【R18】ライフセーバー異世界へ

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128 ナツミとネロ その7

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 目隠しをした後、ネロの動きって何か特別に変わったかしら? と、リンダは思う。しかしそれすらもまともに考えられなくなってきた。

 ネロに赤い紐で後ろ手に縛られた時から、その先にある出来事は想像出来たけれども。

「あっ……はっ」
 体が熱い。
 熱に浮かされている。
 突然ゾクゾクする震えが湧き上がる。

 でもそれは、もどかしさからくるものだ。心地いい。しかし男に──ネロに挿入されているわけでもないのに。

(何でなの──)





 目隠しをした後もネロのフワフワした口調は変わらなかった。ネロの腰帯は体温が僅かに残っている。柔らかくて上等な布に細かい刺繍が施されている。

(やっぱり領主の次男よね。身に付けているものがやっぱり違う)

 上等な布で視界が遮られる。下ろしたばかりなのか腰帯からはシャボンのいい香りがする。

「ねぇ。リンダこの辺り凄くこってるね」
 視界を遮った後もネロはフワフワしながら柔らかく話す。そう言って後ろ手に縛った両腕をほぐしはじめる。意外と力強いが痛いと思う事はない。
「そう?」
 コロンとベッドに転がされる。後ろ手を縛られたままで、肩甲骨の辺りをゆっくりとネロは指で押していく。

「ほらこの辺りとか。背中全体が凝り固まっているね。それならば、後ろで縛っておく方がいいと持ったけれどもバンザイの方がいいかな」
 ブツブツとネロは呟くと後ろで縛った紐を緩めて、リンダを再び仰向けにすると両腕を頭の上で縛り直す。

「手が全然動かない」
 視界が塞がれているリンダは両腕を動かして、腕を上げたままになった自分を確かめる。紐はベッドの何処かに縛り付けられているのか自由はなくなった。

「折角だから僕がほぐしてあげるよ」
「え?」
 ずっとネロの声は頭上で聞こえていたのに突然左耳で聞こえた。リンダは驚いて体が跳ねる。ネロの声はとても低かった。

 ネロは最初、腕を撫でる様に触れていた。その内、腋の真ん中をゆっくり押す。いきなり腋を押さえられたので、くすぐったくてリンダは体をよじる。

「スベスベしている。毎日手入れをしている肌だ。ああ、とても美しい」
 恍惚としたネロの声にリンダは頬を赤らめる。視界は遮られているからネロがどんな顔をしているのか想像するしかない。しかし、低いネロ声にドキリとしてしまう。

 店では色々な男がリンダをものにしようとして声をかけてくる。酒の席もあるだろうが、皆ニヤニヤとだらしない顔をしている。
 しかしネロの声は優しくてそんな様子が全くしない。
「あ、ありがとう」
「本当の事を言っただけだよ。しかし、本当に背中と肩がこってるね」
 ネロが肩甲骨に両手を回してゆっくりと指圧をする。

「……ふっ」
 リンダは息を小さく吐いた。

(気持ちがいい……ほぐしてくれているだけなのに、この体勢はネロに抱きしめられているみたい)

 薄いタンクトップ一枚を隔てた向こうにネロの体温を感じる。肩甲骨に触れるネロの両手のせいで胸を突き出す様な格好になっていた。ネロの着ているチュニックがいたずらにリンダの胸の先を掠める。

「んぅ」
 視界が隠れている分、触れられるところがいつもより敏感になっている気がする。揉みほぐしてくれているが、違う場所に移る為に手を放すネロ。

 微妙に素肌の上を指の腹で滑っていく。視線を隠される前は唯々くすぐったかったのにじれったい。

(少し掠めただけなのに)

 リンダは足の指先に力を込めた。膝を精いっぱい自分の方に曲げるが体の間にはネロがいる。リンダの腰にピタリと腰をつけるネロ。ネロの体温を感じるだけで特に興奮している様子はない。腰を揺らしてネロの様子を確かめてしまった自分に気がついて思わず唾を飲み込んだ。

