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エピソード2
シンドローム7/27
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「よし、サンバとミシェルンもそこそこ戦えるレベルになっただろうし。本格的なクエスト攻略を開始しますか。……で、アイちゃん、どうすればいいの?」
俺はゲームは下手だ。よって無駄な時間は使いたくない。
聞くのは一時の恥、聞かぬは一生の恥ってね。
「ええ、そうですね。今回は仕事ですのでサブクエストは除外します。
メインクエストもストーリーは読む必要はありません。そこまで凝ったストーリーでもありませんし。プレイヤーのほとんどもストーリーを覚えている人は少数でしょう。詳しすぎると逆に犯人に疑われてしまいます。
イベントムービーもスキップしてドンドンいきましょう!」
「おう、そうだな。俺もゲームを楽しみにしている訳じゃないし、そもそも昔からRPGは苦手だった。全部すっ飛ばしていくぜ!」
【慟哭せよ。愚かなる人類たちよ……。ヘルゲートが開いたとき、お前達は神に背き続けた罰への――】
スキップっと。ムービーは全部スキップだ。
思わせぶりなナレーションに重々しいBGM。映画みたいでちょっと興味がわいたが、ミイラ取りがミイラになりかねんし仕事として感情移入しないようにな。
それになんとなくダークファンタジー風味のストーリーは後味が悪そうで昔から苦手なんだよ。
これが学園ラブコメファンタジーで、アイドル育成要素があるならやり込んだだろうに。
【メインクエスト1。殺戮の天使を討伐せよ!】
俺達の目の前には廃墟となった教会が広がる。
ゴシック建築のいかにもな教会。
窓ガラスは全て割られており、外壁には苔や蔦がびっしりとひび割れた壁に這っている。
建物の頂上にあったベルは搭ごと崩れ落ち、十字架は真っ二つに折れ。地面に突き刺さっていた。
うん、雰囲気ばっちりだな。
最初のメインクエストでゲームの世界観を知るにはこれ以上ないマップデザインといえる。
「マスター。敵は教会の上にいるガーゴイルですね。アレを全て倒したらボスが出てきます。
ガーゴイルは飛行モンスターですのでマシーンの銃火器やソーサラーが得意とする獲物です」
「オーケー。んじゃサクッとやりますか。で、少しアロンダイトの練習がしたいから……連射してもいいよね?」
「まあ、いいでしょう。マスターには廃ゲーマーとまでは行かなくとも、そこそこのゲームのスキルを持ってもらわなければいけませんし。
金策が得意なローグもいますから多少は大目に見ましょう」
そうだった。前衛には金のかからないモンスターまでいる節約パーティーなのだ。
テンプラーを選択する場合は鎧も一級品を揃えないといけない。
いくら経費で落ちるといえど収支の管理はガバガバではいけないのだ。
福祉事業団体であるなら尚の事よ。
「よし、アロンダイト射撃モード!」
俺は四つん這いの姿勢になると視点はガンカメラ切り替わる。宙を舞うガーゴイルが五体見える。
今回は発射トリガーは人差し指に設定変更している。
人差し指を曲げる仕草を意識すれば発射できる。やっぱ銃のトリガーは人差し指がやりやすいのだ。
首を動かすとガンカメラも移動する。眼球の動きでターゲットカーソルの微調整が可能。
望遠も最初は戸惑ったが目に力を入れたり緩めたりで調整できる、慣れが必要だが練習あるのみだ。
ガンカメラの前にぶんぶんとガーゴイルの飛ぶ姿が映る。
「うっとおしいハエだ。目標をセンターに入れてスイッチ! 今だ!」
ドンッ!
惜しい。羽を吹き飛ばしただけだ。
地面に落下するガーゴイルにミシェルンがガサガサと気持ち悪い動きで駆け寄り、あっという間に八本の脚と蜘蛛の糸でがんじがらめにしてしまった。
「毒注入ですー。これでこいつは身動きが取れないですー」
「ナイスフォローだミシェルン。よし次いくぞ!」
目標をセンターに入れてスイッチ。
ドンッ!
