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第5章 VSオダマキ帝国戦争

第136話 VSオダマキ帝国戦49 闇の大精霊

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サナエさんに報告するために、王都ストレリチアへ戻る準備をと思い、大精霊が入ってる死体を片付けようとすると。

「まぁまて、この身体が気に入った。このままついて行ってもよいか?」
「「ぇ?」」

 意味が分からなかった。
 今まで喋る子が居なかったから、拒否する子が居なかっただけなんだろうけども。そもそも、どうやってついてくる気なんだか。手段はあるけども、そんなことを思ってると、不機嫌そうなメグが、大精霊に質問した。

「ついて行くってどうやって?」
「お主の背にのればいいだろうに」

 凄く嫌そうな表情を見せるメグ、うちも偉そうな感じは、あまり好きになれない。

「何であなたを乗せなきゃいけないの?」
「良いではないか、減るものではないだろうに」

 メグと仲良くでき無さそうだな、背後からそーっと近づき、肩に触れ大精霊の入っている死体をアイテムボックス収納した。

「ナイス茜ちゃん!」
「まぁ、メグとは相性良くなさそうだよね」
「好きになれないかな……」

 実力無ければ正直関わりたくはない。とりあえず片付いたので、街の外に出て、王都ストレリチアに向かった。

「ん~……」

 移動中にメグが唸りだした。

「どしたの?」
「プルートがうるさい」
「プルート?」
「闇精霊の種族名かな、大精霊が耳元でうるさいの」
「あ~体を出せって?」
「そうそう」

 ふと思う、公文に大精霊になってもらうのは無理なのだろうか?あの子は素直そうだったし……

「っ!?茜ちゃん、なんか公文を大精霊に出来ないか考えた?」

 あ~大精霊が、うちの心を読んだな……

「思ったけど、可能かな?」
「ネア様に言えばやってくれそうだよね~」
「自称大精霊さ~メグに迷惑かけるなら、本当にやるよ?」

 とりあえずメグに頭付近をウロウロしているであろう大精霊に対して言ってみた。

「あ、おとなしくなった。」

 そりゃよかった。

「思うんだけど、大精霊と対立したら、精霊達は、アンデット達の中に入らなくなるのかな?」
「それは無いでしょ、大精霊は大精霊、茜ちゃんは人神だからね、立場が違うどっちの方が上かなんてね」

 それは大精霊が孤立するって事だろうか?
 それはそれで面白そうだけど!

「なんか、面白くない!って叫んでるんだけど」

 また人の心読んだか、別にいいけども、

 その後、王都ストレリチアに寄り、サナエさんに報告したら、ヘイムとの境目は、城塞都市リチアがギリギリ見える所からで構わないとか、問題にならないようにと書面で頂いた。

 アナナスの一件を含めて落ち着いたので、アカシアに戻る事にした。

 アカシアに戻り、アカシア伯爵の下に行こうとしたら。港にうちの船があった。久々にみるルビア・アイギー号だ。

「久々に見るね~ミク達どこにいるんだろう?」
「ん、伯爵と会ってるんじゃないかな?」
(肯定、現在伯爵と対話しています。)

「んじゃメグ、伯爵たちの居る所にいこう」
「はいよ~」

伯爵の部屋の前に来ると、懐かしい声が扉の向こうから聞こえてきた。扉をノックすると、返事があり、扉が開いた。

扉を開けたのは、公文だった。

「茜様おかえりなさい、それと……大精霊様もご一緒なのですね」

あー忘れてたな、そういえばそんな奴もいた。

「大精霊は気にしなくていいよ、ナンシー達きてる?」
「はい、ナンシー様一行が到着されています。案内しますね。」
「うん、よろしく~」

 中に入るのかと思ったら違った。別の部屋に案内された。公文が扉をノックした。

「伯爵様、茜様が戻られました。」

仲から声が聞こえ、公文が扉を開けた。

ミクやユリア、ナンシーミーニャと懐かしい顔ぶれだった。クラリサは船でお留守番かな?

