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86.実況者の彼氏
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実況者の彼氏を持つと色々大変である。
「ちょっくら実況してくるわ」
「……いってらっしゃい」
実況しはじめると二時間は部屋から出てこない。
閉まった扉を寂しげに見つめた。
「はー寂しい、デートしたい」
せっかくの休みの日だっていうのに、配信の予定があるらしい。
稀に暇な日があって昼間からデートできても、彼氏は顔出ししているので外では手すら繋げない。
それを承知でつきあいはじめたけれど、寂しがりの受けにとってはなかなか辛い現実だった。
「まだかな、二時間って長いよ」
扉の向こうからは楽しそうな笑い声が聞こえてくる。
「実況者さんの声大好きですって? イケボだろ? ありがとなー」
うるさいそんなの俺の方がよく知ってるし、なんなら昨夜も耳元に吹き込まれて腰砕けになったしと内心張り合い、ため息をつく。
「えー次のコメント、恋人さんは今日いるの? 来てるよ」
ドキッと胸が高鳴る。扉にじりじり近づいて耳を澄ませた。
「お前らこういう話題好きだよなー。個人情報は出しませーん」
ケラケラ笑った彼はいたずらっぽい声を出す。
「まあでも、一つだけ言うとするなら……可愛いやつだよ」
心臓が飛び出るかと思った。
彼がこんな風に俺のことを話すなんて初めてのことだ。
「あーもう照れる、トイレ行ってくるわ」
しまったと思った時には、彼は扉から出てきていた。
へたりこむ俺と目があうと、頬を染めたままキスをしてくる。
「ん……!」
(今マイク切ってる!? 切ってるんだよね!?)
問いかけることもできず必死に声を我慢しながら、うごめく舌をびくびくしながら受け入れた。
腰砕けになった頃、彼は唇を離して耳元でささやく。
「この後、デートしような。じゃ、また後で」
パタリと扉が閉まったけれど、一歩も動けない。
……実況者の彼氏を持つと色々大変である。
「ちょっくら実況してくるわ」
「……いってらっしゃい」
実況しはじめると二時間は部屋から出てこない。
閉まった扉を寂しげに見つめた。
「はー寂しい、デートしたい」
せっかくの休みの日だっていうのに、配信の予定があるらしい。
稀に暇な日があって昼間からデートできても、彼氏は顔出ししているので外では手すら繋げない。
それを承知でつきあいはじめたけれど、寂しがりの受けにとってはなかなか辛い現実だった。
「まだかな、二時間って長いよ」
扉の向こうからは楽しそうな笑い声が聞こえてくる。
「実況者さんの声大好きですって? イケボだろ? ありがとなー」
うるさいそんなの俺の方がよく知ってるし、なんなら昨夜も耳元に吹き込まれて腰砕けになったしと内心張り合い、ため息をつく。
「えー次のコメント、恋人さんは今日いるの? 来てるよ」
ドキッと胸が高鳴る。扉にじりじり近づいて耳を澄ませた。
「お前らこういう話題好きだよなー。個人情報は出しませーん」
ケラケラ笑った彼はいたずらっぽい声を出す。
「まあでも、一つだけ言うとするなら……可愛いやつだよ」
心臓が飛び出るかと思った。
彼がこんな風に俺のことを話すなんて初めてのことだ。
「あーもう照れる、トイレ行ってくるわ」
しまったと思った時には、彼は扉から出てきていた。
へたりこむ俺と目があうと、頬を染めたままキスをしてくる。
「ん……!」
(今マイク切ってる!? 切ってるんだよね!?)
問いかけることもできず必死に声を我慢しながら、うごめく舌をびくびくしながら受け入れた。
腰砕けになった頃、彼は唇を離して耳元でささやく。
「この後、デートしような。じゃ、また後で」
パタリと扉が閉まったけれど、一歩も動けない。
……実況者の彼氏を持つと色々大変である。
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