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一章:転生乙女
16 青春の始まりです
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「、、、、、、見事なものですね」
そんな感想を口にする私の前には、大きな大きな赤煉瓦の建造物がありました。
そこには同じ装いをした方々が大勢入って行かれます。そして私もそんな彼らと同様に、白を基調にデザインされた制服を身に付け、これからそちらの建物へと入る所です。
そうです。こここそがラウグス王国唯一の学舎であり、国中の若者達が集う場ーーーーー王立ラウグス魔導学園なのです。
お父様、お母様、それにルクス君。カヤは無事に目的地へと辿り着く事が出来ました。道中、様々な事がありましたが、それらも踏まえてのお勉強だと、今は思う事にしております。
落ち着きましたら、家族に手紙を出しましょう。色々ご報告しなければならない事もありますが、それ以上に元気にしていますよと、伝えなければですね。
「ーーーここにおられましたか。乙女様」
そう声を掛けていらしたのはこの国の王子様であり、本日から私の同級生となるエーデルトラウト=ラウグス王子でした。
「おはようございます。エーデルトラウト様」
「おはようございます。昨晩はよく眠れたでしょうか?」
「はい。昨日は王宮内の一室を使わせていただき、ありがとうございます。寝室のベッドがとてもふかふかで気持ちよく、長旅の疲れも一気に取れました」
「昨日も仰いましたが、乙女様が良ければこれからもあの部屋をお使いになられて良いのですよ?」
「とても魅力的なお誘いですが、私はこの国にて様々な経験をしたいのです。ここに来る前に、乙女様と呼ばれる前に立てた目標を達成する為にも。その一つが一人で生活をする事なのです。乙女様でなければ必然とそうなる予定でしたし。我儘を言っているのは分かっているのです。迷惑をかけてしまっているのも分かってはいるのですが、、、、、」
何かに囚われて生きていく事はもうしたくありません。いえ、決して私の前世がそうだったという訳ではありませんが、今思うとむしろ前世ではそれを望んで、そのような生き方をしていたのでしょうね。
でも今はあの頃の私と、カヤ=エリュテイアが重なってしまう事が酷く怖いのです。
本当にひどい我儘です。
けれど王子様は私の望みを快く了承し、変わらず笑顔を向けてくれます。
「それでは参りましょう。乙女様」
あの日、あの時、あの場所で、
私は間違えてしまったのでしょう。
それはきっと、殺されても仕方ない程に。
ですがそれも憶測でしかありません。
私にはあの方の気持ちが分かりませんでしから。
そして今の今までそれを理解しようとも思っていませんでした。
しかし確かにあの瞬間、
彼の口から「愛」を聴きました。
激痛に悶える私に、そんな余裕は無かったはずでしたのに。
あの頃のままの私じゃいけない気がするのです。
安全だと思い過ごしてきた籠の中で死んでしまった私は、所詮飛ぶ事の出来ないヒヨコだったのです。
これから先、カヤ=エリュテイアが幸せになる為に、そして素敵な恋をする為に、私は世界を知るのです。羽ばたく為の翼は無くとも、籠の外へと踏み出す足はありますから。
なれば、参りましょう。
「はい。お互いに良き人生を送りましょう!」
そんな感想を口にする私の前には、大きな大きな赤煉瓦の建造物がありました。
そこには同じ装いをした方々が大勢入って行かれます。そして私もそんな彼らと同様に、白を基調にデザインされた制服を身に付け、これからそちらの建物へと入る所です。
そうです。こここそがラウグス王国唯一の学舎であり、国中の若者達が集う場ーーーーー王立ラウグス魔導学園なのです。
お父様、お母様、それにルクス君。カヤは無事に目的地へと辿り着く事が出来ました。道中、様々な事がありましたが、それらも踏まえてのお勉強だと、今は思う事にしております。
落ち着きましたら、家族に手紙を出しましょう。色々ご報告しなければならない事もありますが、それ以上に元気にしていますよと、伝えなければですね。
「ーーーここにおられましたか。乙女様」
そう声を掛けていらしたのはこの国の王子様であり、本日から私の同級生となるエーデルトラウト=ラウグス王子でした。
「おはようございます。エーデルトラウト様」
「おはようございます。昨晩はよく眠れたでしょうか?」
「はい。昨日は王宮内の一室を使わせていただき、ありがとうございます。寝室のベッドがとてもふかふかで気持ちよく、長旅の疲れも一気に取れました」
「昨日も仰いましたが、乙女様が良ければこれからもあの部屋をお使いになられて良いのですよ?」
「とても魅力的なお誘いですが、私はこの国にて様々な経験をしたいのです。ここに来る前に、乙女様と呼ばれる前に立てた目標を達成する為にも。その一つが一人で生活をする事なのです。乙女様でなければ必然とそうなる予定でしたし。我儘を言っているのは分かっているのです。迷惑をかけてしまっているのも分かってはいるのですが、、、、、」
何かに囚われて生きていく事はもうしたくありません。いえ、決して私の前世がそうだったという訳ではありませんが、今思うとむしろ前世ではそれを望んで、そのような生き方をしていたのでしょうね。
でも今はあの頃の私と、カヤ=エリュテイアが重なってしまう事が酷く怖いのです。
本当にひどい我儘です。
けれど王子様は私の望みを快く了承し、変わらず笑顔を向けてくれます。
「それでは参りましょう。乙女様」
あの日、あの時、あの場所で、
私は間違えてしまったのでしょう。
それはきっと、殺されても仕方ない程に。
ですがそれも憶測でしかありません。
私にはあの方の気持ちが分かりませんでしから。
そして今の今までそれを理解しようとも思っていませんでした。
しかし確かにあの瞬間、
彼の口から「愛」を聴きました。
激痛に悶える私に、そんな余裕は無かったはずでしたのに。
あの頃のままの私じゃいけない気がするのです。
安全だと思い過ごしてきた籠の中で死んでしまった私は、所詮飛ぶ事の出来ないヒヨコだったのです。
これから先、カヤ=エリュテイアが幸せになる為に、そして素敵な恋をする為に、私は世界を知るのです。羽ばたく為の翼は無くとも、籠の外へと踏み出す足はありますから。
なれば、参りましょう。
「はい。お互いに良き人生を送りましょう!」
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