元英雄でSSSSS級おっさんキャスターは引きこもりニート生活をしたい~生きる道を選んだため学園の魔術講師として駆り出されました~

詩葉 豊庸(旧名:堅茹でパスタ)

文字の大きさ
102 / 127
第5章 おっさん、優勝を目指す

第100話 始まりの合図

しおりを挟む
 地をも揺るがす声援が入場と共にこだまする。天気は快晴、もうこれ以上良き天候はないというくらいだ。
 時期ももうすぐ冬季に入るというのにやたら滅多に熱い。その上会場内の熱気も上乗せされているのでさらに暑さは増す。

(異常だろこの暑さ。時季違いかと思うくらいだわ!)

 ただ暑いということに心中文句を垂れ流すも目の前からは決勝戦の相手、3年A組が堂々と姿を現す。
 仮面付けた変人が先行をし、その背後には聖剣を持った十人の戦士がついてくる。

 ついに勝負の場でご面会。仮面鬼と会ったのはいつぶりだろうか。
 両者がアリーナの中央で会すと決まりとして代表者同士の握手が要求される。
 俺は手を差し出し、握手を要求。すると向こうもすぐさま手を差し出してきた。

「お久しぶりですねレイナード先生。私のこと、覚えていらっしゃいますか?」
「もちろん覚えているとも。あの時みたその仮面は忘れられない」
「ははは、そうですね。こんな特殊な仮面を被っていたら目立ちますよね」

 というよりそもそも普段から仮面を被って生活している方が可笑しいのではと思ってしまうのだが……

(それは突っ込まないでおこう)

 俺は仮面鬼と握手を交えると一礼し、相手の生徒一人一人と握手をしていく。
 これは相手をリスペクトする行い、レーナが言うにはスポーツマンシップに乗っ取った行為であるという。
 戦う相手に敬意を払い、お互いにフェアな一戦をしようという一種の礼儀作法。単純に解釈すればこういうことなのだろう。

『それでは、両チーム準備が出来次第所定の位置に集まってください!』

 バトルジャッジの指示に導かれ、両クラス自陣営の方へと向かう。
 今回の一戦は準決勝と同様に全ての競技で優劣をつける全ルール勝負型の仕様。
 なので今回はくじ引きによる競技の選出はない。よって大会の形式ルールに乗っ取り、最初の競技は空術に決まった。

「空術からか。先手を取りたい競技ではあるが……」
「先ずは相手の真の能力を戦いを通じて見極めることが重要だ、ということですよね?」
「あとは十人が持つ聖剣についての詮索……と言った感じでしょうか?」

 その通り。さすがは我が助手たち、俺が伝えたいことを全て言ってくれた。
 この二人の言う通りまずは相手の出方を見なければならない。観客席で見ていた時といざ敵となって目の前で見るのとでは全然見え方が違う。
 戦いを通すことで分かることも多いということだ。

 それにあの聖剣……あいつらはまだ一度もその力を解放していない。まぁ恐らく向こうは聖剣を使わなくとも勝てるとでも思っているのだろう。
 魔技祭においては聖剣はただの飾り、または切り札的なモノ……といったところか。

 ちなみにこの大会の武器使用にはこれといって制限がない。なので聖剣だろうが魔剣だろうが使いたい放題だ。

(ハイアットの言っていたことも探りたい。奴らに聖剣を使わせるには……)

「本気を出させるしかないな」

 そのためにも比較的得意競技にある空術は何としても取って試合を先導していきたい。

 と、なれば……

「リーフ、皆を頼んだぞ。お前が前に立って必ず勝利を手にしてくるんだ」
「は、はい! 頑張ります!」

 空術メンバー8人を選出。メンバーはB組と予行演習した際と全く同じメンツ、リーフを基盤とした先手必勝のチームだ。
 大会までに試行錯誤をした結果、やはりこのチームが最も勝率が高く戦略が立てやすいということからこういった結論へと至った。

 そして対する3年A組は十人しかいないのでその中でも重量級の男剣士二人を除いた計8人が選出される。
 この試合では聖剣を使うことはないため、皆武器を下ろして中央へとやってくる。
 

