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過去編 (完結)
3.無茶苦茶だ――――!?
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次の日から豚が言った通り授業が始まったが、正直地獄だった。昨日の傷のせいで発熱したが、そんな奏にはお構いなしにそれぞれの授業に引っ張って行かれた。
幸い世界をまたいだことにより、奏はチートと呼べる特技が身についたようだ。それが発覚したのは、それぞれの授業でだ。
まず、この世界の言葉すべてを理解でき、読み書き会話に苦労することがなかった。それから1度見聞きしたものは絶対に忘れない絶対的な記憶力も得たようだ。
これが発覚したのは、宰相の授業の時だ。熱で意識がもうろうとしている中でも、宰相が言ったことや自分が読んだ内容は一語一句すべて暗記できた。それに、だれがどう見ても多すぎるだろ! という宿題をこなすため、夜城の図書室で本を読んでいると、他国の本までスラスラと読めてしまったのだ。宰相は授業でわざと授業で行っていない他国の言葉を使ってくるが、それは全部日本語に聞こえた。
奏はこれには文字通り泣いて喜んだ。
何故なら、宰相の授業中、出された問題に間違えると、ひどい折檻が待っているのだ。
「それでは、『3年前この国で初めて魔物の被害が起きました。それがどこか答えなさい。』」
「『国境近くの村です。』」
宰相が、隣国の言葉で奏に問題を出した。奏は、昨夜読んだ文献の中から、合致する情報を思い出し答えた。
「違う。」
次の瞬間、宰相が持っていた鞭が空を切って容赦なく奏の腕に叩きつけられた。
「ッッッ!」
「被害が出たのは辺境伯領の中心近くの村数か所です。そこが国境だったのは100年以上も前の事ですよ。私は昨日、今日は100年以内の情勢の授業をすると言いました。伝えたことくらい完璧にきにこなしなすことは最低限の努力ですよ。お前に時間をかけてあげるほど私は暇ではないんですよ?」
そう言いながら宰相は何度も奏に鞭を叩きつけた。痛みのあまり鞭から逃れようと奏が椅子から落ちて床の上で丸くなっても、その背中に執拗に鞭を打ち付けた。
(あぁ、失敗した。)
背中に激しい痛みを感じながら、奏は内心呟いた。
確かに昨日宰相は奏に今日の授業範囲を知らせていた。しかし、その内容は『100年以前の情勢についての授業』だったのだ。それに付け加えて『今から100年間の内容は含まない』と告げられていた。わざわざご丁寧にこんなことを付け加えてくるのだから、もう少し警戒すればよかったと奏は昨夜の自分を呪った。
最初は普通に次の授業範囲を知らされて問題を出されていた。勿論間違えれば今みたいに鞭が飛んでくる。
しかし次の授業範囲は宰相から直接知らされるのではない。それは今もう1つ用意された机の前に座り、口元に笑みを浮かべながら奏を見下ろしている宰相の息子であるジークフリートからである。
しかし、奏のチートとも呼べる記憶能力と言語理解能力のおかげで、ある程度は回避することはできるようになっていた。それが面白くないのか、ジークフリートは嘘の範囲を奏の教えるようになったのである。
今回のように間違えたり答えられなかったりすると、鞭付きで予習不足をネチネチと攻めてくる。
「父上、本当にこの女が魔王との戦いの切り札になるのでしょうか?」
「すでに他国の言葉を完璧に理解しているところを見ると潜在能力はあるはずです。」
「しかしこのような有様では・・・・・・。」
「言いたいことは分かります。告げられたことの最低限の事すらできない有様では話になりません。しかし、最悪頭が残念でも我々がうまく使えばよいのです。」
「成程! 我々がしっかりしていればよいのですね!」
痛みにうずくまる奏を気にかけるそぶりをかけらも見せず、それからしばらく親子の会話は続いた。
この会話は本人を目の前にしてどうかと思ったが、奏にはもう慣れたものだった。それに、奏が告げられたことの最低限の事しかしないというのは本当の事だった。
