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⑥バイクショップ

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 日は流れて。
これで、バイクが乗れる。
で、どうしたらいいんだ。
とってから考えようと考えていたんだ。
「ガーーーーン」
携帯電話をだし、電話をした。
「渉、バイクってどれを買ったらいいんだ」
渡辺は籠屋が完全にテンションが下がっているのが会話口でも分かった。
「そこからか」
「それってとる前に決めとけよ」
渡辺はあっけに取られている。計画性のなさ。お前はそういう経験ないもんな、仕方ない。俺があいつを誘ったんだから。面倒見てやるよ。と心の中で何回も言い聞かせた渡部は。
そして、渡辺は言葉を続けた。
「まあ、俺を頼ってくれるからアドバイスはするけどな」
「仕方ないな」
「バイクの専門ショップがあるから見に行くか」
「この前のステーキハウスのお礼」
渡辺は紙コップにコーヒーを入れて休憩所で、たばこを吸いながら電話している。
「感謝しかない」
「本当に助かる」
「お前を何処かの古だぬきと同じで自分のことしか考えていない悪魔って考えてごめん」

本音八割、盛る二割ってか。冗談を言う時は、籠屋景の中で決めていることだ。

「少し心に突き刺さるものはあるけど」
「じゃ、明日行くぞ」
渉、よく、耐えた。心に突き刺さっているから。大丈夫ではないけど。冗談だと分かる、口調で話しているから。いいけど。俺じゃなかったらぶちぎれてんぞ。と心の中でただ思うだけだった。
「了解」
バイクショップにて
「ここか、関西一のバイクショップ」
ワクワクが止まらん。これは、ゲームの取り揃えがいい、難波に来たみたいだという
同じ感覚だ。
「でけぇなーーーーーー」
籠屋景は心の声が漏れていた。
東京ドーム何個分よ。実際には東京ドーム半分くらい。でも、広いな。店前にはバイクに値段が書かれて置いてある。金額もなかなかだ。タイヤとかも売ってるし。中にはどんな世界が広がっているんだ。もう楽しみだらけでたまんなーーい。
「皆最初はそう思うよ」
渡辺渉の声を聴いて、自分の心の声が漏れているのに気づいた。少し恥ずかしい。
「はしゃぐなよ」
渡辺渉は言葉を続けた。
「はしゃぎません」
冷静さを戻しながら、言葉を投げた。
「それで、雑誌やネットから絞ったんだよな」
「俺は、忍者がいいかなって」
携帯でカタログを出した。
「あっ、ミーハー」
すぐに渡辺渉は言葉を出した。
「何だよ」
籠屋は少し怒り気味で言葉を続けた。
「お前のバイクだってそうじゃないか」
「ちっちっち」
渡辺は指を前に出して左右に振らしながら答えた。
「違うんだな」
言葉や態度に余裕を見せて言葉を続けた。
「スクータータイプの便利性が分かってない。これは、二人で乗るように設計してあるんだなこれが」
バイクに関しては自分の方が上であるという意味も含んだ言葉だった。
「やっぱり、女子を乗せたいだけじゃん」
否定はしません。だって、女子を乗せたいのは男の夢じゃありませんか。と渡辺が籠屋に言ってやりたいが、こいつには通用しないことを分かっている。だから、そこは省いて次の言葉を続けた。
「ツーリングも楽だし」
「お前、俺の所属するツーリンググループに入らないか」
そうだ、こいつを入れたらいいんだ。と渡辺は気づいた。
「にっししし」
渡辺は悪い顔。
「今、俺入れて四人」
「ツーリングの企画をしている。森田モーターズショップの開催している森田ツーリングショップに入らないか」
籠屋景はきょとんとしている。
「ツーリング」
聞きなれない言葉で少しの間フリーズした。
「そこから話さないといけないか」
困り顔の渡辺渉をよそに、自分で考えて答えを出そうとしている。
「そうだな、何人かで目的地を決めて、皆で無線で話しながら。目的地に行くんだ」
「まあ、要するにバイクに乗って美味しいものや綺麗な景色を皆で見ようってことだ」
そうか、美味しいものか。そういえばこの前も渡辺渉に連れて行ってくれたところのログハウスのお店の料理もおいしかった。
「それなら、行くぞ」
「そこのガキがさ運営しているんだけど。便利いいしさ」
「まあ、考えとく」
「絶対バイク買ったらツーリングを皆で行くと楽しいしさ」
渡辺は、魅力を延々と話してもよかったが、無理に入れてもこいつの為にはならない。だから、自分が自分の殻から出るまでまとう。気長にな。でも・・・・。
「まあ、まずはバイクを買わんとな」
言葉を言い終わると、入り口の前まで来た。

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