶりに2人で野営しようか」

「うん!」

 寝る前のお呪いを1回飛ばしちゃったから、今夜はしっかりお呪いする。そう言ったら、なぜかセティが真っ赤になって抱き締める力が強くなった。お腹にいるトムが苦しくなるよ。僕が注意するより早く、トムが顔を出してセティを引っ掻いた。

「いてっ。助けてやった恩を仇で返す気か」

 難しい言葉はわかんないけど、トムの袋を慌てて背中の方に回した。

「オレが悪かった。もうしない」

 ちゅっと頬と額にキスが触れたから、唇を差し出して目を閉じる。触れたキスは優しかった。
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