(何を期待しているの私……)

 目は見えない。出来るだけ耳を澄まして肌からネロの様子を感じとろうとする。

(ネロは次、私のどこに触れるの? どんな風に触れるの? 私をどうしようとしているの?)
 必死に考えていると不意にネロが耳元で微笑んだ気がした。

「え。あっ」
 ネロは突然タンクトップを捲り上げて腋の下から体の中心にかけて乳房の輪郭をなぞった。ゆっくり触れるか触れないか。指の腹で柔らかく何度も何度も。

「うっ、っぁ」
 柔らかい乳房の部分をクルクルと円を描く様に触れ、乳首に向かっていく。

 期待で立ち上がった乳首を触れてくるに違いない。なのに、ネロは乳輪の側まで来ると手を放してまた腋から同じラインを辿る。それを何度も繰り返す。

 その度にリンダは小さく喘ぐ。気持ちいいけれども決定的に昇りつめる事はない程の緩い刺激。

「何で──」
 揉みほぐすだけなら触れる必要はない部分だが、ここまで来たなら触れて欲しいと思う。しかし触れて欲しいと言いにくい。だって最初ネロはこう言ったのだ。

『今から色々僕がするけれども。もしリンダの中に潜り込むのが嫌だと思ったら言ってね。だって別にセックスの体験をする為じゃないからさ』

 セックスの為ではないのに。お店で提供する性癖に特化した遊戯の体験なのに──強請ってしまってはどうしようもないのでは。

 グルグルと考えている間もネロは微妙な指使いで脇腹や腹も触れる範囲に加える。普段ならくすぐったいところなのに柔らかく触れられて体が跳ねる。

 そこで、ようやくネロの声が響く。

「──何で触れてくれないのかなぁって? そんな風に思っているのかな」
 最初はずっと優しく話していたのに軽くあざ笑うネロが、リンダが思っていた言葉を口にする。

「そ、んな事はっ」
 言い当てられると焦ってしまう。
「ふぅん。じゃぁ、イイところはどこなのかな。どんどん教えてよ。ねぇリンダ?」
「……あっ、うっ」
 もう一度腋の下からゆっくりと円を描く様に触れられる。思わず歯を食いしばる。

(そう、そのままゆっくり先端を擦って……)
 息を呑んでネロの指の腹に胸を突き出す。なのにネロは再び手を放してしまった。

「あっ!」

(また! 触れてくれなかった)

「ほら。お強請りして?」
 囁くネロの声。頭上で声がしたり突然耳元で囁かれたりする。今は頭上で囁かれた。

「お、お願い。ち、乳首を」
 触ってください……

 小さな声で呟く。リンダは自分の心臓の音を聞いた。興奮しているのは自分だ。胸を上下させてお願いする。

(お願いするのって何か凄く恥ずかしい……)

「うん分かったよ。上手くお強請りできたね。じゃぁさ、もつけちゃおう」
 ネロが突然明るい声を上げる。衣擦れの音がする、どうやらポケットから何かを取り出している様だ。するとポンと軽く音がして小瓶の栓が開いた音がした。

 突然お腹と胸の間に冷たい液体が垂らされる。

(ジャスミンのいい香りがする。香油かしら?)

 鼻をすんと鳴らしたら、ネロは笑いながらリンダの体に滑りのいい謎の液体を伸ばしはじめた。

「ヒィ、あっ!」
 途端に大きな声を上げたリンダにネロがクスクス笑う。
「これはね香油に似ているけれども違うんだ。香油よりもっと滑りがいいんだよ。ゴメンネ。温めてからつけた方がよかったかなぁ」
「んんっ!」
 香油代わりの液体は恐ろしく滑りがよかった。ネロの手で伸ばされると再び腋の下からクルクルと円を描く様に乳房をなぞる。恐ろしく敏感になっている肌が粟立つほど滑りがあって思わず声を上げてしまう。