この授業が始まって1番最初から始めたのは、『最低限しか使えない人間を演じる』ことであった。特に知識面では、使えると判断されれば魔王討伐後に城に今以上に監禁されるかもしれない。
そのため、奏は告げられたことの2倍ほどの知識を城の図書室で取り込み、それを最低限しか表に出さないようにしているのだ。
「いつまでサボっているのですか。早く席に着きなさい。授業を続けますよ。」
ようやく親子の会話が終了したのか、宰相が床に蹲っていた奏を無理やり椅子に座らせた。
その後も、奏に数えきれないほどの鞭が入れられたのは言うまでもない。
余談だが、ここはマルティアノ王国というこの世界でもかなり大きい国らしい。驚くことに、暦や時間の感覚は日本と同じだった。
運動面では、平均よりいい方だった運動神経や洞察力が跳ね上がった感じだ。
最初は、何の基礎もせずにいきなり団長と何度も試合させられ、容赦なくぼこぼこに殴られていた。しかし今では、実力ではその団長をもしのぐほどになった。
しかし、嫌がらせが始まった。なまじ毎日体を鍛えている騎士団からの嫌がらせは質が悪かった。
彼らは要人や城を警護するのが主な仕事だが、時には魔獣や人間を相手にする。そのため、どこをどのくらい痛めつければ人が死ぬのかはいやというほど知っているのだ。裏を返せば、どこをどのくらい痛めつければ死なせないのかも知っているということだ。
奏が使っている模擬剣に細工して折れやすくしたり、骨折しているのに無理やり相手をさせたりしてきた。その筆頭は、もちろんキースだ。団長はいつも見て見ぬふりをしている。死ななければ何をしてもいいという雰囲気をビシバシ感じた。
もちろん毎回傷を負いながら返り討ちにしている。頭脳面では使えないと判断された方が都合がいいが、武術では使えると判断された方が、魔王討伐の旅に出ても何かと動きやすいと判断したからだ。
おかげで生傷が絶えることはない。
「お前は俺の息子なのに、なぜ剣を握ったことのない女1人に勝てない?」
たまたま、騎士団長室の前を通りかかった時、騎士団長の不満げな声が聞こえた。奏は聞いてはいけないと思いつつも、気になってしまい聞き耳を立てた。
―――☆―――
騎士団長室は言いようのない緊張感が漂っていた。
騎士団長は呆れた視線を隠しもせずに目の前にいる息子のジークを眺めていた。その視線を受けたジークは、居心地悪そうに視線を外すことしか出来なかった。
「しかし父上・・・・・・」
「言い訳は無用。いいか、お前には将来俺の後を継いでもらう。そんな人間が、今まで1度も剣を握ったことのない者に、ましてや女に歯が立たないなど言語道断だ。」
ジークは悔しさを紛らわすように両手を握りしめた。
ジークとて危機感を感じていないわけではない。最初は簡単に御せると信じて疑わなかった。しかし、奏の予想以上の成長ぶりに追いつけないでいるのだ。勿論、このままでいいなどとは思っていない。しかし今の時点で、自分が奏に実力で劣っているのは事実である。何も言い返せず黙って父親からの言葉を受け止めるしかないのだ。
騎士団長はそんなジークに1つ溜息をついて続けた。
「いいか、魔王討伐が終わった後もしあの女が生きていれば2つの道がある。」
騎士団長はジークに見えるように指を1本たてた。
「1つは内政に利用することだ。宰相が教育しているが、そこで使えると判断されれば生かさず殺さず使い続けることが出来る。」
そして、もう1本指をたてた。
「2つ目は、城にたどり着く前に殺すことだ。不意を突いて殺せればいいが、気づかれた場合真正面から殺り合わねばならない。返り討ちに合ったり逃げられでもして他国にでも行かれれば、今回のことが他国に露見してしまう。そうなったら目も当てられん。」
つまり、召喚は人道にも劣ることでそれを行ったと知れたら他国から蔑視の目で見られる。そうなってしまったら外交に支障が出てくるかもしれない。その上、用済みとなれば暗殺するなど言語道断。他国からこの国に付け入る隙を作るだけで何の理もない。周辺諸国が結託でもしたらいくら大国と言えど状況は厳しくなる。最悪、内乱が起こるかもしれないと言いたいのだ。