目標をセンターに入れてスイッチ
ドンッ! ドンッ!
………………。
…………。
……。
ガーゴイルは全て倒した。
何発撃ったかはこの際どうでもいい。
ゲームスキルを得るには必要な経費と言える……。たぶん……。
【ふはははっ! 愚かな人類。いや、失礼。君達こそが人類最後の希望なのだろう……7つの大罪と言ったか……人類にはそもそもの潜在的な罪が――】
スキップっと。
教会の奥から紳士風のスーツを着たおっさんが出てきた。
ピンと伸びたカイゼル髭に鷲鼻。片目にモノクルの出で立ち。
いかにも胡散臭い感じのキャラデザインだ。
「よし、あいつがクエストボスだな。アイちゃん情報を」
「はい。敵は『殺戮の天使・メレンゲ』です。天使を自称していますが属性はありません。
あくまで人型モンスターのカテゴリーですね。
HPが高いのと自己治癒能力の高さがやっかいですが。
特に属性耐性もありませんので、ミシェルンの毒を与えれば回復は無効化します、あとはひたすら攻撃すれば攻略は簡単でしょう。
ちなみにアロンダイトなら3発くらいで倒せますが……マスターは撃ちすぎですのでこれ以上は禁止です。
普通に赤字ですよ? それと私達の戦闘もお見せしようじゃありませんか」
「お、おう。すまんかった。調子に乗ってドカドカ撃ちすぎた」
「さて、では我々のコンビネーションをお見せしましょうか。サンバにミシェルン。アレをやりますよ?」
「おう、船長さんにいいとこ見せましょう! もっともローグですから役に立つかどうかですが、ここは私の盗むスキルで金策面で貢献しましょう」
「うふふ、蜘蛛の糸でがんじがらめにして、毒の牙でじわじわいたぶってやるですー」
「よいですね。では初撃は私がやりましょう。……極大雷撃魔法、最終戦争、序章第二幕、『暴風雨』!」
まずはアイちゃんの魔法攻撃、上空に巨大な積乱雲が出現し、何本もの稲妻が敵を貫く。
敵は麻痺のステータス異常を受けているようだ、敵のHP半分位減ったよな……。
さすがレベル69なのか……。まあ攻略推奨レベル20のボスだとこんなものか。
だが、さすがクエストボス。自己治癒能力でHPがみるみる回復していく。
そこにすかさずミシェルンが飛び掛かる。糸で拘束すると毒の牙が敵を襲う。
毒というバッドステータスには大きなメリットがある。常時ダメージを与えるのはもちろんだが自己治癒能力を無効化できるのだ。
なるほどね。
もっと強力な敵と戦う場合は必須の能力といえるだろう、毒攻撃が出来るモンスターって結構重要じゃないだろうか。
「船長さん! 盗む、が成功しました。レアアイテム『悪魔の絵画』をゲットです。これを売り飛ばせば結構なお金になるですよ!」
お、サンバ君も頑張っているな。
「うふふ、マスターに戦わせてると、お金がかかりますからね。……では。やることを終えましたし、死んでもらいましょう『ヘルファイア』!」
アイちゃんは手の平から黒い炎を放つ。
『殺戮の天使・メレンゲ』は炎に包まれると断末魔を上げる。
「ギエエー。許さんぞ、だが、憶えておけ、人類には、もう未来などないのだと。故に私が……救世主となって……」
燃えて灰になる人型のモンスター。リアルなグラフィックだ。
……ゲームとはいえ、ちょっときついな。やっぱこのゲームは俺向きじゃない。
「船長さん。大丈夫ですかー? ログアウトしたら何か美味しい物でも作りますよ?」
ミシェルンが心配しながら俺に近づく。八つの目が俺をのぞく……。蜘蛛って案外つぶらな瞳なんだな。
「船長さん。大丈夫ですか? 顔色というか心拍数がヤバいですよ?」
サンバは近くで見ると結構イケオジ顔なんだな。ローグもありか……。
あれ。視界がグルグルと。
