最後の手紙

マスカレード 

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Erased Dark Green

最後の手紙

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 俊哉と話せるだろうかと期待したけれど、あいにく俊哉は外出していて、家にいたのは沙也加と母親だけだった。
 二人の顔にはいつもの明るい笑顔が見られず、玄関を開けた時も周囲を警戒するように見回したのが気にかかる。お菓子だけ置いて帰ろうかとも思ったが、沙也加が自分の部屋で話そうと瑠実を引っ張っていった。

「ねぇ、外を気にしていたようだけれど、何かあったの?」

「何でもない。心配してくれてありがとう」

「そう…‥ならいいけれど。何でも相談してね」
 
 すると、組んだ足のつま先を落ち着かな気にぶらぶらと揺らしていた沙也加が、ぴたりと動きを止めて、身を乗り出した。

「ねっ、瑠実ちゃんは、大事なものをどこにしまう?私、お小遣いをどこにしまうか迷っているんだ。忘れたり無くさなくて済むようなところがあったら教えて」

 瑠実は辺りを見回したが、あまり勉強が好きでない沙也加の部屋には、ぬいぐるみやアイドルのポスターなど女の子らしいものばかりで、箱や書類などをしまう戸棚類が極端に少ない。

「参考にならないかもしれないけれど、私は大事なものを本棚に入れるの。お小遣いも一番大事な本に挟んであるのよ」

「へぇ~。それはとっても、いい隠し場所ね」

 ぎこちなく笑う沙也加に、本棚の無い部屋を意識させたのかもしれないと、瑠実は悪く思った。
 気を使わせまいとするのか、沙也加が明るく色々な話題を振るので、すぐにそんな罪悪感も吹き飛び、楽しい時間を過ごした後、瑠実は家に帰っていった。



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