言いたいことは分かるな? と視線だけで尋ねられたジークの出せる答えは1つしかなかった。
―――☆―――
奏は呆れかえりながら扉から耳を離し、なるべく音を立てないように自室に戻った。
自室に戻った奏は、大きく息を吐きこれからどうするかと考えた。
宰相と言っていた“使う”とは方向性が違うが、騎士団長も魔王討伐が終わった後、奏をこき使う予定があるということが分かった。
(この2つは(魔王討伐が終わるまで)警戒は最低限でもいいかもしれない。)
勿論痛いのは嫌いだし死ぬのはもっと嫌だ。しかし、一生飼い殺しもごめん被る。だから今後の自分の動き方をよく考えなければならない。
知識面で使えると判断されれば内政で一生飼い殺しがほぼ確定してしまう。逆に、戦力面で使えないと判断されると、魔王討伐する前に殺されてまた次に誰かを召喚する可能性が高い。かといって戦闘力が高すぎると危険分子として魔王討伐後に消されるかもしれない。というかこの国の人間ならやりかねない。
(宰相の授業は現状維持で騎士団の方は力を付けた方がいいかな。危険分子に認定されても強ければ逃げられるかもしれないし。)
あと残るは魔法師団だが、それもおいおい分かってくると思うので今は保留だ。
今後の方針が決まったことで次に考えることは、ジーク含めた騎士団員から受けるであろう嫌がらせの対処法だ。
この国には、騎士道精神のようなものがないようである。
奏は深い深いため息を吐いたのだった。
――――――――――――――――――――
読んでくださりありがとうございます!☆*: .。. o(≧▽≦)o .。.:*☆
感想お待ちしています! いただいた感想には、基本的にすべて返事を書かせていただきます。また、『登場人物のこういったものが読みたい!』 『別の視点から見た話が読んでみたい!』 と言ったリクエストをいただけたら、番外編として書きたいと思っております。
たくさんの感想&リクエストお待ちしています!
読んでいただいて、『面白い!!』と思ってくださった方は、ぜひお気に入り登録をお願いします。
※この度、「ファンタジー小説大賞」にエントリーさせていただきました。
そちらの方もよろしくお願いいたします。
幸い世界をまたいだことにより、奏はチートと呼べる特技が身についたようだ。それが発覚したのは、それぞれの授業でだ。
まず、この世界の言葉すべてを理解でき、読み書き会話に苦労することがなかった。それから1度見聞きしたものは絶対に忘れない絶対的な記憶力も得たようだ。
これが発覚したのは、宰相の授業の時だ。熱で意識がもうろうとしている中でも、宰相が言ったことや自分が読んだ内容は一語一句すべて暗記できた。それに、だれがどう見ても多すぎるだろ! という宿題をこなすため、夜城の図書室で本を読んでいると、他国の本までスラスラと読めてしまったのだ。宰相は授業でわざと授業で行っていない他国の言葉を使ってくるが、それは全部日本語に聞こえた。
奏はこれには文字通り泣いて喜んだ。
何故なら、宰相の授業中、出された問題に間違えると、ひどい折檻が待っているのだ。
「それでは、『3年前この国で初めて魔物の被害が起きました。それがどこか答えなさい。』」
「『国境近くの村です。』」
宰相が、隣国の言葉で奏に問題を出した。奏は、昨夜読んだ文献の中から、合致する情報を思い出し答えた。
「違う。」
次の瞬間、宰相が持っていた鞭が空を切って容赦なく奏の腕に叩きつけられた。
「ッッッ!」
「被害が出たのは辺境伯領の中心近くの村数か所です。そこが国境だったのは100年以上も前の事ですよ。私は昨日、今日は100年以内の情勢の授業をすると言いました。伝えたことくらい完璧にきにこなしなすことは最低限の努力ですよ。お前に時間をかけてあげるほど私は暇ではないんですよ?」