「マスターいけませんね。直ぐにログアウトしましょう。ネトゲ酔いですね。今日はお開きです……」
…………。
……。
目が覚める。というか現実に戻ってきたのだろう。
うーむ、さすがにフルダイブ初心者なのに長時間やり過ぎてしまった。気分が悪い。
仕事とはいえメリハリは大事だな……。
「船長さーん。コーヒーをお持ちしましたー。なんとイタリア産の本物のカプチーノですー。深煎りモカの香ばしい香りで気分リフレッシュですー」
「ひっ! デカい蜘蛛! ……じゃない。ミシェルンか……ごめん」
「マスター。ちょっとネトゲ症候群にかかり始めていますね。仕事も大事ですけど、私としては今回は止めた方がいいかと……」
「いや、ちょっとビックリしただけだよ。でもネトゲ症候群ね。なるほど現実と虚構が曖昧になるってこういう感覚なんだな……。
そうだ。ミシェルン! 今日は久しぶりに外でバーベキューをしようか」
「えー? 船長さん、ストライキの予定はないですよー。私達だって無暗にストなんてしないですー。
それに船長さんのデカい蜘蛛発言はしょうがないですー。実際、先程まで私はキモくてデカい蜘蛛でしたー。船長さんを不快にさせて申し訳ないのですー」
「いやいや。違うんだ。さっき俺が現実のミシェルンを見て、反射的にピンクポイズンスパイダーを連想してしまったんだ。
これは良くない。ネトゲ症候群の前兆といえる。だから、それを解消するために現実のミシェルンと語らうのがこの病気の解決策なんだって思ったんだ」
そう、もしかしたら、犯人は重度のネトゲ症候群なのかもしれない。いや、俺は確信した。
きっと、現実に彼の居場所はないのだろう。ネトゲの自分が本体で現実世界がバーチャルだという逆転現象。これはよくない。
俺もたった一日でそうなりかけたのだ。犯人の症状はより深刻だろう……なんとかしないとだ。
俺はゲームは下手だ。よって無駄な時間は使いたくない。
聞くのは一時の恥、聞かぬは一生の恥ってね。
「ええ、そうですね。今回は仕事ですのでサブクエストは除外します。
メインクエストもストーリーは読む必要はありません。そこまで凝ったストーリーでもありませんし。プレイヤーのほとんどもストーリーを覚えている人は少数でしょう。詳しすぎると逆に犯人に疑われてしまいます。
イベントムービーもスキップしてドンドンいきましょう!」
「おう、そうだな。俺もゲームを楽しみにしている訳じゃないし、そもそも昔からRPGは苦手だった。全部すっ飛ばしていくぜ!」
【慟哭せよ。愚かなる人類たちよ……。ヘルゲートが開いたとき、お前達は神に背き続けた罰への――】
スキップっと。ムービーは全部スキップだ。
思わせぶりなナレーションに重々しいBGM。映画みたいでちょっと興味がわいたが、ミイラ取りがミイラになりかねんし仕事として感情移入しないようにな。
それになんとなくダークファンタジー風味のストーリーは後味が悪そうで昔から苦手なんだよ。
これが学園ラブコメファンタジーで、アイドル育成要素があるならやり込んだだろうに。
【メインクエスト1。殺戮の天使を討伐せよ!】
俺達の目の前には廃墟となった教会が広がる。
ゴシック建築のいかにもな教会。
窓ガラスは全て割られており、外壁には苔や蔦がびっしりとひび割れた壁に這っている。
建物の頂上にあったベルは搭ごと崩れ落ち、十字架は真っ二つに折れ。地面に突き刺さっていた。
うん、雰囲気ばっちりだな。
最初のメインクエストでゲームの世界観を知るにはこれ以上ないマップデザインといえる。
「マスター。敵は教会の上にいるガーゴイルですね。アレを全て倒したらボスが出てきます。
ガーゴイルは飛行モンスターですのでマシーンの銃火器やソーサラーが得意とする獲物です」
