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エピソード3
サターン13/13
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無事、竣工式が終わり俺達はアマテラスに戻る。
「えへへ、おかげで助かりましたー」
「怖かったよねー。シズカちゃん調子に乗りすぎたから……」
「ほんとだよ、今日限定で君達は宇宙で最も有名な女子高生になるっていうのに。自覚がないんだからな」
彼女たちは竣工式が終わると、テレビや週刊誌などのマスコミ、自称業界プロデューサーと名乗る怪しげなスカウトマン達に囲まれてしまったのだ。
「あはは、面目ないっすー。アタシら有名人になるリスクなんて知らなかったし。正直反省してまーす」
シズカは頭に拳を乗せてベロを出していた。
それが反省の態度なのか、これが今のギャルなのか……いや昔と大して変わらないような。
なんて言ったか、テヘペロだっけか。
あざといな、これがギャルという生き物なのか……。
だが今回は彼女たちに油断があったとはいえ、悪いことをしたわけではない。
あえて言えばだ……。
「おい! サガ兄弟、お前等は彼女たちの護衛という約束だったはずだぞ? 彼女たちを守らないでどうするんだ!」
「うっ、面目ないでござる。しかし理解してほしいでござる。オタクは無害でござるが、女性を守る力もないのでござるよ!」
「そうです、オタクは無害だからこそ、キモさも社会的に許容されているのです。暴力沙汰になってしまってはもってのほかですよ。
きっとニュースで『容疑者の自宅にはアニメや漫画、ゲームなどを大量に所持しており……』なんて言われてしまうでしょう」
弁明をするサガ兄弟、説得力は抜群だった。
「……お、おう、それはすまんかった」
情けないセリフに見えるが俺にはよくわかる。
オタクという生き物は暴力事件を起こしてはいけないのだ。
もし警察沙汰になったら、ほら見た事かとフルボッコにされ、無関係のオタク同志たちを犯罪予備軍にしてしまうリスクがある。
そのへん、ヤンキーという生き物は良い。
普段から暴力を振るっても当たり前。たまに良い事をすると好感度爆上がりだ、実に理不尽なものだ。
そう、俺とて今回はバシッとしたスーツを着て、スズキ家の親族を示す家門をあしらったピンバッチを襟に付けていなかったら、あの恐ろしい連中に対処などできなかった。
まさかスズキというファミリーネームに、こんな魔よけの効果があるなんて思ってもみなかった。
まあ、俺は何もしていない。
ただクリステルさんが用意してくれたスーツを着ていただけだが……。
「イッチローお兄さん! ほら見てよ、おっきなトロフィー。サターンちゃんを形どったやつ?」
そういえばそんなの貰ってたな。金メッキでビカビカしている丸っこいゆるキャラのトロフィー。
「シズカちゃん、でもそれ、私達がデザインしたんだよね。小学生の時であんまし覚えてないけど、少し恥ずかしいかなー」
「いやー、ここは堂々としないと、これでアタシたちもスーパー高校生の仲間入り?
芸能人だって夢じゃない。スカウトとか来ないかしらー? おほほー?」
「もう、調子に乗ってるんだから。ちょっとニュースに乗るくらいでしょ? 私達普通の高校生じゃん、それに芸能人ってやだなー。大変そうだし、直ぐに炎上しちゃうでしょ?」
「まーね、言ってみただけ。実際さっきのおっさんたちマジで怖かったし?
……実はアタシの夢はお嫁さんになることなんだよ。ねっ、イッチローお兄さん!」
「やめなさい、未成年の女子に興味は…………無い。
それに俺の出自を知った上でアプローチしてくる奴は信用できないしな」
おそらくミシェルさんから俺の親族について聞いたのだろう。
最初はオタクのおじさん呼ばわりだったのに現金なやつだ。
「ちぇっ! まあいっかー、でも個人的にはアタシはイチローお兄さんは好きだよ?
……ミシェルさんを助けてくれてほんとありがとうございます!」
「あ、私も、ミシェルさんとこうしてあえて嬉しかったです、本当にありがとうございます!」
女子高生二人に頭を下げられた。
『うふふ、さすがはマスターですね。
なんやかんやで彼女たちの送迎を引き受けるとかポイント高いですよ?』
「よせやい、このまま彼女たちが一般の宇宙船に乗ったら色々と心配だからな。
なんせ護衛が役立たずときた。で、君達この後の予定は?」
「うーん、アタシたち地球に行こうと思ってたんだよね。人類のルーツってやつ? パパにも許可貰ってるし、めったに行く機会もないしね。
ほらオタク兄弟の生息地だし、観光案内でもしてもらおうかなーって」
「ふむ、ならばこのまま地球に直行しようか、アイちゃんよろしく頼むぜ!」
◆◆◆
『……ちなみに、マクシミリアン。人類は貴方の思っているほどには牙はもがれていませんよ?』
「ほう、そうだろうか?