そう言いながら宰相は何度も奏に鞭を叩きつけた。痛みのあまり鞭から逃れようと奏が椅子から落ちて床の上で丸くなっても、その背中に執拗に鞭を打ち付けた。
(あぁ、失敗した。)
背中に激しい痛みを感じながら、奏は内心呟いた。
確かに昨日宰相は奏に今日の授業範囲を知らせていた。しかし、その内容は『100年以前の情勢についての授業』だったのだ。それに付け加えて『今から100年間の内容は含まない』と告げられていた。わざわざご丁寧にこんなことを付け加えてくるのだから、もう少し警戒すればよかったと奏は昨夜の自分を呪った。
最初は普通に次の授業範囲を知らされて問題を出されていた。勿論間違えれば今みたいに鞭が飛んでくる。
しかし次の授業範囲は宰相から直接知らされるのではない。それは今もう1つ用意された机の前に座り、口元に笑みを浮かべながら奏を見下ろしている宰相の息子であるジークフリートからである。
しかし、奏のチートとも呼べる記憶能力と言語理解能力のおかげで、ある程度は回避することはできるようになっていた。それが面白くないのか、ジークフリートは嘘の範囲を奏の教えるようになったのである。
今回のように間違えたり答えられなかったりすると、鞭付きで予習不足をネチネチと攻めてくる。
「父上、本当にこの女が魔王との戦いの切り札になるのでしょうか?」
「すでに他国の言葉を完璧に理解しているところを見ると潜在能力はあるはずです。」
「しかしこのような有様では・・・・・・。」
「言いたいことは分かります。告げられたことの最低限の事すらできない有様では話になりません。しかし、最悪頭が残念でも我々がうまく使えばよいのです。」
「成程! 我々がしっかりしていればよいのですね!」
痛みにうずくまる奏を気にかけるそぶりをかけらも見せず、それからしばらく親子の会話は続いた。
この会話は本人を目の前にしてどうかと思ったが、奏にはもう慣れたものだった。それに、奏が告げられたことの最低限の事しかしないというのは本当の事だった。
この授業が始まって1番最初から始めたのは、『最低限しか使えない人間を演じる』ことであった。特に知識面では、使えると判断されれば魔王討伐後に城に今以上に監禁されるかもしれない。
そのため、奏は告げられたことの2倍ほどの知識を城の図書室で取り込み、それを最低限しか表に出さないようにしているのだ。
「いつまでサボっているのですか。早く席に着きなさい。授業を続けますよ。」
ようやく親子の会話が終了したのか、宰相が床に蹲っていた奏を無理やり椅子に座らせた。
その後も、奏に数えきれないほどの鞭が入れられたのは言うまでもない。
余談だが、ここはマルティアノ王国というこの世界でもかなり大きい国らしい。驚くことに、暦や時間の感覚は日本と同じだった。
運動面では、平均よりいい方だった運動神経や洞察力が跳ね上がった感じだ。
最初は、何の基礎もせずにいきなり団長と何度も試合させられ、容赦なくぼこぼこに殴られていた。しかし今では、実力ではその団長をもしのぐほどになった。
しかし、嫌がらせが始まった。なまじ毎日体を鍛えている騎士団からの嫌がらせは質が悪かった。
彼らは要人や城を警護するのが主な仕事だが、時には魔獣や人間を相手にする。そのため、どこをどのくらい痛めつければ人が死ぬのかはいやというほど知っているのだ。裏を返せば、どこをどのくらい痛めつければ死なせないのかも知っているということだ。
奏が使っている模擬剣に細工して折れやすくしたり、骨折しているのに無理やり相手をさせたりしてきた。その筆頭は、もちろんキースだ。団長はいつも見て見ぬふりをしている。死ななければ何をしてもいいという雰囲気をビシバシ感じた。
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おかげで生傷が絶えることはない。
「お前は俺の息子なのに、なぜ剣を握ったことのない女1人に勝てない?」
たまたま、騎士団長室の前を通りかかった時、騎士団長の不満げな声が聞こえた。奏は聞いてはいけないと思いつつも、気になってしまい聞き耳を立てた。