「あっ、な、何で!」
 肌の手入れをしているからと言ってもネロの指先もカサついていたからそんなに感じなかったのに滑りがよくなる事で比にならないほど気持ちがいい。

「ほらココ、凄く触って欲しいってこんなに──」
 瞬間──今まで一度も触れていなかった胸の固く尖った先端をネロはゆっくり押さえ込む。それから押し込んだまま柔らかく上下に指を擦る。

「あっ、あああーっ」
 それからはしつこく先端ばかりを擦られる。どんなに喘いでも激しくする事はない。ゆっくりと触れてゆっくりとなぞる。輪郭や形そして堅さを確かめながらネロはゆっくりと触れる。
 ネロの触れるタイミングに合わせて高い声を上げる。しかし到底達するまでには至らない。腰が揺れはじめる。

 足りない、刺激が足りない。
「あっ、こんなの、あっ、あっ」
 同じリズムで触れられていたのにもっと優しく触れる。どんどん指が離れていきそうになる。するとネロが尋ねる。
「気持ちいい?」
「気持ちいい! 気持ちいいの」
 気持ちいいと言っているのに何故かネロの手が離れていく。遠くの脇腹に今度は触れた。
「離れないでっ!」
 もう少しでもしかすると胸だけでも達する事が出来るかも知れないほど気持ちがいいのに。何故離れるの?! リンダは見えない視界のまま首を左右に振った。

 新たに一から快楽が生まれそうだけれど、また手を放されるなら最悪だ。

「リンダそれはお願いなの?」
「お、お願い……?」
「お願いならもっとちゃんと言ってくれないとさぁ。僕だって分からないよ?」
 意地悪に低い声で笑うネロだった。だから必死にリンダは応えた。
「お願いっ! 腋から触れられて、乳首を擦られるのがよかったのっ。気持ちがいいからお願い。それでイキたいの」
「ふーん。これ?」
 そう言ってネロはゆっくりと腋から再び同じラインを辿りはじめる。やはり触れるか触れないかの微妙な触り心地。
「もっと、もっと強くがいいの。あっ……」
「リンダ、よく言えました。これはご褒美」
 次の瞬間、リンダが触れてとお願いする片方の腋をベロリとネロは舐めて、指で辿ったその道を今度は舌で同じ様に辿る。そして最後は尖りきった乳首をわざと音を立てて吸い上げる。もう片方の乳房も指で強く擦り上げリンダの希望に応える。

 リンダは悲鳴に似た声を上げて体を弓なりにして息をつめた。その後直ぐに体をベッドに沈めるのに今度はネロが全く動きを止めてくれない。何度もしつこく同じところを同じ様に繰り返し責める。

「あっ、あっあーっあっ、あっ」
 最初高かったリンダの声が急に低くなって同じ言葉しか発しなくなる。

 体をねじってネロから快楽から抜け出そうとするのに、腕は縛り上げられ目隠しはされたままでどうにもならない。足の爪の先が白くなるほど指先に力を入れて空中を蹴る。

 止めて欲しいとも言えず喘ぎ続けるばかりでネロは次々と無言で続ける。お風呂にも入っていない踊り疲れているはずの体にネロは平気で舌を這わせる。まるで塗りたくった香油代わりの液体を舐め取り食べる様に。

 突然、リンダが首をガクンと後ろに倒して言葉を発しなくなった。口の端からよだれを垂らしている。

「うーん。失神か」
 ベトベトになった口元を拭いながらネロは自分の汗で上気して眼鏡を白く曇らせていた。
 それから気を失ったリンダの下に穿いていていたショートパンツや下着を取り去ってしまった。