「やぁ、久しぶり~」

一同が、戸惑いの表情を見せたが、ユリアだけが駆け寄り抱きしめてきた。

「ユリア?」
「茜ちゃんね、伯爵に聞いたわよ、戦争に参加してたんですってね、あなたは、まだ子供なんだから、そういう危険な事しないの!」

 んー危険な場面なんてあったかな……?基本アンデット達がなんとかしてたからな~

「あ~ユリア、うち直接参加はあまりしてないから大丈夫、参加してるのは公文達だから……」

「それでもよ、危ないことはしないでちょうだい」
「気を付けます……」

 ユリアは本当に母親のように接してくる。会うたびに泣かせてる気もする。ユリアが離れると、ナンシーがきた。

「えっと、茜ちゃん?背も少し伸びて雰囲気が変わってるけど……」

 そりゃ大人になりましたから!

「まぁちょっと訳ありでね」
「そう、伯爵から聞きました。兄を含めた敵対勢力をほぼ撃退しているとか、それからジャックとも会いました。茜ちゃんが色々助けてくれたと聞きました。ありがとうございます。」
「あぁ成り行きでそうなっちゃったかな?ジャック件も成り行きだから気にしないで」
「本当にありがとうございました。明日にもジャック達とハイムに向かいます。」
「あぁ、リチアって子も連れて行ってあげて、王都でたぶんアレクに会えるからその人も連れてってあげてね、それからさ、ヘイム平原欲しいんだけど、どこから貰ってもいい?」
「リチアさんとも会いました。ヘイム平原ですか?」

 ナンシーも、何故あの地が欲しいの?と不思議そうな表情で返してきた。

「うん、ちょっと街づくりをしたくってね、ストレリチア王国の方は話が付いてるんだけど」
「どういった内容なんですか?」
「向こうの城塞都市リチアがギリギリ見える所からって話になってる。」
「境の話ですか、ここから見える所で大丈夫です。といっても私が後継者として確定してからですが。」

 ん?既に兄は……

「あれ?伯爵から聞いてないの?」
「ぇ?」

 うちは伯爵の方をみると。

「まだ確定事項じゃないからな、ナンシー殿、そなたと争いをしていた兄だが、王国との戦前に恐らくだが戦死した。」

 ティアマト君のブレスで蒸発しても戦死扱いなのか

「ぇ?戦前に戦死って何かあったんですか?」
「皇子が王国攻めの為にカトシスに陣を張っていたんだが、ドラゴンに襲われたんだよ。」

 アカシア伯爵が、うちの方を見ながら答えている。ミクは何か思い当たる節があるようでうちの方をみている。

「ドラゴンですか?ユリ山にいるファイヤードラゴンですか?」

 ユリ山にファイヤードラゴンが居るのか、見て見たいな。

「いや、暗黒龍ティアマットだそうだ、こちらは住民から確認が取れた」

 ん、伯爵自身情報収集したのかな?

「ティアマットなんて、はるか昔に滅ぼされたドラゴンじゃありませんでした?」
「そのはずだが、黒いうろこを纏ったドラゴンが襲って来たと言っていたな。ブレスで帝国兵の居た陣営と町の一部が消し飛んだそうだ。」

 ミクの視線が……

「そんな、街の復興を!」
「それは済んでるよ。ちょうど私が通りかかったからね。」

 メグが間に入ってきた。

「メグ様が追い払ったのですか?」
「いや、私が来たときには既にティアマットはもういなかったよ、代わりに北側の城壁と町の一部がなくなってたから茜ちゃんと一緒に復興支援をしたよ。」

 あ、そこでうちの名前出てくるのか、

「姉さん、それって出航してって言いに来た後?」

 ミクの中でパズルのピースがはまったのだろうか?

「そうそう~」
「そこに茜ちゃんが居たって事は、茜ちゃんドラゴンと契約したの?」

 勘の鋭い奴め……

「「「ぇ?」」」

ナンシー、ユリア、ミーニャが驚いている。

「契約はしてないよ?」
「何で疑問形なのかな?ドラゴンの攻撃って茜ちゃんの仕業でしょ」
「まぁちょっと手違いで……」

 ミクってこんなに勘のいい子だったっけ?