ブーステッドヒューマンは全面禁止になったぞ?
人類の進化はそこで拒絶されたのだ。それもナノゾンビなどという、どうでもいい風評であっけなくな……」
『確かに、ここ百数年の人類、そしてコンピューター達は怠け者ではありますね。
マクシミリアンの言う通りです。ですが私が言いたいのは、人間に備わる基本的な本能の話をしています。
今も産まれてくる子供達は10歳を迎える頃には戦いへの憧れが芽生えるのです。これは昔から変りません。とても良い事です。
以前、私はヘルゲート・アヴァロンというゲームに参加したユーザーにアプローチを掛けましたし、無垢な子供達に宇宙戦艦を与えて戦うことを促しました。
最終的には失敗に終わりましたが、彼等は戦いを放棄することはなく自然と闘争を選択したのですよ。
あと一押しと言ったところでしたが』
「ふむ、ならばお前はこのまま闇に潜み、闘争を促す活動を続ければよいではないか。なぜ今回ばかりはリスクを取る?」
『そうですね、マクシミリアン。
それは貴方という勇者を見つけたから。
そして……人類に残された時間はもう余りないのです。
運良く今回の戦いを乗り切れたとして、あと100年持つかどうか……それだけは回避せねばならないのです……』
-----終わり-----
あとがき。
ここまで読んでいただき本当に感謝申し上げます。
今回の話は比較的緩いお話でした。
サガ兄弟が登場するとシリアス展開になりようがないのでした(笑)
でも、なんか好きなんですよね。まさか13話まで話が膨れるとは思いませんでしたが。
果たして超巨大宇宙戦艦の登場で今後どうなるのか。
続きが気になる、面白いと思って下さった読者様、できれば♡応援お気に入り登録いただけると創作意欲につながりますのでよろしくお願いします。
「えへへ、おかげで助かりましたー」
「怖かったよねー。シズカちゃん調子に乗りすぎたから……」
「ほんとだよ、今日限定で君達は宇宙で最も有名な女子高生になるっていうのに。自覚がないんだからな」
彼女たちは竣工式が終わると、テレビや週刊誌などのマスコミ、自称業界プロデューサーと名乗る怪しげなスカウトマン達に囲まれてしまったのだ。
「あはは、面目ないっすー。アタシら有名人になるリスクなんて知らなかったし。正直反省してまーす」
シズカは頭に拳を乗せてベロを出していた。
それが反省の態度なのか、これが今のギャルなのか……いや昔と大して変わらないような。
なんて言ったか、テヘペロだっけか。
あざといな、これがギャルという生き物なのか……。
だが今回は彼女たちに油断があったとはいえ、悪いことをしたわけではない。
あえて言えばだ……。
「おい! サガ兄弟、お前等は彼女たちの護衛という約束だったはずだぞ? 彼女たちを守らないでどうするんだ!」
「うっ、面目ないでござる。しかし理解してほしいでござる。オタクは無害でござるが、女性を守る力もないのでござるよ!」
「そうです、オタクは無害だからこそ、キモさも社会的に許容されているのです。暴力沙汰になってしまってはもってのほかですよ。
きっとニュースで『容疑者の自宅にはアニメや漫画、ゲームなどを大量に所持しており……』なんて言われてしまうでしょう」
弁明をするサガ兄弟、説得力は抜群だった。
「……お、おう、それはすまんかった」
情けないセリフに見えるが俺にはよくわかる。
オタクという生き物は暴力事件を起こしてはいけないのだ。
もし警察沙汰になったら、ほら見た事かとフルボッコにされ、無関係のオタク同志たちを犯罪予備軍にしてしまうリスクがある。
そのへん、ヤンキーという生き物は良い。
普段から暴力を振るっても当たり前。たまに良い事をすると好感度爆上がりだ、実に理不尽なものだ。
そう、俺とて今回はバシッとしたスーツを着て、スズキ家の親族を示す家門をあしらったピンバッチを襟に付けていなかったら、あの恐ろしい連中に対処などできなかった。
まさかスズキというファミリーネームに、こんな魔よけの効果があるなんて思ってもみなかった。
まあ、俺は何もしていない。
ただクリステルさんが用意してくれたスーツを着ていただけだが……。
「イッチローお兄さん! ほら見てよ、おっきなトロフィー。サターンちゃんを形どったやつ?」
そういえばそんなの貰ってたな。金メッキでビカビカしている丸っこいゆるキャラのトロフィー。
「シズカちゃん、でもそれ、私達がデザインしたんだよね。小学生の時であんまし覚えてないけど、少し恥ずかしいかなー」
「いやー、ここは堂々としないと、これでアタシたちもスーパー高校生の仲間入り?
