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彼が目を失った理由を教えてほしい。
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地下に渦巻く悪しき熱量を感じながら、ナチャは、白夜狐を探していた。今までにない、とんでもない事が起きようとしている。この富士が、爆発してしまうとその影響は、ナチャの生まれ故郷にまで、影響する。遠く離れた地であっても、地の底は、深く繋がっていた。久しぶりに犀花に一目会いたいと思いながら、白夜狐に会うのが、先だと、何かが知らせていた。
「墓陵の下に、マグマ溜まりがあるのか?」
ナチャは、地面に手をかざす。あちこちの墓陵を回ってみたが、全てそうだった。白夜狐達、眷属が守っていた墓陵や社は、全て山にあり、どれも、炎の地脈が走っている。今、白夜狐がいるのは・・・。
「あそこだ」
木々の間から、遠く見える富士の頂を見上げた。太陽が、残雪に反射し、白く輝いている。
「こんな形で、白夜狐と会うなんて」
白夜狐は、犀花を助け支える者だとばかり思っていた。犀花の前世のシャルとは、すれ違い終わってしまった。犀花が前世から背負っていたしがらみを、一つずつ、紐解いていけるのは、白夜狐だと思っていた。だが・・。何が、あったのか?それとも、最初から、彼は、この時を待っていたのか?ナチャは、空を見上げた。
犀花は、総本山に来ていた。真冬に呼び出されたからだ。あまり、真冬に好印象はない。白夜狐と一緒にいると、いつも、不機嫌な様子になるのを見ていた。「過去に何かある」
そう思っていても、触れる事はしなかった。眷属としての自分の知らない顔があると思っていたが、太古に戻った時に、初めて、自分と白夜狐の関係を知ってしまった。
「長く・・・」
犀花は、ため息をついた。長く、生きてきたらしい。らしい?自分で、笑った。いつの時代も、大事な人を守りきれず、命を終えていた。
「今世でも?」
幾つもの時代を超えて、様々な思いを重ねて転生している。終わる事もなく。本当に、この転生を終わらせるとしたら、何が、必要なのか?そもそも最初は、何で、始まったのか?
「わかる?」
わかっている。遥か、遠い昔、シャルとして、生まれるずっと、前。自分が、お鏡様と呼ばれていた時代に、全て起きていた。
「どうして、白夜狐は、目を失ったの?」
総本山の社には、大きな鳥居がある。何百の階段を後ろに控え、本山と同じ位の高さと見間違える程の高さを支える柱は、大人が4人、手を繋いでも、繋ぎきれない太さだった。
「え?」
柱の影から、現れたのは、真冬だった。髪を硬く後ろに束ねた姿は、女性の美しさと言うより、男性の力強さを併せ持つ、中性的な、美しさを持っていた。
「白夜狐の目は、自分の目ではない。私達に偽っていたのね。もう、ずっと、昔から」
犀花が知らない訳がない。ただ、遠い日の為に、記憶が薄れていたのと、思い出したくない記憶として、封印されていた。自分が、お鏡様として、終わったのは、両目を失った白夜狐を見た後だった。
「彼が、目を失った理由を教えてほしい」
「墓陵の下に、マグマ溜まりがあるのか?」
ナチャは、地面に手をかざす。あちこちの墓陵を回ってみたが、全てそうだった。白夜狐達、眷属が守っていた墓陵や社は、全て山にあり、どれも、炎の地脈が走っている。今、白夜狐がいるのは・・・。
「あそこだ」
木々の間から、遠く見える富士の頂を見上げた。太陽が、残雪に反射し、白く輝いている。
「こんな形で、白夜狐と会うなんて」
白夜狐は、犀花を助け支える者だとばかり思っていた。犀花の前世のシャルとは、すれ違い終わってしまった。犀花が前世から背負っていたしがらみを、一つずつ、紐解いていけるのは、白夜狐だと思っていた。だが・・。何が、あったのか?それとも、最初から、彼は、この時を待っていたのか?ナチャは、空を見上げた。
犀花は、総本山に来ていた。真冬に呼び出されたからだ。あまり、真冬に好印象はない。白夜狐と一緒にいると、いつも、不機嫌な様子になるのを見ていた。「過去に何かある」
そう思っていても、触れる事はしなかった。眷属としての自分の知らない顔があると思っていたが、太古に戻った時に、初めて、自分と白夜狐の関係を知ってしまった。
「長く・・・」
犀花は、ため息をついた。長く、生きてきたらしい。らしい?自分で、笑った。いつの時代も、大事な人を守りきれず、命を終えていた。
「今世でも?」
幾つもの時代を超えて、様々な思いを重ねて転生している。終わる事もなく。本当に、この転生を終わらせるとしたら、何が、必要なのか?そもそも最初は、何で、始まったのか?
「わかる?」
わかっている。遥か、遠い昔、シャルとして、生まれるずっと、前。自分が、お鏡様と呼ばれていた時代に、全て起きていた。
「どうして、白夜狐は、目を失ったの?」
総本山の社には、大きな鳥居がある。何百の階段を後ろに控え、本山と同じ位の高さと見間違える程の高さを支える柱は、大人が4人、手を繋いでも、繋ぎきれない太さだった。
「え?」
柱の影から、現れたのは、真冬だった。髪を硬く後ろに束ねた姿は、女性の美しさと言うより、男性の力強さを併せ持つ、中性的な、美しさを持っていた。
「白夜狐の目は、自分の目ではない。私達に偽っていたのね。もう、ずっと、昔から」
犀花が知らない訳がない。ただ、遠い日の為に、記憶が薄れていたのと、思い出したくない記憶として、封印されていた。自分が、お鏡様として、終わったのは、両目を失った白夜狐を見た後だった。
「彼が、目を失った理由を教えてほしい」
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