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エピソード2
シンドローム8/27
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「船長さんー、お肉が焼けたですー。熱いので気を付けるですー。アイさんにフーフーしてもらうといいですー」
……まったく。茶化すなよ。俺は子供じゃないんだ。
そう、俺はもう大人なのだ、仕事終わりのビールだって美味く思えるようになったし、スパイシーな肉とビールの相性は最高だ。
それにこの時代の缶ビールは馬鹿にできない。
大学時代にサークルのコンパで嫌々飲まされた、格安居酒屋の生ビールよりも確実においしいのだ。……いや、待てよ。一杯200円の生中……あれは本当にビールだったのだろうか……。
おっといけない、その疑問は今さらだ、千年前の出来事にいちいち難癖も良くないしな。
喉が渇いていたのか、あっという間に一本飲み干してしまった。今日はもう一本いってもいいだろう。
程よい炭酸とアルコールは疲れた脳を休めるのに効果的なのだ。
「船長さん! 空き缶は置きっぱなしにしないでください、ちゃんとリサイクルボックスに入れてください。ポイ捨ては罰金ですよ?」
はいはい、サンバは相変わらず口うるさいな。
でも何か違和感がある……。
「……はぁ、なんか寂しいな……」
「おや、マスターどうされましたか? やはり私がフーフーして差し上げましょうか?」
「いや、なんかな。バーベキューはいつやっても楽しいと思ってたけど、実は違ってたんだな。
食べる人が俺だけだと逆に空虚というか。お一人様感が強調されてちょっとみじめになるんだ」
「難しい問題ですね。我々は物を食べる事ができませんし」
「船長さん、無い物ねだりは無意味ですよ。
確かに子供達と一緒にやったバーベキューに比べれば、今の船長さんはお一人様でイキってる独身男性に見えますが」
「ふっ辛辣……、でもサンバ君の言うとおりだな……。そう、なんか違うんだよなー。もちろんミシェルンの作った料理は美味しいんだ……。けどなんか物足りないんだよなー」
「食べるって言っても私達ロボットは食べることが出来ないですー。
あ、そういえばゲームの世界ではアイさんもサンバも食べてましたねー。スタミナ値の回復でしたっけ? でもあれはゲテモノのジャンルですー。ダークファンタジーの料理は船長さんにはお勧めしないですー。あれを再現しても臭いスープに煙たいコーヒーしかできないですー」
まあ、そうだろう。リアルなダークファンタジーがテーマのゲームだ。
味付けもろくにない野営料理なんて食べれたもんじゃないだろう。
それにミシェルンが不味いって言ってるんだ。間違いない。
とはいえ、あの世界では俺はマシーンだしな。
スタミナ回復で食事をする必要が無いから食べる必要が無いのだ。
……そう言えばあの空間だけは立場が逆転してるんだよな。俺だけ機械で他の三人は生身の体がある。
「うん? そうだ! なら俺があの世界で君達をもてなそうじゃないか。俺だけ食べる一人バーベキューよりも余程有意義だ。
ゲーム世界とはいえリアルな感覚があるのなら。……よーし、やる気がみなぎってきたぞ!」
「おや、マスター。どういった趣旨でしょうか。あの世界ではマスターは食事が出来ませんよ?」
「そう、どうせなら俺も食べてみたいけど、それはそれだ。
現実世界で君達は食べれない。バーチャルの世界で俺は食べれない。
それは公平な立場で、なんていうかな。上手く言えないけど。そう、友情を気付くために必要なんだ!
ミシェルンすまん。
せっかく準備してくれたのに今日は全部食べれそうにない。
でも焼いた肉は……そうだな! 明日の朝食はそれでサンドウィッチにしてくれ、明日から俺は本気出す。
君達もゲーム漬けの毎日だぞ! 狩りが終わったら俺が君達をご馳走しようじゃないか。ゲーム世界でもそれなりのレストランはある。
ゲームマネーを支払うことで、かなりリアルな食事体験ができるそうだ。最初は腹に入らない飯になんで金を払うんだと思ってたけど、このためにあったんだってね」
「マスター、それはあれですね? ダイエットメニューを開発している食品メーカーのコラボで出来たバーチャルレストランですね。
現実の食事制限に耐えられない人向けのコンテンツですが。なるほど、それなら人工生命体も食事ができます。
食事の経験は霊子フラクタルメモリーに蓄積されますので。
私達にとってもいい思い出になります。さすがはマスターです!」
「だろ? 我ながら良い案だと思うんだ。
ロボットの君達だって満足な食事ができるし。俺は君達に食事をご馳走してニヤニヤできる、足長おじさんポジとして嬉しいしウィンウィンだろ? こんなこと考えたのは俺だけじゃね?」
「おお、船長さん、先程までと違ってやる気に満ち溢れています。さすがは我らの船長さんです」
「わーい。船長さん復活ですー。でもゲーム漬けとなると、明日からはちょっと簡易的なお弁当になりますけど、それでもいいですー?」
「うむ、栄養が取れればそれでいい。むしろ。ネトゲ症候群に効果のある栄養価のある食べ物だと嬉しい。
アイちゃん。俺はあのゲームで君達ともっと友好関係を気付きたいんだ。
そう、そのモチベーションで挑めば犯人にもたどり着ける。嫌々参加するネゴシエータでは出来ない、俺の仕事だ!」
「うふふ、さすがマスターですね。分かりました。でしたら私も全力でサポートさせていただきます」
「船長さん。燃えてるな。よし、ならばこのサンバも全力でやってやるですよ」
