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エピソード3
フェイタルフェイト16/31
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いつのまにやら、魔改造されたシースパイダーが貨物搬入デッキに鎮座していた。
八本脚の多脚ロボットには変わらないが……ごつさが増しているように思える。
それに背中から大きな機関銃の様な物が見える。
「サンバ君よ、それは物干し竿だったりするかな? 俺達は民間船で、そういう武器は持ってはいけない事になってるんだけど……」
「ふふふ、船長さん。この際そういったぼかした表現は無用っす。
今は緊急事態っす。シースパイダーの追加オプション、背面ウエポンラックに装備された武装をご覧あれっす!」
シースパイダー、陸上用のカスタムパーツをフル装備した状態。
所謂フルアーマー・シースパイダーといったところだろう。
大きく目立っている機関銃の様な物は、40ミリレールガン。
本来はカニの形のロボットなのに、まるで大きな尻尾を持つサソリの様に見える。
その他にも多目的ミサイルランチャー。
12.7ミリガンポッド。
超電磁シザース×2。
「……ツッコミどころはある、だが今はそれでいい」
『マスター。ところでシースパイダーの操縦は出来るようになりましたか?』
「基本動作なら問題ない。この追加装備とかは……はっきり言って無理だと思う。
けど現地の状況を確認するだけだし……とはいえ俺じゃ無理だ。ごめんミシェルさん、ついてきてくれるかい?」
「はい! もちろんです。私の操縦スキルが役に立つなら!」
ミシェルさんはシースパイダーの運転には定評がある。
全開のクラゲ事件以降も、コジマ重工へのレポートを書くために操縦技術を磨いていたのだ。
そして伝説の廃人ゲーマー、インフィだった過去を持つ。
「よし、ならば急いでいくぞ!」
『マスター。ちゃんとユニクロを着用しないと。いくら地球型惑星とはいえ、最善の装備をしてくださいね』
「おう、そうだな。だがミシェルさんのユニバーサルクロークがないんだけど。
そもそも、ボランティアとしてのミシェルさんの船外活動は想定していなかった。俺だけ着るわけにもいかないだろう?」
「いいえ、イチローさん。私にはシースパイダーが有ります。フルダイブモードになると外へは出られませんし。
実質、私の宇宙服はこのシースパイダーです。ですのでイチローさんは遠慮なく着てください」
たしかにその通りだ。俺は現地で医療活動をしないといけないだろう。
「ちなみに私も同行するですー。多少の医療活動ができると自負してるですー。
もちろんメインはインフィさんの相棒としてシースパイダーの操縦をするですー」
「……よし、これでもないくらいにベストメンバーだ。俺を除いてな……。
よし行こう。ちなみにサンバ君に頼みがある。もし俺が戻らなかったら、倉庫にあるアレを処分してくれ」
「船長さん……その命令は受けかねるっすが。了解っす。男の約束ってやつっす」
『マスター不吉なことを言わないでください。いや、それよりもアレとやらが気になりますね。サンバは知っていたのですか?』
「いいえ、知らないっす。船長さんとの秘密っす……」
「皆さん、話がずれています。準備はいいですね。
アイさん! ハッチを開けてください。シースパイダー、アースイレブンに突入します!」
ミシェルさんは真面目だ。
しかし、そろそろ俺達のノリについてきてもいいころだな。
いいや、案外ツッコミポジションとして安定しているのかも。
そんな事を考えていると、シースパイダーは開かれたハッチからアースイレブンの大地に向けてジャンプする。
…………。
成層圏からの自由落下。そういえばスカイダイビングは初めてだ。
「このまま地上まで地獄の超特急ですー!」
身体が浮かぶ、久しぶりに無重力を経験した。
全天モニターは最新鋭で、アマテラスよりも高解像度。
さすがは海洋調査ロボットなだけはある。
アースイレブンの地平線は弧を描き、薄い青色の大気から真っ黒な宇宙との境界が見える。
「リアルだな。アマテラスのモニターでも散々見たけど、こっちの方がリアリティーがあって迫力満点だな。
ところで、さっきから五桁の数字がもの凄い勢いで減り続けてるんだけど異常じゃないよな?」
「それは高度計ですー。船長さんは本当にシースパイダーに興味がないですー」
「それはすまんかった。つまりこれがゼロになると地上に衝突ってことだな。
というかミシェルンよ。当たり前だと思って聞かなかったんだけどパラシュートはあるんだよな?」
「もちろん無いですー。これは地上用の乗り物ですー」
なん……だと?