「オーケー。んじゃサクッとやりますか。で、少しアロンダイトの練習がしたいから……連射してもいいよね?」
「まあ、いいでしょう。マスターには廃ゲーマーとまでは行かなくとも、そこそこのゲームのスキルを持ってもらわなければいけませんし。
金策が得意なローグもいますから多少は大目に見ましょう」
そうだった。前衛には金のかからないモンスターまでいる節約パーティーなのだ。
テンプラーを選択する場合は鎧も一級品を揃えないといけない。
いくら経費で落ちるといえど収支の管理はガバガバではいけないのだ。
福祉事業団体であるなら尚の事よ。
「よし、アロンダイト射撃モード!」
俺は四つん這いの姿勢になると視点はガンカメラ切り替わる。宙を舞うガーゴイルが五体見える。
今回は発射トリガーは人差し指に設定変更している。
人差し指を曲げる仕草を意識すれば発射できる。やっぱ銃のトリガーは人差し指がやりやすいのだ。
首を動かすとガンカメラも移動する。眼球の動きでターゲットカーソルの微調整が可能。
望遠も最初は戸惑ったが目に力を入れたり緩めたりで調整できる、慣れが必要だが練習あるのみだ。
ガンカメラの前にぶんぶんとガーゴイルの飛ぶ姿が映る。
「うっとおしいハエだ。目標をセンターに入れてスイッチ! 今だ!」
ドンッ!
惜しい。羽を吹き飛ばしただけだ。
地面に落下するガーゴイルにミシェルンがガサガサと気持ち悪い動きで駆け寄り、あっという間に八本の脚と蜘蛛の糸でがんじがらめにしてしまった。
「毒注入ですー。これでこいつは身動きが取れないですー」
「ナイスフォローだミシェルン。よし次いくぞ!」
目標をセンターに入れてスイッチ。
ドンッ!
目標をセンターに入れてスイッチ
ドンッ! ドンッ!
………………。
…………。
……。
ガーゴイルは全て倒した。
何発撃ったかはこの際どうでもいい。
ゲームスキルを得るには必要な経費と言える……。たぶん……。
【ふはははっ! 愚かな人類。いや、失礼。君達こそが人類最後の希望なのだろう……7つの大罪と言ったか……人類にはそもそもの潜在的な罪が――】
スキップっと。
教会の奥から紳士風のスーツを着たおっさんが出てきた。
ピンと伸びたカイゼル髭に鷲鼻。片目にモノクルの出で立ち。
いかにも胡散臭い感じのキャラデザインだ。
「よし、あいつがクエストボスだな。アイちゃん情報を」
「はい。敵は『殺戮の天使・メレンゲ』です。天使を自称していますが属性はありません。
あくまで人型モンスターのカテゴリーですね。
HPが高いのと自己治癒能力の高さがやっかいですが。
特に属性耐性もありませんので、ミシェルンの毒を与えれば回復は無効化します、あとはひたすら攻撃すれば攻略は簡単でしょう。
ちなみにアロンダイトなら3発くらいで倒せますが……マスターは撃ちすぎですのでこれ以上は禁止です。
普通に赤字ですよ? それと私達の戦闘もお見せしようじゃありませんか」
「お、おう。すまんかった。調子に乗ってドカドカ撃ちすぎた」
「さて、では我々のコンビネーションをお見せしましょうか。サンバにミシェルン。アレをやりますよ?」
「おう、船長さんにいいとこ見せましょう! もっともローグですから役に立つかどうかですが、ここは私の盗むスキルで金策面で貢献しましょう」
「うふふ、蜘蛛の糸でがんじがらめにして、毒の牙でじわじわいたぶってやるですー」
「よいですね。では初撃は私がやりましょう。……極大雷撃魔法、最終戦争、序章第二幕、『暴風雨』!」
まずはアイちゃんの魔法攻撃、上空に巨大な積乱雲が出現し、何本もの稲妻が敵を貫く。
敵は麻痺のステータス異常を受けているようだ、敵のHP半分位減ったよな……。
