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第55話 ダークエルフの活躍
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貯水池の毒による汚染は、深刻であった。
半日が経っているが、すでにエルダーロックの村は、飲み水に事欠く有様だ。
一応、上流の貯水池から村の手前の貯水池までの水路を遮断したものの、毒の一部はすでに流れ込んでいたので、調査の結果、飲料水としては使用できなくなっている。
これには村長であるヨーゼフも深刻な悩みとなった。
ただでさえ元からあった井戸は汚染されていたから、その対策として貯水池を作ったのだ。
お陰で水には困らなくなったのだが、ここにきて誰かが毒を貯水池に投じて飲めなくしてしまった。
これでは、また、最初からやり直しだ。
しかし、そこへ、コウが同居人のララノアなら、なんとかできるかもしれないと提案してくれた。
これには村長のヨーゼフも希望の光に見えたのは間違いない。
何しろコウはこの村の英雄としてその実力を認められてきている。
ヨーゼフも絶大な信頼する村民の一人だったからとても期待するところであった。
「え? 私が!?」
ララノアは貯水池から戻ってきたコウに、呪詛系の毒で汚染された水を自分の魔法で浄化してほしいと言われて困惑していた。
なにしろ未だ一人では成功した事がないからだ。
そう、一人では成功していない。
ただし、魔力の流れを確認する為に、コウに魔力を体内に流してもらって試したら一度は浄化魔法に成功した事があったのだ。
その時はコウの膨大な魔力が自分の体内に流れ込む感覚に抵抗があったので、それ以来試していない。
「そう、前回一度だけど成功したじゃない? あれをもう一度試してくれないかな?」
コウはララノアの手を取ってお願いする。
「……それが成功したら、みんなも助かるのよね? ──……わかったわ、やる!」
ララノアは本当はあまりやりたくないのだが、自分を快く迎え入れてくれたエルダーロックの村の役に立ちたいと思っていたから、承諾するのであった。
コウとララノアは完全に汚染されている上流の貯水池にその日の昼、早速、訪れた。
その場には村長のヨーゼフ、娘のカイナ、医者のドク、髭なしドワーフグループの面々が見守っている。
「ララ、やるよ」
コウはララノアの右手を握ると、そこから彼女の体内に自分の膨大な魔力を流し込む。
「……」
ララノアは無言でその魔力を体内に感じると、その大きな胸を揺らす。
そして、体全体流れ込むコウの魔力を感じながら、大きな貯水池に左手をかざすと、
「『浄化』!」
と一人では一度も成功していない魔法を唱えた。
すると、ララノアの頭上に大きな魔法陣が浮かび、貯水池全体が光に包まれる。
そして、光が収まると、先程まで毒のせいで色が変わっていた水が、透き通っていく。
これは、毒に汚染される前よりも綺麗になっているのは確かだ。
上から貯水池の底が見えるのだから間違いないだろう。
ララノアのはどうやら魔法が成功したらしい事を貯水池の水の色を見て確認すると、探るようにコウを見る。
そして、
「成功よね……?」
と自信なさげに聞いてきた。
コウは、笑顔で応じる。
その瞬間、ララノアの表には嬉しさのあまり満面の笑みがこぼれ、思わずコウに抱きつく。
「「やったー!」」
これには友人である村長の娘カイナも反応して、ララノアと二人、同時に歓声を上げた。
「……こいつは驚いたわい」
医者のドクが水の色を確認して、茫然としている。
そこへ村長のヨーゼフがドクに水質は大丈夫か念の為確認した。
「大丈夫どころか、これだけ綺麗な水なら、煮沸しなくてもそのまま飲めるかもしれないぞ!」
とドクはもう安全である事を告げるのであった。
こうして、村の危機は救われることになった。
それもララノアというダークエルフと人族の混血の女性によってである。
ララノアはコウの同居人としてドワーフ達からも認知されていたが、それだけであったので、この事からララノアは良い意味で知名度がさらに上がりそうだ。
「……私、みんなの役に立てたのね……、良かった……」
ララノアはコウと抱き合い喜んでいたが、落ち着くとようやくそれを実感する事になった。
「これも、ララが日ごろから努力していた結果だよ」
コウはララが毎日、成功しなくてもずっと練習し続けていたのを知っているから、当然の事だと述べた。
「ううん……。魔法を教えてくれたカイナや魔力を貸してくれたコウのお陰よ。私一人ではどうにもできなったと思う」
ララノアは冷静になって自分の力だけでは無理だった事を振り返る。
「いや、カイナも日頃から言ってたじゃない。練習なくして魔法の習得はありえないって。魔力は僕が貸したけど、それを操作できたのはララが日頃から練習していたからだよ。──ほら、水がこんなに綺麗なのはその浄化魔法がしっかり機能していたからだと思う」
コウはララを改めて褒めた。
彼女は自分同様、いや、自分以上に人から褒められる事無く成長してきた事で自己肯定する気持ちが縮んでしまっているのだ。
