推しがいるのはナイショです!

いずみ

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 思案して、ちらりと久遠を伺う。すると、久遠はいきなり私の肩を抱いて引き寄せた。
「華は俺のだからな。手をだすなよ」
 課長が、目を丸くした。

「ということは、この間からお前が会いに行っていた女性って」
「華だよ。兄貴こそ、やけに庶務の女の事褒めてたけど、あれ華のことだったんだな」
「そりゃ……水無瀬さんは、優秀な人材だ。お前に独り占めにさせるわけにはいかないよ」
「仕事ならいくらでも頼りにしろよ。でも、けじめはつけてもらわないとな」
 やけに挑発的な久遠の口調に首をひねる。

 なんていうか、もっと恥じらいとか照れくささとかないのかな、この男は。そんな風にまるで喧嘩うっているような強い言い方しなくてもいいのに。

 課長はなにやら考え込んでいたが、顔をあげるとにこりと笑った。
「そうか。水無瀬さん、これからもいろんなつきあいになりそうだね。よろしく頼むよ」
「はい、こちらこそよろしくお願いします」
「俺にはよろしくはないのかよ」
 私から押しはがされた久遠が、ふてくされた顔で言った。

「真面目に仕事する久遠が想像できなくて」
「俺の有能さに驚くなよ」
「驚かせてみなさいよ」
「久遠様侮ってごめんなさいって泣かせてやる」
「それは楽しみだこと」
「仲、いいんだね」
 私たちの様子を見ていた課長が静かに言った。

「そ、そんなことないです!」
 私はあわてて否定する。
 ん? けど、私たち付き合ってるんだから、ここは彼氏のお兄さんに向かってよろしくと言うところ? でも、ここは会社だし公私混同はよくないわね。
「そうか。そんなことないんだね」
 課長は、それを聞くとにこりと笑った。

「久遠が嫌になったら、いつでも相談してくれ」
「はあ」
「むしろ、その日がくるのを楽しみにしているよ」
「兄貴」
 油断ならねえ、久遠はぶつぶつ何かつぶやいている。

 とにかく。春から久遠と一緒に、尊敬する課長と働けるんだ! それは、純粋に嬉しい。
 少しばかりの不安には目をつぶって、私はもう一度、よろしくお願いしますと二人に頭をさげた。
 


 
Fin
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感想 1

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みんなの感想(1件)

ニビ
2024.11.27 ニビ

つ、続きは…!?もっと読みたい作品です!

2024.11.28 いずみ

わあ!ありがとうございます!
この先は新しい職場でご兄弟のらぶらぶバトルが始まったり始まりなかったり。
いつか書けたらいいと思うので、掲載したらぜひ読みにきてくださいね!

解除

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