 絶叫して意識を失ったリンダに皆が呆然としていた。

「な、何なのよ。あんなにベロベロ舐め回されるなんて」

 最初声を上げたのはエッバだった。エッバは、椅子の上で思わず体育座りになっている。それぐらい官能的だった。

「入れてないのに失神とかあるのかよ。だって少し触れただけだぜ?」
 ソルもゴクリと唾を飲み込んでいた。
 
「手も拘束されている上に視界も塞がっているんだ。感覚が研ぎ澄まされるのだろう。普段より感覚が鋭いから余計にな」
 冷静に分析するのはゴッツさんだった。

「目隠しと拘束だけであんなに乱れるのね。男女逆転でも上手くいくかしら?」
 真面目に考え込んでいるのはトニだった。

「そ、そんなに冷静に分析するの?」
 いたたまれない。私は指の隙間から覗きながら顔を真っ赤にしていた。

 うー。顔から火が出そう。もしかしてエッチしている最中を見るよりも前戯を見る方が恥ずかしいのではないの? と、頭はいっぱいいっぱいなのにトニはやたら冷静だった。

「だって驚くわよ。リンダって快楽に弱い人間じゃないのに。だから相当なのね。ネロって顔に似合わず結構グイグイいくのねぇ。しかも相手の感じるところを凄く押さえているって言うか」
 やはりトニが唸っていた。

「あの水の様な固まりの液体って何なの? 『ファルの宿屋通り』ではあんなの使用しているの? ヌルヌルしていて香油よりも滑りがよさそうよね」
 エッバがトニと私に尋ねる。

「いいえ知らないわよ。私は初めて見るわ。ナツミは知ってる?」
「わ、私もよく知らないけど。多分ネロさんの自作のものみたいだね」
「へぇ~後で教えてもらえるかしらね」
 トニの言葉に私は口籠もってしまった。

 ごめんねトニ。私もあの液体は知ってよ。

 アレは見覚えがある。ジャスミンの香りやらオレンジの香りがするもので、最近やたらザックがアレを使って私にマッサージをしたがる。マッサージなんて言い訳で、つまりエッチ前の前戯に使われてしまう。

 ヌルヌルしていてローションの様な肌触り。ザックも口に含んでも平気だと言っていた。何でも植物、主に芋からとった粉を使って香りの強い食品で香りをつけるものだから問題ないのだとか。

 もう! 出所が判明。やはりネロさんが作ったものだったのかっ! って事はマリンやミラも同じ目にあっているのかな。私は遠い目をした。

「私もあのヌルヌルしたやつの作り方を教えてもらおうかな」
 エッバもポツリと呟いた。
「それ作ってどうするつもりだよエッバ。もしかして自分に使うつもりなのか?」
 ニヤリと笑って腕を組みながらソルがエッバの顔を覗き込んでいた。
「ち、違うわよ。えっと、その~そ、そうよ! 売れるんだったらアレで商売出来るんじゃないかと思っただけよ」
 エッバは顔を真っ赤にして慌てて手を振って否定していた。
「ホントかねぇ~」
「そ、そりゃ。少しは興味あるって言うか。気持ちいいのかなって思って……」
 珍しく尻すぼみになって縮こまってしまった。ソルはその様子を見てますます調子に乗った。
「何だよ~素直に言ってくれたらいつでも付き合うのに。エッバには俺が試してやるぜ?」
 ソルは彫りの深い瞳を細めて流し目でエッバを見つめた。しかし、エッバは突然真顔になって口のまで手を左右に振った。
「あ、それはないから」
「……」
 ソルはエッバに誘いをかけたが失敗をした。

 そんな無駄な話をしているとリンダが意識を取り戻していた。気がつくと直ぐにネロさんがまた微妙な触り方で今度は足の付け根辺りを行ったり来たり撫でていた。

「ネ、ネロっ、そこは!!! ぁあぁっ。お、お願い、お願い」
 両腕を拘束し目隠しをされたまま、白かった肌を紅潮させてネロさんに何度もお願いと強請っていた。

 その悩ましい声と泣き声のリンダに、私達は再び釘付けになってしまった。





「お願いって言われてもね。もっとお願いしたいのか言ってくれないと。分からないよ」
 ネロは笑いながらリンダの足の付け根にある、濡れた襞を一つ一つ確かめて長い指でゆっくりとなぞった。

