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第1.4章3

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森から出たら、草原がひろがる。
その先に木造の家が多く見える、多分そこが街と言われる場所だろうと思う。
その先には家よりも大きな壁が数キロに渡り立っていた。
街には寄らず、そのまま草原を走り、道らしき場所に出た。
ミトが言うには、壁の先が崖になっており、そこから魔物が登って来て来るという。
その壁がハインツの孫が治める街であり、居城だと言っていた。

直ぐにでも赴きたい浜川は、ミトへ向かうように勧めるが、
幾つか問題があるという
1つは、ハインツ所有の家紋が入った馬車での入場は出来ない事
もう1つは、ハインツの生死は不明になっているとの事
孫は、ハインツと違い、普通の人間であるという事である。

浜川は不満であったが、少し離れた場所にある小高い丘に、馬車を止めた。
辺りを見渡せる、少し目立つのでは無いかと思える場所である。
「ドリアードの力で視認されないよにした」と彼女は言う。
それを聞いた浜川は馬車から降り、煙草に火を付け、街を眺める。
エリはこの場所が気に入ったと喜んでいる。
日はまだ高い位置にある、後数時間で日は沈むとミトは言う。
その前にと、ミトは地面に何か呪文のような言葉を言うと、可愛いベンチが2つと小さなテーブルが現れた。
ガーデン用のテーブルにはパラソルが付いていてパラソルを広げると、エリを呼びベンチに座るように勧めた。

「それでは、簡単な物になりますが、お食事のご用意をしますね。」

浜川とエリはベンチに座り、ミトが用意する食事を待った。

夕日の中での夕食は、エリにとってロマンチックなもの。
しかも、外でのこのような贅沢な食事に、待遇・・・夢のような2日間
今から魔物退治に行くとはとても思えない。


日が沈み、辺り一面は暗闇になる。
街の明かりが少し、ポツポツと見える。
大きな壁からも光が見え、ビルのように見える。
そこへ馬車はギリギリまで近づき、2人は降りた。
「後から、行きます」とミトは言うと馬車を走らせ何処かへ消えていった。
それを見届けた後、浜川は歩き出す。
真っすぐに、壁に向かい、辺りを見渡すと、何か所も、壁の上に上がる階段がある。
なんの迷う事もなく、真っすぐに浜川は歩く。
「ちょっ!」浜川の腕を掴むと、浜川は少し動けなくなったが、エリが手を離したら何も無かったように歩き出す、エリは後ろから壁の上を目指し歩きだした。

2人は黒いローブに身を包み堂々と真ん中の階段を上がる
ローブには視認されない何かが施されているのかと思うエリは、浜川の腕をそっと掴んだが、止まらず連れられて行く。

遠くに物見の棟が2つ、壁の真ん中から上に登ったので両方から見つかる可能性がある
が、しかし・・・全く気にもかけない様子で浜川は崖の下を覗く・・・
それにつられて、エリも下を見る・・・

「真っ暗・・・」

「嫌、そうでも無いで・・・何かおるわ・・・」

「え?」

と、同時に赤い目らしきものが光、目の前に赤い目をした羽の生えた何かが飛び出してきた。
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