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第5章 VSオダマキ帝国戦争

第117話 VSオダマキ帝国戦32 メグの告白

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ゾンビ兵の後をアレク達と一緒について行ってると

(ねぇ、茜ちゃん)
(うん?)

メグからの念話が飛んできた。

(あのさ…… リチアが、アレクにくっついてた時、ものすごく不機嫌だったよね……?)
(うん?まぁそうだね)
(生前の彼氏さんの事まだ気にかけてるの?)

そんなの一度たりとも忘れたことないし
うち亡き後、正直、うちの事を忘れて幸せになってほしいと思った事はあるけど
あいつの性格上、それはないだろうな…って思ってる。
あいつとの事があるから、
うちは死者の浄化するときに最期の挨拶ができる時間を作ってるし……
うちも一度は、夢にでも化けて、
「うちの分も幸せになれよ!」とか「うちの分も生きろよ」位は伝えたかったな…

(まぁ一度たりとも忘れたことないよ)
(そっか……ごめんね、本当にごめんね)
(ねぇ、メグ、うちはあの時メグを許したはずだよ?もうその件で謝るのは無しね)
(うん……)

うちが伝えると、メグがしょんぼりって感じの表情になり、
耳が前に垂れてる

(ねぇ、茜ちゃん……)

メグが、急に意を決したように、うちに話しかけてきた。

(どうしたの?)
(これを受け取ってくれない?)

そういってアイテムボックスから取り出したのか
口に何か加えて、うちに渡そうとしてきた。
よく見ると、指輪のケースのように見える。
とりあえずそのケースを受け取ると

(それ、茜ちゃんの物になる予定だったものだから、開けて良いよ)

メグに、開けて良いと言われたので開けると、そこには
赤?茶色の宝石が付いた指輪があった。

(これは何?)
(あのね、彼氏さんが、あの日、茜ちゃんに渡そうとしてた指輪)

そんなものを何故、メグが持ってるんだ‥‥?
そう考えたら、この赤?茶色の宝石は、ガーネットだな…
うちの誕生石の話を一度してきたことがあるのを覚えてる

(なんで、メグが持ってるの?)
(彼氏さんが、茜ちゃんの墓前に供えてたから)

お供え物をパクってきたのか…
とりあえず、ケースから指輪を取り出し指にはめてみるが……
ぶかぶかだ……まぁこの体は子供だからな…元に戻ればちょうどだろうか?

(その指輪、彼氏さんの手作りって言ってた)

だろうな……
あいつは、自分で色々な物を作る趣味があったからな
特に、雨の日は銀細工や物作りに、はまってるようなやつだったし
付き合い始めてから、アクセサリーに興味のない、うちに対して
イヤリングだの、ネックレスだの、ブレスレットだの良く貰ったっけか…
一度も身に着けたことないけども……
キャンプ場では、鉈やら、斧やら、ナイフを使って、
テーブルやら椅子を作ったり色々してた、使わなくなったら薪とか
何度“かなりいい出来なのに、もったいない!”って思った事か

(そっか…んで、どうして今これを?)
(あのね……)

また言葉に詰まるメグを見てて
長くなりそうだなぁと思い
ちょっと、ゆっくり移動してと考えると
案内役のゾンビ兵が、理解したようで、ペースを落としてくれた。

(うん?)
(あのね、私茜ちゃんを死なせちゃって、別の時代に行く前に、茜ちゃんが亡くなった日から最期の時まで、彼氏さんとずっと一緒に過ごしてたの)

初耳なんだが……

(なんでそうなったの)
(ネア様にお願いして、彼氏さんの方にも何らかの償いをしたくって…)

メグが責任感が強いってのは、初めに会った時から知ってたけど、
あいつに対しても償おうとしてたのか…

(あいつは幸せになれたの?)
(どうなんだろう、解らない……けど、私を、茜ちゃんとの子どもって事ですごく大事にしてくれたよ)

うちも逆の立場だったら、好きな人が亡くなった翌日に子狼が現れたら
生まれ変わりとか思う気がするけど

(結婚はしなかったの?)
(しなかったよ、茜ちゃんが亡くなってからずっと引きずってたと思う、良く休みの日に、私を上着の懐に入れて、バイクでキャンプに行って、夜空を一緒に眺めてたりしたよ)

やっぱり、「うちの分も幸せになれよ」とか、「うちのこと忘れて、新しい彼女見つけて幸せになれよ」とか伝えたかったなぁ
星空とか絶景が好きだったのは、覚えてる。
よく風景写真がスマホに送られてきたし

(そっか…)
(うん……)

正直、あいつの来世が幸せな人生を送れるように祈る以外やれる事はないかな…

(メグは、あいつの元で楽しかった?)
(うん、すごく楽しかった。色々なところに連れて行ってもらったり、いっぱい遊んでもらえたから)

まぁ、当時メグまだ子供だったし、メグが一時でも楽しい時間を過ごせたならよかった。
あいつも、一緒に遊んでくれるメグが居たから、精神的にもよかったろうし

(そっか、色々教えてくれてありがとうね)
(うん……他に何か聞きたいことはない?)
(もういいよ、過ぎた過去を想っても、どうすることも出来ないしね)
(そっか……)

しょんぼりって感じのメグの顔を少し撫でてやった。

そんな話を終えるころには、伯爵のいる部屋の前に着いたようだった。
ゾンビ兵が、部屋をノックしてる。

さて!気持ちを切り替えて報告しないと!
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