 時折生き物みたいに蠢く花びらは中央の薄いピンクの部分をさらけ出していた。重なったその先へ入り込む様に促している。そして、ぷっくりと膨れた芽もツルリと皮が剥けていた。リンダの体液でコーティングされてしっとりと濡れていたいた。

「さ、触って欲し……あっ!」
 突然例のトロリとしたジャスミンの香りがする液体を垂らされる。
 直接垂らされると冷たい。冷たい液体は膨らんだ芽に直接垂れて刺激があった。リンダの体が跳ねる。

「うん。触れて欲しいんだね。分かったよ」
「っ、っあ」
 ネロの指先はリンダの体液と香油に似た液体でしっとりしている。やたら滑りがよく、ゆっくりと窪んで潤った蜜壺の外をゆっくりと輪郭をなぞって上に登ってくる。

 丁度膨らんで今か今かと触れるのを待っている芽の下までたどり着くのに、何故か乳首の時と同じで芽の周りをゆっくりなぞるだけで肝心な頂点に触れようとしない。
 焦らされはじめた体が堪らなくて震える。早くもっと激しく潰す様にしてくれてかまわないのにとリンダは思っているが恥ずかしくて口に出せない。

 今まで何も言わなくても男は絶頂させる為に無理矢理にでも触れてこようとした場所なのに。だからリンダは耐えきれなくて涙声で訴える。
「ヤ、ヤダぁあぁ」
 リンダの言葉にネロはパッと簡単に手を放してしまう。
「ごめんね嫌なんだね」
「あっ! ひ、酷い」
 ネロが触れているのはリンダの腰に添えられた手だけになってしまう。

(もっと触れて欲しかったのに!)

 そう思っているとネロが困った様に声を上げた。
「え~? だって嫌な事はしないって僕は最初に言ったからさ。リンダは嫌なんでしょ?」
「……」
 確かにそうなのでリンダは言い返せず口を閉じてしまう。

(嫌じゃない……嫌じゃないの。だけど、こういう時ってイヤってヤダって言うもんでしょ、普通は)

「普通だったらお決まりの女性の可愛い台詞だけどさぁ」
「?!」
(嘘! ネロは私の考えを読んだの?)

「今はどうして欲しいか教えて欲しいんだよね。僕はリンダの気持ちイイところに全部触れたい。だからさ、どこを触ったらいい?」
 塞がれた視界だけれど、ネロの顔がリンダの顔の前にあるのが分かる。ピタリとつけられたネロの腰がリンダのぬかるんだ部分にどうもネロ自身が直接触れている。ネロが服を脱いだ様子はリンダが意識がある時にはなかった。しかしチュニックの衣擦れも聞こえる。下半身の一部だけを露出しているのだろうか?

 熱いて太いネロ自身を感じるのに。ネロはゆったりとリンダの要望だけを聞いてくれる。

(それならば……)

「ふ、触れて欲しい」
「どこに?」
「あの、私の……うっ」

(い、言えない! 恥ずかしい! 大体こんな強請り方をした事ないのに)

 リンダが首を左右に振って恥辱で真っ赤になった頬の熱を逃そうとする。
「仕方ないなぁ。ほら、これなら僕しか聞こえないから」
 ネロがそっと囁いて耳をリンダの唇につけてくれた。そして──
「僕にさ、触れて欲しいの?」

 きっと見られている。

 ゴッツさんは店主だから仕方ないけれども、トニもナツミもエッバもそしてソルとか言う青年も。だけれど──

「……おっぱいと私の膨らんだ下半身の……と。ど、同時に……気持ちよく、し、してくださ……」
 蚊の鳴く様な声で泣きながら呟く。

 言った事のない単語。

 大抵の男がココがいいのだろ? って言うだけで後は喘がされるだけなのに。

「うーん。声が小さいけどはじめてだしね。まぁいいか。よく出来ました」
 ネロはクスクス笑って腰に添えていた手を腋の下に、そしてもう片方の手で足の付け根で震えていた芽をゆっくり撫ではじめた。

