年の差30歳のおじさん僧侶ですけど良いですか?~住職の一人息子に迫られました~

紫陽さらり

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番外編

永遠に愛してる(50年後の物語/死ネタですご注意下さい)

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「……ッ……ぅうう……凛……」

「父さん、そろそろ休んで? 父さんまで倒れちゃうよ。ちょっとは寝て」

 仏壇の前で涙に暮れる俺に、凛ちゃんと共に養子として育てた息子が 心配するように毛布を肩に掛けた。

「……ッごめん、今は凛のそばにいたい」


 もう20年も前に体を悪くして辞めたけれど、住職である親父が退いてからは 俺と共にこの寺を支えてくれていた。



 凛ちゃんは 30程の年の差も気にならぬくらい いつまでも色気のある愛しい人だった。

 若い頃、半ば無理やりパートナーになってもらって 毎日業務の合間や夜になると肌を重ねる日々を謳歌した。

 俺が住職を継いだ翌年、赤ん坊が賽銭箱の上に乗せられて居て、色々あったけどその赤ん坊を俺と凛ちゃんで育てる事にした。子育ては想像以上に大変だったけど、凛ちゃんはいいパパでありママをしてくれて毎日笑顔で楽しめた。

 時には若気の至りもあって 非常に罰当たりな卑猥な事も沢山したけれど、100歳過ぎまで生きてくれたんだから仏様も俺達を見守って下さっていたんだろう。


 脚を悪くして寝たきりになってからは、毎日俺が世話をした。

「慈海 すみません。こんなお世話をさせてしまって」

 凛ちゃんは申し訳なさそうにしていたけど 俺は一切嫌じゃなかった。

「何言ってるの? 凛ちゃんのお世話出来るなんて幸せだよ」

「私の事は、どこか施設に入れてしまって良いんですよ」

 弱々しく微笑む凛ちゃんに切なくなりながらも 努めて明るい笑顔を向けた。

「凛ちゃんの体を俺以外に見せるつもり? 許さないよ そんなの浮気だよ浮気! 凛ちゃんは俺のなんだから」

 頬を撫で、昔より少し萎れた唇を指の腹でなぞる。

「……ふふ まだそんな事を言うんですか? こんな老いぼれに誰が欲情すると言うんです?」

 切なげに笑いながら言う凛ちゃんにそっと口付けをして 「俺」と答えると、微かに頬を染めて しわくちゃになって笑った。


 動けなくなってからは ゆっくりと衰弱が進んだ。


 毎日、大好きだと言って口付けをするのが日課だった。
 先日も、いつも通り愛を囁き口付けをすると 凛ちゃん優しい笑顔で俺を呼んだ。

「慈海坊っちゃん」
「何? 久しぶりに坊っちゃんって聞いたね」
「ふふ そうですね」
「どうしたの?」
「ただ、あなたを 慈海を愛してると言いたくて」
「俺も愛してるよ。」
「そばに 居続けてくれてありがとうございます」

 まるで最後の挨拶のように感じて 泣きそうになった。

「……これからもずっと一緒だよ凛ちゃん」

 そっと包み込む様に抱きしめて頬に口付けた。

「今夜は一緒に眠って貰えませんか」

 その日 久しぶりに抱きしめ合って眠りについた。




 翌日、凛ちゃんが目を開ける事はなかった。




 息子と共に何とか葬儀を行い、全てが終わったその日から 凛ちゃんを想ってお経をあげ、1人になると泣き暮れた。

「父さん、俺 お父さんは仏様として見守って下さってると思うんです。だから、そんなに泣いてないで笑顔を見せてあげてはどうですか?」

 おずおずと提案してくれる息子に、そうだねと微笑むと、立ち上がって遺品を整理した。

 数々の思い出に涙を拭いながら 今日も 明日も明後日も 永遠に 愛してると凛ちゃんの遺影に囁き続ける。
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