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〜赤の炎〜
Again.0 先生とわたし 2
しおりを挟む【ひみつ】
誰にも言ったことないけど、わたしには物心ついた時からヒミツにしてることがある。
というか、当たり前のことだと思って言わないでいるうちに、いつのまにか他人に言えないヒミツになってたんだけど……
わたしには前世の記憶があるみたい。
佐藤ユキコという今の自分が生まれる前に生きていた時の記憶。その記憶は高校生までしか思い出せないんだけど、けっこう鮮明に覚えてるんだよね。
だから多分、わたしはその人――もう一人の自分のような違うような、複雑なんだけど〝自分だ〟と思えるから……その生まれ変わりなんだと思う。
その人――前世の私の名前はツキコ。感覚としては〝もう一人のわたし〟だけど、わたしは〝ツキコさん〟って心の中で呼んでいる。いちおう年上?だからね。
彼女がいつ、どこで、どんなふうに亡くなったのかは知らないし、知りたいとも思わない。たぶん同じ人格なんだけど、ビミョーに性格とか違うんじゃないかなぁと思ってる。
だって両親とか、生まれた時代とか、育ってきた環境が全然違うし。
前世の記憶を一部だけ残したまま、同じ人格で二度目の人生を生きてるってカンジ?
上手く言えないけど、その人は今のわたしじゃないけど、今でもわたしの一部なの。だけど、わたしはその人とは同じじゃない――共有してるけど同体ではないの。心が少しリンクしてるだけ、みたいな?
だから当時の感情もホンモノの記憶として、今もわたしの中に生きてるってわけ。
大切で、愛しくて、ただただ大好きだった、ユキヤっていう恋人を思う気持ち――
それがツキコだったわたしの中で、一番大きな感情だった。
(きっと〝未練〟ってやつだよね)
だから高校生の時の記憶が一番鮮明に思い出せるんだと思う。
生まれ変わっても、前の人生の記憶が残ってるっていうのは、それだけ相手のことを深く思ってたか、やり残した事があるとかで〝強い未練〟が生まれたってことじゃないかと思う……やっぱり若くして亡くなったとかなのかな?
(死んだ時のことは全然思い出せないから、答えは永遠に謎だろうけどね)
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