「あっあああ……イイ……」
 ゆっくりと動かす指がリンダの全身の毛穴を開かせる。じわりと痺れた心地よさに口元が綻んでしまう。どっと汗が噴き出たかと思った瞬間──

「素直でいいね。じゃぁこれは?」
 そう言ってネロ自信をぐずぐずにふやけきったリンダの蜜壺に、自分自身を音を立てて潜り込んできた。

 リンダは驚いて息をつめ背中を反らせて、魚がパクパクとエサを求める様に口を開けたり閉じたりした。

「──!!!!」
 声が出ない──突然の快楽の訪れにリンダは悲鳴すら上げられなかった。

 ネロはリンダの奥まで潜り込むと、腰は動かす事はなかった。

 それから、地獄の様な快楽がはじまった。ネロの舌と指がリンダの体を這い回る。お願いした通り一番弄って欲しい場所ばかりを丹念に触れる。

「ヒィ、あっあっあっあ……!!」
 リンダは再び低い声で唸りはじめた。

(あっ、そこ。いい! イッちゃう。イクッ。嘘、どうしてっ、イっ……勝手に体が。あっ、もう分からない。どこ、に、触られてもおかしくなるっ。あっ、イッちゃうから。そこ指でもっと擦って、口に含んで欲しいのっ。ああ……)
 リンダは心の中で呟いていたが、気がつけばうわごとになっていた。

「可愛いねリンダ。もっとお願いしてみなよ。これは? 僕は君の中に入ってるのに、もしかして忘れてる? 僕のそんなに存在感ないかな」
 ネロはずっと優しくリンダに触れ続ける。

 腋を舐め更に口の恥から流れただ液を口づけて舐め取る。リンダはネロの舌を慌てて追いかけキスを強請った。

「キス、し、て、ください。ち、違う。存在感ある。あります。う、うご、うごいっ、て……くだ、さい」
 途切れ途切れで呂律も怪しくなっていた。

「よかった存在感あって。分かったよ。動くね」
 ネロは体が細身なのに、男性の部分はとても立派だった。

 大きくて太い。熱い……だが、リンダはそれどころではなかった。

 抽送が始まったらどうなるのか予想もつかない。指で触れる速度と同じ様にネロはゆっくりと腰を引いたり押しつけたりする。その間ずっと指や舌は一番気持ちいいところを触れたままだ。

「あっ、あっ、また、わ、わた、私。またっ、イッちゃう。イクッ、イッ! あっ、ああ──」
「うんリンダ。僕も凄く気持ちいいよ」
 そう言ってネロが優しく笑う声がする。

 リンダは体を震わせて足で宙を何度も蹴る。

 足の指は丸まったまま力を入れすぎて真っ白くなっていた。

 更に、目隠しをされたままの顔を激しく左右に振って、全身で受ける快楽を受けとめ声が嗄れるまで啼き続けた。





 強烈な体験を終えたリンダはぐったりしていたけれども、おにぎりを食べる前よりも顔が晴れ晴れしていた。こんなの行為を覗いた後、言いにくいけれども……うん。とてもいい顔だ。

「凄かったわぁ~……はぁ、いいわよこれは絶対体験すべきかも。手を縛られたり目隠しされると、どんな事をされるか怖いけれども相手が信用できるなら全然アリね! くたくただけれどもとてもスッキリしたわ~……今晩はぐっすり眠れそうよ。ねぇ?! 皆、最初から最後まで覗いていたんでしょ? 私はどうだった?」

 リンダはストレスが全て解消された顔になっていて、逆に感想を求めてくると言う不思議な事態となった。

「う、あ、その……」
 私は今までになく答えに窮してしまった。
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