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源野 進
口は災いのもと
しおりを挟む保育園時代には、有象無象の男の子に全く興味のなかった野々下灯枇だが、小学校入学後、ほどなくして好きな男子ができた。
源野進君は、クラスでいちばん頭が良かった。もちろん成績も性格も。彼にお熱だった雲母にしょっちゅう追いかけ回されていたが、困り笑顔で廊下を逃げていた。
とあるお昼休み、担任の先生が、源野君の窮状をみかねてか、
「先生も源野君が好きだけん、抱きついちゃお~」
と言いながら源野君にハグをした。すると我も我もと他の女子たちも先生に抱きついた。もちろん灯枇も最後尾に抱きついた。要するに、源野君はモテモテだったのだ。
それ以外には、灯枇が源野君の隣の席だった際の出来事として、クラスで学校行事のため、授業できらきらぼしを練習していた。
すると担任の先生が、きらきらぼしに何かアレンジを加えたいと言い出した。これには意外と皆乗り気で、あれこれとアレンジを考案しながら鍵盤ハーモニカを弾き出した。
「こんなのどうかな?」
「いいと思う…!」
源野君いわく、最近ピアノで習った曲をベースにアレンジしたとのことで、灯枇は巧みなメロディに一も二もなく賛成した。
クラスメイトからも大好評だったが、担任の先生からは、たしかにとても良いが、他の子が弾けない。という至極まっとうな理由で却下された。
このように、源野君は灯枇の保育園時代には、ちょっといないような、出木杉くんタイプのイケてる男子だったのだ。
まあそんな初恋も、雲母に話したのが運の尽きである。ある日源野君本人の前でばらされた。これが初回であるが、灯枇は、あと2回繰り返してようやく学習するのであった。――雲母と妃鞠には、好きな人を喋ってはいけないと。
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