 そして決勝が始まろうと盛り上がりを見せる中、放送席では……


『いよいよ決勝ですね司会のラルゴ教授』
『はい。実にエクセレントォォォ! な一戦が見れるかと思うとワクワクが止まらないですねぇー』
『そうですね、非常に注目の一戦です。特に史上初の1年勢が魔技祭決勝まで上がって来るとは驚きでした。その上そんな快挙を成し遂げた1年B組を率いるのはなんと今年着任したばかりの新人魔術講師だとか。それについてラルゴ教授はどうお考えで?』
『1年B組を率いるレイナード・アーバンクルス先生は素晴らしい魔術講師ですよ。自らの能力の高さもさることながら人を指導する能力にも非常に長けている。共に同じ仕事をする身ですが彼の底知れぬ能力には思わず声が出てしまうほどです。今日の一戦、もしかすると3年A組が歯が立たずに負ける……ということも十二分にあり得ると思いますねぇー』
『なるほど、それは非常に楽しみですね! この試合は大陸全土に放送されます。試合前の反響も大きかったことからどのような試合が予想されるでしょうか?』
『はい。そりゃもう一言、エクセレントォォォォォ! な試合になることは確実でしょう。彼はやる時にやってくれますからねぇー』
『そうですか、そう聞くと尚更目が離せませんね! 試合はもうすぐで開戦となります。はるばるワイバーンへとお越しの皆さん、そしてテレビの前の皆さん。開戦までしばしお待ちください! 司会はアロナード魔術学園の筆頭人気講師、ラルゴ・ノートリウム教授。そして解説はこのビーンが送りいたします!』



 ……こんなアナウンスが会場内に響き渡る。
 
 解説者のビーンが言うとおりこの試合は大胆にも大陸全土に放送される。我々1年B組の勇姿がテレビ越しで大陸中に流されるわけだ。
 なので尚更下手な試合ができない。

 両者準備完了。ワイバーン上空に設営された空術用バトルフィールドに両チームの選手たちが導かれ、最終確認を大会関係者とバトルジャッジが行う。
 
 そして……

『皆さん、大変長らくお待たせいたしました! これよりアロン魔道技術祭決勝戦、3年A組対1年A組の試合を執り行いたいと思いますっ!』

 バトルジャッジが盛り上がった現場をさらに湧かせる。
 
(……さて、人生をかけた勝負(バトル)を始めようか)

 この暑苦しい会場内で俺たちはただ、始まりの合図を待つだけだった。
しおりを挟む
感想 29

あなたにおすすめの小説

おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう

お餅ミトコンドリア
ファンタジー
 パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。  だが、全くの無名。  彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。  若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。  弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。  独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。  が、ある日。 「お久しぶりです、師匠!」  絶世の美少女が家を訪れた。  彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。 「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」  精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。 「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」  これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。 (※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。 もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです! 何卒宜しくお願いいたします!)

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

世界最強の賢者、勇者パーティーを追放される~いまさら帰ってこいと言われてももう遅い俺は拾ってくれた最強のお姫様と幸せに過ごす~

aoi
ファンタジー
「なぁ、マギそろそろこのパーティーを抜けてくれないか?」 勇者パーティーに勤めて数年、いきなりパーティーを戦闘ができずに女に守られてばかりだからと追放された賢者マギ。王都で新しい仕事を探すにも勇者パーティーが邪魔をして見つからない。そんな時、とある国のお姫様がマギに声をかけてきて......? お姫様の為に全力を尽くす賢者マギが無双する!?

最上級のパーティで最底辺の扱いを受けていたDランク錬金術師は新パーティで成り上がるようです(完)

みかん畑
ファンタジー
最上級のパーティで『荷物持ち』と嘲笑されていた僕は、パーティからクビを宣告されて抜けることにした。 在籍中は僕が色々肩代わりしてたけど、僕を荷物持ち扱いするくらい優秀な仲間たちなので、抜けても問題はないと思ってます。

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?

はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、 強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。 母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、 その少年に、突然の困難が立ちはだかる。 理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。 一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。 それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。 そんな少年の物語。

裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね

魚夢ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。 元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、 王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。 代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。 父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。 カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。 その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。 ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。 「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」 そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。 もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。 

解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る

早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」 解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。 そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。 彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。 (1話2500字程度、1章まで完結保証です)

処理中です...