「おいおい、それじゃマジで地獄への超特急じゃないか!」
「船長さん。落ち着いてくださいですー。パラシュートは無いと言っただけですー。
うふふー。このコジマ重工製のロボットは世界一ですー。例え成層圏から落とされても。そう――」
「こんなことも有ろうかと……だろ?」
「キー、船長さんに先を言われたですー」
「……あの、お二人とも、落下中なのに随分と余裕ですね。高度計が2000を切ったんですけど……」
「おっと、船長さんのせいで地上にクレーターを作るところだったですー。さて、シースパイダー、グライダーモードですー!」
次の瞬間、シースパイダーの八本脚は真っすぐに伸び、やや角度を作りつつ一つに重なる。
まるで飛行機の羽の様な形状をとった。
大気をとらえたのだろう。全身にずしんと重力を感じる。
「このまま、旋回しながらゆっくりと地上に降りるですー」
なるほどな。グライダーのように滑空しながら地上に降りるという事だろう。
シースパイダーやるじゃないか。
俺は少し、アレがひゅんとしたがな……。
そもそも俺は絶叫マシンは好きじゃないのだ。
八本脚の多脚ロボットには変わらないが……ごつさが増しているように思える。
それに背中から大きな機関銃の様な物が見える。
「サンバ君よ、それは物干し竿だったりするかな? 俺達は民間船で、そういう武器は持ってはいけない事になってるんだけど……」
「ふふふ、船長さん。この際そういったぼかした表現は無用っす。
今は緊急事態っす。シースパイダーの追加オプション、背面ウエポンラックに装備された武装をご覧あれっす!」
シースパイダー、陸上用のカスタムパーツをフル装備した状態。
所謂フルアーマー・シースパイダーといったところだろう。
大きく目立っている機関銃の様な物は、40ミリレールガン。
本来はカニの形のロボットなのに、まるで大きな尻尾を持つサソリの様に見える。
その他にも多目的ミサイルランチャー。
12.7ミリガンポッド。
超電磁シザース×2。
「……ツッコミどころはある、だが今はそれでいい」
『マスター。ところでシースパイダーの操縦は出来るようになりましたか?』
「基本動作なら問題ない。この追加装備とかは……はっきり言って無理だと思う。
けど現地の状況を確認するだけだし……とはいえ俺じゃ無理だ。ごめんミシェルさん、ついてきてくれるかい?」
「はい! もちろんです。私の操縦スキルが役に立つなら!」
ミシェルさんはシースパイダーの運転には定評がある。
全開のクラゲ事件以降も、コジマ重工へのレポートを書くために操縦技術を磨いていたのだ。
そして伝説の廃人ゲーマー、インフィだった過去を持つ。
「よし、ならば急いでいくぞ!」
『マスター。ちゃんとユニクロを着用しないと。いくら地球型惑星とはいえ、最善の装備をしてくださいね』
「おう、そうだな。だがミシェルさんのユニバーサルクロークがないんだけど。
そもそも、ボランティアとしてのミシェルさんの船外活動は想定していなかった。俺だけ着るわけにもいかないだろう?」
「いいえ、イチローさん。私にはシースパイダーが有ります。フルダイブモードになると外へは出られませんし。
実質、私の宇宙服はこのシースパイダーです。ですのでイチローさんは遠慮なく着てください」
たしかにその通りだ。俺は現地で医療活動をしないといけないだろう。
「ちなみに私も同行するですー。多少の医療活動ができると自負してるですー。
もちろんメインはインフィさんの相棒としてシースパイダーの操縦をするですー」
「……よし、これでもないくらいにベストメンバーだ。俺を除いてな……。
よし行こう。ちなみにサンバ君に頼みがある。もし俺が戻らなかったら、倉庫にあるアレを処分してくれ」
「船長さん……その命令は受けかねるっすが。了解っす。男の約束ってやつっす」
『マスター不吉なことを言わないでください。いや、それよりもアレとやらが気になりますね。サンバは知っていたのですか?』
「いいえ、知らないっす。船長さんとの秘密っす……」
「皆さん、話がずれています。準備はいいですね。
アイさん! ハッチを開けてください。シースパイダー、アースイレブンに突入します!」
ミシェルさんは真面目だ。
しかし、そろそろ俺達のノリについてきてもいいころだな。
いいや、案外ツッコミポジションとして安定しているのかも。
そんな事を考えていると、シースパイダーは開かれたハッチからアースイレブンの大地に向けてジャンプする。
…………。
成層圏からの自由落下。そういえばスカイダイビングは初めてだ。
「このまま地上まで地獄の超特急ですー!」
身体が浮かぶ、久しぶりに無重力を経験した。
全天モニターは最新鋭で、アマテラスよりも高解像度。
さすがは海洋調査ロボットなだけはある。
アースイレブンの地平線は弧を描き、薄い青色の大気から真っ黒な宇宙との境界が見える。
「リアルだな。アマテラスのモニターでも散々見たけど、こっちの方がリアリティーがあって迫力満点だな。
ところで、さっきから五桁の数字がもの凄い勢いで減り続けてるんだけど異常じゃないよな?」
「それは高度計ですー。船長さんは本当にシースパイダーに興味がないですー」
「それはすまんかった。つまりこれがゼロになると地上に衝突ってことだな。
というかミシェルンよ。当たり前だと思って聞かなかったんだけどパラシュートはあるんだよな?」
「もちろん無いですー。これは地上用の乗り物ですー」
なん……だと?
「おいおい、それじゃマジで地獄への超特急じゃないか!」
「船長さん。落ち着いてくださいですー。パラシュートは無いと言っただけですー。
うふふー。このコジマ重工製のロボットは世界一ですー。例え成層圏から落とされても。そう――」
「こんなことも有ろうかと……だろ?」
「キー、船長さんに先を言われたですー」
「……あの、お二人とも、落下中なのに随分と余裕ですね。高度計が2000を切ったんですけど……」
「おっと、船長さんのせいで地上にクレーターを作るところだったですー。さて、シースパイダー、グライダーモードですー!」
次の瞬間、シースパイダーの八本脚は真っすぐに伸び、やや角度を作りつつ一つに重なる。
まるで飛行機の羽の様な形状をとった。
大気をとらえたのだろう。全身にずしんと重力を感じる。
「このまま、旋回しながらゆっくりと地上に降りるですー」
なるほどな。グライダーのように滑空しながら地上に降りるという事だろう。
シースパイダーやるじゃないか。
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