僕は、それを傍で褒めて大きく膨らませてあげればいい。そうする事で彼女は伸びていくだろう。
コウは、そう判断すると、カイナと一緒にララノアの成功を評価するのであった。
半日が経っているが、すでにエルダーロックの村は、飲み水に事欠く有様だ。
一応、上流の貯水池から村の手前の貯水池までの水路を遮断したものの、毒の一部はすでに流れ込んでいたので、調査の結果、飲料水としては使用できなくなっている。
これには村長であるヨーゼフも深刻な悩みとなった。
ただでさえ元からあった井戸は汚染されていたから、その対策として貯水池を作ったのだ。
お陰で水には困らなくなったのだが、ここにきて誰かが毒を貯水池に投じて飲めなくしてしまった。
これでは、また、最初からやり直しだ。
しかし、そこへ、コウが同居人のララノアなら、なんとかできるかもしれないと提案してくれた。
これには村長のヨーゼフも希望の光に見えたのは間違いない。
何しろコウはこの村の英雄としてその実力を認められてきている。
ヨーゼフも絶大な信頼する村民の一人だったからとても期待するところであった。
「え? 私が!?」
ララノアは貯水池から戻ってきたコウに、呪詛系の毒で汚染された水を自分の魔法で浄化してほしいと言われて困惑していた。
なにしろ未だ一人では成功した事がないからだ。
そう、一人では成功していない。
ただし、魔力の流れを確認する為に、コウに魔力を体内に流してもらって試したら一度は浄化魔法に成功した事があったのだ。
その時はコウの膨大な魔力が自分の体内に流れ込む感覚に抵抗があったので、それ以来試していない。
「そう、前回一度だけど成功したじゃない? あれをもう一度試してくれないかな?」
コウはララノアの手を取ってお願いする。
「……それが成功したら、みんなも助かるのよね? ──……わかったわ、やる!」
ララノアは本当はあまりやりたくないのだが、自分を快く迎え入れてくれたエルダーロックの村の役に立ちたいと思っていたから、承諾するのであった。
コウとララノアは完全に汚染されている上流の貯水池にその日の昼、早速、訪れた。
その場には村長のヨーゼフ、娘のカイナ、医者のドク、髭なしドワーフグループの面々が見守っている。
「ララ、やるよ」
コウはララノアの右手を握ると、そこから彼女の体内に自分の膨大な魔力を流し込む。
「……」
ララノアは無言でその魔力を体内に感じると、その大きな胸を揺らす。
そして、体全体流れ込むコウの魔力を感じながら、大きな貯水池に左手をかざすと、
「『浄化』!」
と一人では一度も成功していない魔法を唱えた。
すると、ララノアの頭上に大きな魔法陣が浮かび、貯水池全体が光に包まれる。
そして、光が収まると、先程まで毒のせいで色が変わっていた水が、透き通っていく。
これは、毒に汚染される前よりも綺麗になっているのは確かだ。
上から貯水池の底が見えるのだから間違いないだろう。
ララノアのはどうやら魔法が成功したらしい事を貯水池の水の色を見て確認すると、探るようにコウを見る。
そして、
「成功よね……?」
と自信なさげに聞いてきた。
コウは、笑顔で応じる。
その瞬間、ララノアの表には嬉しさのあまり満面の笑みがこぼれ、思わずコウに抱きつく。
「「やったー!」」
これには友人である村長の娘カイナも反応して、ララノアと二人、同時に歓声を上げた。
「……こいつは驚いたわい」
医者のドクが水の色を確認して、茫然としている。
そこへ村長のヨーゼフがドクに水質は大丈夫か念の為確認した。
「大丈夫どころか、これだけ綺麗な水なら、煮沸しなくてもそのまま飲めるかもしれないぞ!」
とドクはもう安全である事を告げるのであった。
こうして、村の危機は救われることになった。
それもララノアというダークエルフと人族の混血の女性によってである。
ララノアはコウの同居人としてドワーフ達からも認知されていたが、それだけであったので、この事からララノアは良い意味で知名度がさらに上がりそうだ。
「……私、みんなの役に立てたのね……、良かった……」
ララノアはコウと抱き合い喜んでいたが、落ち着くとようやくそれを実感する事になった。
「これも、ララが日ごろから努力していた結果だよ」
コウはララが毎日、成功しなくてもずっと練習し続けていたのを知っているから、当然の事だと述べた。
「ううん……。魔法を教えてくれたカイナや魔力を貸してくれたコウのお陰よ。私一人ではどうにもできなったと思う」
ララノアは冷静になって自分の力だけでは無理だった事を振り返る。
「いや、カイナも日頃から言ってたじゃない。練習なくして魔法の習得はありえないって。魔力は僕が貸したけど、それを操作できたのはララが日頃から練習していたからだよ。──ほら、水がこんなに綺麗なのはその浄化魔法がしっかり機能していたからだと思う」
コウはララを改めて褒めた。
彼女は自分同様、いや、自分以上に人から褒められる事無く成長してきた事で自己肯定する気持ちが縮んでしまっているのだ。
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