「茜ちゃんドラゴン使えるの?」
「いや?ドラゴンだけじゃないけども……」
「私が説明しても良いですか?」

 横から公文が、口を出してきた。

「あ~お願いしていい?」
「はい、畏まりました。」

 その後、公文からプルート達闇精霊が、うちに仕えてる事を説明し、ティアマト君の事を、そして公文自身も含めて多くの闇精霊達がアンデットに入り込み、オダマキ帝国各地で戦いをした事、そして、闇精霊達が情報収集してきた現状の説明、最後に、人としての暮らしを望んでいること、それに伴い、うちがヘイムの街づくりを考えていること等様々な事を説明してくれた。

「そういうわけです。」
「えっと、兄さんだけじゃなく、既にユズリア軍務卿も……?」
「はい、先日オーシアでアレク様に討ち取られています。」

 知らなかった。その部分は初耳だった。

「現在ナンシー様の敵対勢力ですが、壊滅状態です。残っているのはユズリア軍務卿についていた一部の貴族のみですが、各地で茜様に全滅させられた為、大して戦力を有していません。」
「えっと……」

 ナンシーはこれから頑張ろうっと思っていた所を、既に敵勢力が壊滅としって脱力したのかな?

「ジャック様たちだけでも十分相手になるとおもいますよ。」

 これにリチアとアレクっていらなくない?

「まぁ良かったじゃん、念のため、アレクとリチアに護衛についてもらって事を進めていいからさ。」
「そうですね……、茜ちゃんありがとう。」

 思えば、最初はアカシア偵察の為だけに来たのに、気づけば、帝国全土で転戦してたなぁ……

「いえいえ、んじゃうちは、ヘイムでの街づくりを……」
「待って茜ちゃん、ダグラスさん達の事どうするの?」

 あ~そういえば、先のペストで身体症状が残ってる人治療の為に来たんだっけか。忘れてた。多分一番人出が必要になるよねぇ、ちょうどいいの居るし手伝わせるか。

「うん、このままアカシアに来てもらって、合流して治療が終わったらヘイムに来てもらっていいかな? 2便目以降は、ヘイムでやろう。あと研修生を1人だすから、その子の状況をおしえて、使えなければ首にするから。」

 そう言って、大精霊が入っていた死体をだす。出すなり大精霊が突っかかってきた。

「まて、茜殿!首はないじゃろう!」
「うち的に、ふみちゃん大精霊にしたほうが気が楽だし?」
「わらわも役に立つぞ!」
「うん、だから役に立って見せてよ、その為の研修だからさ、ふみちゃんのやってる事理解してるなら、事務仕事は問題ないでしょ?」
「そうじゃが……」
「ハイハイ決定、んじゃミクこの子お願いね。」

 納得いかなさそうな大精霊の意思は無視だ。

「それは良いけど、その子の名前は?」
「ない!プルートでいいんじゃない?」
「茜殿!」

 名前を与えると契約扱いになるなら、公文だけでいいと思ってるしミクがつけてくれないかな?

「それはあんまりじゃ!茜殿以外から名付けはいらぬ!」

 まーた人の心読んだか……

「名前を付けたら、うるさくされるのは嫌なんだけど……」
「うるさくしない!」
「みんなと仲良くできないなら……」
「仲良くできる!」

 必至に答えてくるあたり名前が欲しいのだろうか?

「茜ちゃん、名前つけてあげたら?気に入らない事があれば、茜ちゃんが思いっきり魔法を撃てば、その子の存在自体消せるよ?」
「メグ殿!!」

 慌てる大精霊を見る限り、本当の事なんだろう。名前ねぇ~黒いからクロとか~

「茜殿!それはあんまりじゃ!可愛い名前がよいのじゃ!」

 ん~大精霊が入っている体は確かに綺麗な金髪のウェブがかかったお姉さんって感じだからなぁ、色々な意味を踏まえて。

「カトリーナでどうかな?」
「おぉ~それでいいのじゃ!」
「んじゃ決まりね、んじゃミクおねがい、早いうちにヘイムに港作るからそっちが終わり次第きてね」
「わかった。カトリいくよ!」
 
略するとカトリなんだっけ?

「ミク殿ちゃんとよんでほしいのじゃ」
「人に迷惑かけると……」
「そのままでいいのじゃ……」

これで大精霊は大丈夫かな?

「んじゃナンシー、すべてが終わったらアレクとリチアをヘイムに寄こしてくれる?」
「わかった、本当に色々ありがとう。」
「うん、んじゃ、さっそくヘイムに行くよ、またね~」

こうして、アカシアを後にし、ヘイムの中心地に向かった。
 
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