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〜赤の炎〜
Again.0 先生とわたし 1
しおりを挟む【新学期】
「改めまして、このクラスの担任になりました園田道哉です。5年生のみんなには、見慣れた顔だと思いますが――」
黒板に大きくフリガナ付きで名前を書き終えて、新しく担任になった先生が明るい笑顔で話しかけてくる。
だけどちょっと顔が引きつってるようにも見えるから、本当はキンチョーしてるのかも。初めて高学年の担任になったからかな?
でもさすがは社会人歴うん年目。この学校に来てからもけっこう長いし、立ち姿とか話し方は堂々としたものだよね。
(って、わたし……なんでこんなこと思ってるんだろう)
先生はこの学校に何年もいるし、そんなに大っきな学校じゃないから顔と名前は知ってたけど、担任になったのこれが初。
園田先生は、低学年の担任とか体育を担当してるイメージだったけど……こうして見ると意外とインドアっぽいっていうか。ザ・体育会系!な感じではない。
あ、でも笑顔は爽やか系だから、それっぽい?
なーんて。ほとんど話したことないから、先生のことまだ全然知らないんだよね。
(園田先生、下の名前はユキヤって言うのか……)
初めて知ったけど、なんだかミョーな親近感。っていうか懐かしい感じ……?
「???」
わたしは新しく買ったばかりのスケジュールノートをひらいて、シャーペンをくるくるさせながら先生の話を聞いていた。
1学期にやりたい係や委員会の候補とか放課後活動の予定を書きだそうとしてたけど、手を止めて考えこむ。
白紙のページを開いて、ゆっくり先生の名前をメモしてみる。
書いたばかりの字を指でなぞると……懐かしいだけじゃない、不思議な気持ち。
胸がじんわり温かくなって、かわいい小動物を見た時の感じに似てるような――
(あっ、そっか……)
園田先生はあの人に似ているんだ。
わたしが最近いつも夢に見る、ずっとずっと前から知ってるあの人――
あの人の名前も、先生と同じ〝ユキヤ〟だった――
そっか。だから親近感がわくのかー。こんな偶然ってあるんだなぁ……
顔はそんなに似てないけど、名前が同じってポイント高いよね。
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