―――☆―――
騎士団長室は言いようのない緊張感が漂っていた。
騎士団長は呆れた視線を隠しもせずに目の前にいる息子のジークを眺めていた。その視線を受けたジークは、居心地悪そうに視線を外すことしか出来なかった。
「しかし父上・・・・・・」
「言い訳は無用。いいか、お前には将来俺の後を継いでもらう。そんな人間が、今まで1度も剣を握ったことのない者に、ましてや女に歯が立たないなど言語道断だ。」
ジークは悔しさを紛らわすように両手を握りしめた。
ジークとて危機感を感じていないわけではない。最初は簡単に御せると信じて疑わなかった。しかし、奏の予想以上の成長ぶりに追いつけないでいるのだ。勿論、このままでいいなどとは思っていない。しかし今の時点で、自分が奏に実力で劣っているのは事実である。何も言い返せず黙って父親からの言葉を受け止めるしかないのだ。
騎士団長はそんなジークに1つ溜息をついて続けた。
「いいか、魔王討伐が終わった後もしあの女が生きていれば2つの道がある。」
騎士団長はジークに見えるように指を1本たてた。
「1つは内政に利用することだ。宰相が教育しているが、そこで使えると判断されれば生かさず殺さず使い続けることが出来る。」
そして、もう1本指をたてた。
「2つ目は、城にたどり着く前に殺すことだ。不意を突いて殺せればいいが、気づかれた場合真正面から殺り合わねばならない。返り討ちに合ったり逃げられでもして他国にでも行かれれば、今回のことが他国に露見してしまう。そうなったら目も当てられん。」
つまり、召喚は人道にも劣ることでそれを行ったと知れたら他国から蔑視の目で見られる。そうなってしまったら外交に支障が出てくるかもしれない。その上、用済みとなれば暗殺するなど言語道断。他国からこの国に付け入る隙を作るだけで何の理もない。周辺諸国が結託でもしたらいくら大国と言えど状況は厳しくなる。最悪、内乱が起こるかもしれないと言いたいのだ。
言いたいことは分かるな? と視線だけで尋ねられたジークの出せる答えは1つしかなかった。
―――☆―――
奏は呆れかえりながら扉から耳を離し、なるべく音を立てないように自室に戻った。
自室に戻った奏は、大きく息を吐きこれからどうするかと考えた。
宰相と言っていた“使う”とは方向性が違うが、騎士団長も魔王討伐が終わった後、奏をこき使う予定があるということが分かった。
(この2つは(魔王討伐が終わるまで)警戒は最低限でもいいかもしれない。)
勿論痛いのは嫌いだし死ぬのはもっと嫌だ。しかし、一生飼い殺しもごめん被る。だから今後の自分の動き方をよく考えなければならない。
知識面で使えると判断されれば内政で一生飼い殺しがほぼ確定してしまう。逆に、戦力面で使えないと判断されると、魔王討伐する前に殺されてまた次に誰かを召喚する可能性が高い。かといって戦闘力が高すぎると危険分子として魔王討伐後に消されるかもしれない。というかこの国の人間ならやりかねない。
(宰相の授業は現状維持で騎士団の方は力を付けた方がいいかな。危険分子に認定されても強ければ逃げられるかもしれないし。)
あと残るは魔法師団だが、それもおいおい分かってくると思うので今は保留だ。
今後の方針が決まったことで次に考えることは、ジーク含めた騎士団員から受けるであろう嫌がらせの対処法だ。
この国には、騎士道精神のようなものがないようである。
奏は深い深いため息を吐いたのだった。
――――――――――――――――――――
読んでくださりありがとうございます!☆*: .。. o(≧▽≦)o .。.:*☆
感想お待ちしています! いただいた感想には、基本的にすべて返事を書かせていただきます。また、『登場人物のこういったものが読みたい!』 『別の視点から見た話が読んでみたい!』 と言ったリクエストをいただけたら、番外編として書きたいと思っております。
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