「おー! やってやるですー」
一人用バーベキューコンロを囲いながら。俺達は新たな友情を築いたのだった。
……まったく。茶化すなよ。俺は子供じゃないんだ。
そう、俺はもう大人なのだ、仕事終わりのビールだって美味く思えるようになったし、スパイシーな肉とビールの相性は最高だ。
それにこの時代の缶ビールは馬鹿にできない。
大学時代にサークルのコンパで嫌々飲まされた、格安居酒屋の生ビールよりも確実においしいのだ。……いや、待てよ。一杯200円の生中……あれは本当にビールだったのだろうか……。
おっといけない、その疑問は今さらだ、千年前の出来事にいちいち難癖も良くないしな。
喉が渇いていたのか、あっという間に一本飲み干してしまった。今日はもう一本いってもいいだろう。
程よい炭酸とアルコールは疲れた脳を休めるのに効果的なのだ。
「船長さん! 空き缶は置きっぱなしにしないでください、ちゃんとリサイクルボックスに入れてください。ポイ捨ては罰金ですよ?」
はいはい、サンバは相変わらず口うるさいな。
でも何か違和感がある……。
「……はぁ、なんか寂しいな……」
「おや、マスターどうされましたか? やはり私がフーフーして差し上げましょうか?」
「いや、なんかな。バーベキューはいつやっても楽しいと思ってたけど、実は違ってたんだな。
食べる人が俺だけだと逆に空虚というか。お一人様感が強調されてちょっとみじめになるんだ」
「難しい問題ですね。我々は物を食べる事ができませんし」
「船長さん、無い物ねだりは無意味ですよ。
確かに子供達と一緒にやったバーベキューに比べれば、今の船長さんはお一人様でイキってる独身男性に見えますが」
「ふっ辛辣……、でもサンバ君の言うとおりだな……。そう、なんか違うんだよなー。もちろんミシェルンの作った料理は美味しいんだ……。けどなんか物足りないんだよなー」
「食べるって言っても私達ロボットは食べることが出来ないですー。
あ、そういえばゲームの世界ではアイさんもサンバも食べてましたねー。スタミナ値の回復でしたっけ? でもあれはゲテモノのジャンルですー。ダークファンタジーの料理は船長さんにはお勧めしないですー。あれを再現しても臭いスープに煙たいコーヒーしかできないですー」
まあ、そうだろう。リアルなダークファンタジーがテーマのゲームだ。
味付けもろくにない野営料理なんて食べれたもんじゃないだろう。
それにミシェルンが不味いって言ってるんだ。間違いない。
とはいえ、あの世界では俺はマシーンだしな。
スタミナ回復で食事をする必要が無いから食べる必要が無いのだ。
……そう言えばあの空間だけは立場が逆転してるんだよな。俺だけ機械で他の三人は生身の体がある。
「うん? そうだ! なら俺があの世界で君達をもてなそうじゃないか。俺だけ食べる一人バーベキューよりも余程有意義だ。
ゲーム世界とはいえリアルな感覚があるのなら。……よーし、やる気がみなぎってきたぞ!」
「おや、マスター。どういった趣旨でしょうか。あの世界ではマスターは食事が出来ませんよ?」
「そう、どうせなら俺も食べてみたいけど、それはそれだ。
現実世界で君達は食べれない。バーチャルの世界で俺は食べれない。
それは公平な立場で、なんていうかな。上手く言えないけど。そう、友情を気付くために必要なんだ!
ミシェルンすまん。
せっかく準備してくれたのに今日は全部食べれそうにない。
でも焼いた肉は……そうだな! 明日の朝食はそれでサンドウィッチにしてくれ、明日から俺は本気出す。
君達もゲーム漬けの毎日だぞ! 狩りが終わったら俺が君達をご馳走しようじゃないか。ゲーム世界でもそれなりのレストランはある。
ゲームマネーを支払うことで、かなりリアルな食事体験ができるそうだ。最初は腹に入らない飯になんで金を払うんだと思ってたけど、このためにあったんだってね」
「マスター、それはあれですね? ダイエットメニューを開発している食品メーカーのコラボで出来たバーチャルレストランですね。
現実の食事制限に耐えられない人向けのコンテンツですが。なるほど、それなら人工生命体も食事ができます。
食事の経験は霊子フラクタルメモリーに蓄積されますので。
私達にとってもいい思い出になります。さすがはマスターです!」
「だろ? 我ながら良い案だと思うんだ。
ロボットの君達だって満足な食事ができるし。俺は君達に食事をご馳走してニヤニヤできる、足長おじさんポジとして嬉しいしウィンウィンだろ? こんなこと考えたのは俺だけじゃね?」
「おお、船長さん、先程までと違ってやる気に満ち溢れています。さすがは我らの船長さんです」
「わーい。船長さん復活ですー。でもゲーム漬けとなると、明日からはちょっと簡易的なお弁当になりますけど、それでもいいですー?」
「うむ、栄養が取れればそれでいい。むしろ。ネトゲ症候群に効果のある栄養価のある食べ物だと嬉しい。
アイちゃん。俺はあのゲームで君達ともっと友好関係を気付きたいんだ。
そう、そのモチベーションで挑めば犯人にもたどり着ける。嫌々参加するネゴシエータでは出来ない、俺の仕事だ!」
「うふふ、さすがマスターですね。分かりました。でしたら私も全力でサポートさせていただきます」
「船長さん。燃えてるな。よし、ならばこのサンバも全力でやってやるですよ」
「おー! やってやるですー」
一人用バーベキューコンロを囲いながら。俺達は新たな友情を築いたのだった。
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