さすがレベル69なのか……。まあ攻略推奨レベル20のボスだとこんなものか。
だが、さすがクエストボス。自己治癒能力でHPがみるみる回復していく。
そこにすかさずミシェルンが飛び掛かる。糸で拘束すると毒の牙が敵を襲う。
毒というバッドステータスには大きなメリットがある。常時ダメージを与えるのはもちろんだが自己治癒能力を無効化できるのだ。
なるほどね。
もっと強力な敵と戦う場合は必須の能力といえるだろう、毒攻撃が出来るモンスターって結構重要じゃないだろうか。
「船長さん! 盗む、が成功しました。レアアイテム『悪魔の絵画』をゲットです。これを売り飛ばせば結構なお金になるですよ!」
お、サンバ君も頑張っているな。
「うふふ、マスターに戦わせてると、お金がかかりますからね。……では。やることを終えましたし、死んでもらいましょう『ヘルファイア』!」
アイちゃんは手の平から黒い炎を放つ。
『殺戮の天使・メレンゲ』は炎に包まれると断末魔を上げる。
「ギエエー。許さんぞ、だが、憶えておけ、人類には、もう未来などないのだと。故に私が……救世主となって……」
燃えて灰になる人型のモンスター。リアルなグラフィックだ。
……ゲームとはいえ、ちょっときついな。やっぱこのゲームは俺向きじゃない。
「船長さん。大丈夫ですかー? ログアウトしたら何か美味しい物でも作りますよ?」
ミシェルンが心配しながら俺に近づく。八つの目が俺をのぞく……。蜘蛛って案外つぶらな瞳なんだな。
「船長さん。大丈夫ですか? 顔色というか心拍数がヤバいですよ?」
サンバは近くで見ると結構イケオジ顔なんだな。ローグもありか……。
あれ。視界がグルグルと。
「マスターいけませんね。直ぐにログアウトしましょう。ネトゲ酔いですね。今日はお開きです……」
…………。
……。
目が覚める。というか現実に戻ってきたのだろう。
うーむ、さすがにフルダイブ初心者なのに長時間やり過ぎてしまった。気分が悪い。
仕事とはいえメリハリは大事だな……。
「船長さーん。コーヒーをお持ちしましたー。なんとイタリア産の本物のカプチーノですー。深煎りモカの香ばしい香りで気分リフレッシュですー」
「ひっ! デカい蜘蛛! ……じゃない。ミシェルンか……ごめん」
「マスター。ちょっとネトゲ症候群にかかり始めていますね。仕事も大事ですけど、私としては今回は止めた方がいいかと……」
「いや、ちょっとビックリしただけだよ。でもネトゲ症候群ね。なるほど現実と虚構が曖昧になるってこういう感覚なんだな……。
そうだ。ミシェルン! 今日は久しぶりに外でバーベキューをしようか」
「えー? 船長さん、ストライキの予定はないですよー。私達だって無暗にストなんてしないですー。
それに船長さんのデカい蜘蛛発言はしょうがないですー。実際、先程まで私はキモくてデカい蜘蛛でしたー。船長さんを不快にさせて申し訳ないのですー」
「いやいや。違うんだ。さっき俺が現実のミシェルンを見て、反射的にピンクポイズンスパイダーを連想してしまったんだ。
これは良くない。ネトゲ症候群の前兆といえる。だから、それを解消するために現実のミシェルンと語らうのがこの病気の解決策なんだって思ったんだ」
そう、もしかしたら、犯人は重度のネトゲ症候群なのかもしれない。いや、俺は確信した。
きっと、現実に彼の居場所はないのだろう。ネトゲの自分が本体で現実世界がバーチャルだという逆転現象。これはよくない。
俺もたった一日でそうなりかけたのだ。犯人の症状はより深刻だろう……なんとかしないとだ。
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