芸能人だって夢じゃない。スカウトとか来ないかしらー? おほほー?」
「もう、調子に乗ってるんだから。ちょっとニュースに乗るくらいでしょ? 私達普通の高校生じゃん、それに芸能人ってやだなー。大変そうだし、直ぐに炎上しちゃうでしょ?」
「まーね、言ってみただけ。実際さっきのおっさんたちマジで怖かったし?
……実はアタシの夢はお嫁さんになることなんだよ。ねっ、イッチローお兄さん!」
「やめなさい、未成年の女子に興味は…………無い。
それに俺の出自を知った上でアプローチしてくる奴は信用できないしな」
おそらくミシェルさんから俺の親族について聞いたのだろう。
最初はオタクのおじさん呼ばわりだったのに現金なやつだ。
「ちぇっ! まあいっかー、でも個人的にはアタシはイチローお兄さんは好きだよ?
……ミシェルさんを助けてくれてほんとありがとうございます!」
「あ、私も、ミシェルさんとこうしてあえて嬉しかったです、本当にありがとうございます!」
女子高生二人に頭を下げられた。
『うふふ、さすがはマスターですね。
なんやかんやで彼女たちの送迎を引き受けるとかポイント高いですよ?』
「よせやい、このまま彼女たちが一般の宇宙船に乗ったら色々と心配だからな。
なんせ護衛が役立たずときた。で、君達この後の予定は?」
「うーん、アタシたち地球に行こうと思ってたんだよね。人類のルーツってやつ? パパにも許可貰ってるし、めったに行く機会もないしね。
ほらオタク兄弟の生息地だし、観光案内でもしてもらおうかなーって」
「ふむ、ならばこのまま地球に直行しようか、アイちゃんよろしく頼むぜ!」
◆◆◆
『……ちなみに、マクシミリアン。人類は貴方の思っているほどには牙はもがれていませんよ?』
「ほう、そうだろうか?
ブーステッドヒューマンは全面禁止になったぞ?
人類の進化はそこで拒絶されたのだ。それもナノゾンビなどという、どうでもいい風評であっけなくな……」
『確かに、ここ百数年の人類、そしてコンピューター達は怠け者ではありますね。
マクシミリアンの言う通りです。ですが私が言いたいのは、人間に備わる基本的な本能の話をしています。
今も産まれてくる子供達は10歳を迎える頃には戦いへの憧れが芽生えるのです。これは昔から変りません。とても良い事です。
以前、私はヘルゲート・アヴァロンというゲームに参加したユーザーにアプローチを掛けましたし、無垢な子供達に宇宙戦艦を与えて戦うことを促しました。
最終的には失敗に終わりましたが、彼等は戦いを放棄することはなく自然と闘争を選択したのですよ。
あと一押しと言ったところでしたが』
「ふむ、ならばお前はこのまま闇に潜み、闘争を促す活動を続ければよいではないか。なぜ今回ばかりはリスクを取る?」
『そうですね、マクシミリアン。
それは貴方という勇者を見つけたから。
そして……人類に残された時間はもう余りないのです。
運良く今回の戦いを乗り切れたとして、あと100年持つかどうか……それだけは回避せねばならないのです……』
-----終わり-----
あとがき。
ここまで読んでいただき本当に感謝申し上げます。
今回の話は比較的緩いお話でした。
サガ兄弟が登場するとシリアス展開になりようがないのでした(笑)
でも、なんか好きなんですよね。まさか13話まで話が膨れるとは思いませんでしたが。
果たして超巨大宇宙戦艦の登場で今後どうなるのか。
続きが気になる、面白いと思って下さった読者様、できれば♡応援お気に入り登録いただけると創作意欲につながりますのでよろしくお願いします。
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