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らぶいちゃピロートーク

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 小鳥の鳴き声が耳に飛び込んできて、今は何時だろうと重い瞼を上げた。目の前にある温かな毛皮に擦り寄ったところで、ハッと意識が覚醒する。

(そうだ、僕は昨日、タオと……)

 最後の方は記憶が混濁するくらい、全身がどろどろになるまで愛されたことを朧げに思い出し、かあっと身体が熱くなる。

 腕を持ち上げるだけで気怠く感じるが、気力を振り絞って全身を確認してみた。何もこびりついたり濡れたままにはなっていない、タオが洗ってくれたのだろうか。

 足は筋肉痛のように強張っているし、股の間にはまだ何か挟まっているような感覚がある。

 昨夜いかに激しく愛されたのかを物語っているようで、静樹は恥ずかしくなってタオのふかふかの胸元に顔を埋めた。

「ん……おはよう、シズキ」

 タオが起きたらしい。ゆっくりと髪を撫でられて、その心地よさにため息をついた。おはようと答えようとして、声が酷く掠れていることに気づく。

「おは、よ、ケホッ」
「わあ、酷い声だ。水を飲みなよ」

 タオは寝台サイドの机に置いてあった水差しから、杯に水を注いでくれた。冷たい水を喉に流し込むと、幾分喉の調子がマシになる。

「ありがとう、タオ」
「身体は大丈夫かな、お腹空いてない? 果物を採ってきたから食べよう」

 同じく机の上の籠からブドウのような見た目をした、桃色の果実を差し出される。

「はい、あーん」
「え、あ、あーん……」

 口の中に果実を入れられて咀嚼する。林檎のような爽やかな甘みが舌の上に広がり、静樹は目を細めた。

「美味しい? もう一つどうぞ」

 タオは静樹がもういいと言うまで、何度も果実を口に運んだ。恋人同士そのものな触れ合いを気恥ずかしく思いながらも、嬉しさも同時に湧き上がってくる。

 頬を染めながら彼の好意を受け入れた。静樹の作ったスープも温め直してくれて、それも食べる。

 タオも果実とスープを食べてお互い満足したところで、ぎゅっと柔らかく抱きしめられた。毛皮が地肌に触れあって、ため息が出るほど心地よい。

 肩から背中のラインを辿るようになぞると、タオはグルグルと気持ちよさそうに喉を鳴らした。静樹は微笑みながら、彼の背中を繰り返し撫でる。

「シズキ……はあ、好き」
「……っ!」

 突然気持ちを告げられて息を呑んだ。うっとりしたような声音は、心から静樹のことを好きだと伝えてくるようで、どうしたらいいかわからなくなって俯いた。

「あ、僕も……好きだよ」

 なんとか気持ちを返すと、一瞬グッと息が詰まるほど強く抱きしめられた。手がお尻の上に乗って揉まれるのを、身を捩って避けようとする。

「シズキ、まだ足りないんだけれど」
「えっ……もう無理だよ」

 筋肉痛とお尻の違和感が凄まじくて、これ以上やったら壊れてしまいそうだ。恐れの気持ちを滲ませながら首を横に振ると、名残惜しげに腰を触られた。

「ええ、駄目?」
「だめ……」

 彼の胸元に顔を埋めながら告げると、尻尾がシーツの上を擦る音が聞こえた。ううーと唸った彼は、静樹の頭から腰までを順に撫で下ろす。

「どうしても駄目?」
「お尻壊れちゃうから……」

 言い方が不味かっただろうか、甘えるような声音になってしまい、タオがゴクリと息を呑む気配がした。見上げた目は瞳孔が大きく開き、興奮でキラキラしている。

「ね、シズキ今の台詞、もっかい言って?」
「や、やだ。そんなことより、もやしを買いにいこうよ」
「え、もやし?」

 もう一戦挑まれそうな危機感を感じて、別の提案をしてみた。面食らった様子のタオにさらに畳みかける。

「一緒にもやしを買いにいってくれるんでしょう?」
「ああ、そんなことも言ったね。いいよ、探してみよう」

 タオは起き上がり衣服を身につけた。静樹も落ちていた服を取ろうと起き上がる。足に力が入らずバランスを崩して、寝台から落ちてしまった。

「ぇわっ!」
「シズキ!」

 幸いにもタオが止めてくれて事なきを得る。危うく顔面から床に飛び込むところだったと、ホッと胸を撫で下ろした。

「ああ、びっくりした」

「びっくりしたのはこっちだよー、今日は出かけずに寝台で過ごした方がよさそうだね」

 その方がよさそうだと、素直にタオの言葉を受け入れた。
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