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第五章

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 洋太が赤い顔で少し恥ずかしそうに笑いながら言う。
「照れるからやめろって……なんか、こうやっていちいち緊張しながらだと、まるで学生が実家でデートしてるみたいだな」
 順平も面白そうな笑みを浮かべて、至近距離から洋太を覗き込んだ。
「今夜はそういう設定でやるか? 大きな声を出したり音を立てたらお前の負けだ」
 ワンルームマンションで泊まってするエッチの時、洋太と順平はよくこんな風に、色んな設定を決めて楽しむことがあった。
 順平は意外と様々なタイプのAVを観ているようで、少し恥ずかしいことに興奮する洋太のツボを押さえたシチュエーションを提案してきた。
 今夜はさしずめ「実家でデート中にムラムラしてしまった学生カップルが、家の人に気づかれないように声を抑えてエッチなことをする設定」といったところか。
「言ったな? オレが勝ったら高いほうのアイス一か月分おごるんだぞ?」
 洋太が笑って受けると、順平が余裕の表情で顔を近づけながら含み笑いをした。
「いいだろう。いつまでもつかな……」
 すぐにベッドに押し倒されるかと思いきや、順平は体を密着させて洋太の隣に座ったまま、後ろから腕を回して洋太の頭を支え、軽く触れるだけのキスをした。洋太が意外そうな顔をすると、またもう少しだけ深いキスをする。
 そうして次第にキスの長さと濃さを増して行くとともに、大きな掌がそろりと太腿の付け根辺りをまさぐって、服の上から洋太の芯に撫でるように触れた。予想していなかったタイミングでのソフトな愛撫に、無防備だった下半身がびくりと震える。
「あっ……そ、そこ……いきなり……?」
 洋太が赤くなって恥じらうように順平を見上げると、相手は熱い目線で洋太の顔を見つめながら、切なげな吐息とともに囁くように言った。
”学生カップル”だからな……多分こういうことに興味津々だろ? でも、よくわからないから、ベッドで隣に座ってキスしながら、お互いに手で触り合うんだ……どうだ、ムラムラしそうだろ?」
「……お前、どこでそんな、微妙にリアルっぽいエロ設定を仕入れてくるんだよ……まあでも、確かにムラムラはするかも……」
「だから……洋太、お前もオレのを触ってくれ……初々しい感じでな」
「まるでオレが、もう初々しくないみたいな言い方やめろよ……」
「細かい文句を言うな……ほら早く……」
 順平に熱っぽい眼で促されて、洋太が真っ赤になりながらおずおずと順平の太腿の付け根に手を伸ばすと、すでに立ち上がりかけている洋太よりも大きな芯を掌で軽く触った。布越しにも焼けるような熱と硬さが伝わって来る。
「すご……触ってないうちから、もうこんなに……」
「ああ、パジャマ姿の洋太が十分にエロいからな……早く抱きたくて、目眩がしそうだ……でも、こういう隠れてするエッチも悪くない」
「この変態め……」
 ひそひそ声で、笑いながら会話しつつ、互いのさすっている掌を通して熱い脈動がダイレクトに伝わって来て、心臓が耳元で鳴っているように感じる。
 順平が顔を近寄せて洋太に口を開かせると、唇同士をわずかに離したままで熱い舌をもつれるように絡め合った。
 気がつくと、順平の手がパジャマの布を手繰って下着の中に入り込み、そっと洋太の芯を握り込んだ。そのままやわやわと指を動かすと、口づけた状態の洋太がたまらずにくぐもった声をもらした。ベッドの上で腰がひくついている。
 ディープキスからわずかに唇を離して順平が、快感で茶色の瞳を潤ませた洋太にも、自分の手の動きと同じようにするよう促す。
「ほら……洋太、オレのも……」
「あ、ああ……」
 下半身に断続的に与えられる半端な刺激に、少しぼうっとした頭で洋太が返事をする。が、徐々に芯を握って上下にしごく順平の手の動きが速くなってきて、どうしても自分の手をうまく動かすほうに集中できなかった。
 はっ、はっ、と赤い顔で短く息を吐いている洋太の口を、順平の唇がまた塞いで、舌の付け根を強く吸うと同時に、握った芯の先端を親指で強めに押し揉むようにした。洋太の腰がびくっ、びくんっと跳ねてベッドの軋む音が響く。
「ん……んう……っ?! んっ……んんー……!」
 耳たぶまで紅潮させ、見開いた洋太の眼が涙で潤んでいる。すっかり動きを止めてしまった洋太の手とは対照的に、順平の大きな掌が中に包み込んだ洋太の芯を絞りこむような動きで、こぼれた熱い雫を残らずすくい取った。
「オレの手の中に、こんなに出して……本当に可愛いな、洋太は……」
「あ……あぁ……っ、順平……オレ……も、う……」
 あおるような順平の言葉にも、反論する余裕もなく、洋太が息も絶え絶えに順平に懇願した。半開きになった口の端から、透明な涎が垂れ落ちそうになっている。
 それを見た順平が急に獣めいた顔で舌なめずりすると、口を開けながら洋太の頬を舐めて涎を舌で拭い取った。
 順平が空いているほうの手で洋太の腰を抱いてベッドにゆっくり倒すと、顔の脇に片腕を突っ張って見下ろしながら、まだ余裕のありそうな表情で、怖いくらいに優しく語りかける。
「洋太……うつぶせになれるか……?」
「え……?」
 洋太が快楽の余韻にぼんやりとしながら、恋人の頼みに応じてパジャマのズボンを足の付け根までずり落ちさせた格好のまま、シーツに片肘をついて、ベッドに腹這はらばう姿勢になった。顔を赤らめて肩越しに、何かを待ちながら順平を見上げている。
「よし……いい子だな、洋太……ちょっと腰を上げるぞ」
 そう言って順平がベッドと腹の間に腕を差し込んで洋太の腰を持ち上げると、そのまま開いた膝を立てるような姿勢で固定させた。
 背後で膝立ちした順平の前に、洋太が風呂上りのつるんとした尻を突き出す格好になり、恥ずかしさで洋太の顔が真っ赤になった。
「あ……順平、これ……やだ……み、見えちゃう……から……」
「何でだ? こんなに綺麗なのに……もっとよく見たいし、触りたい……」
 露出したなめらかな尻を順平の指が滑って、濡れた熱い唇が触れた感触があった。洋太が声を出しそうになって、思わず枕に顔を突っ伏して耐える。
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