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それでも……好きです

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 先生に頷かれて曲を流す。
 今回は先にポーンと小さな音が鳴ってからすぐにジャンッ!!と勢い良く音楽が始まった。
 前に見たリボンとは違って最初から軽やかに飛んで跳ねる先輩。
 足の動きを見ているだけでなぜ絡まらないのか不思議なくらいなのに、更に手ではクルクルとクラブが回されている。
 一緒の動きをしたり左右違ったり、空中に投げたり、先輩自身がどうやっているのかわからないくらいクルクルと回転したり。
 目が回りそうなくらいのスピード感。
 だが、先輩は笑顔でとにかく楽しそうだった。

「いい表情かおしてるわ」

 先生の呟きもかなり安堵が滲んでいる。
 技が決まる度に大きな拍手が鳴って、あっという間に終盤。
 先輩はポーンと高く一つクラブを投げながら跳んで回転して、まさかのそのまま膝裏でキャッチした。
 歓声も拍手も凄い。
 その中で先輩は膝を伸ばした状態から手も付かず前回りをしてアシカのように真っ直ぐ足を後ろに伸ばして上半身を反らした。
 人間ってそんなに曲がるのか?と心配になるほど反対向きのコの字。
 両腕も伸びて持ったクラブも踵と平行に伸ばされた。
 こっちの筋が引き攣る気がする。
 そのポーズが音楽ともピタリと合って割れんばかりの拍手が送られた。
 立ち上がって笑顔で頭を下げる先輩。
 俺も立って拍手をしていると、こっちを見た先輩が笑顔で小さく手を振ってくれた。
 あんなに衣装が気になって直視なんてできなかったのに……その柔らかい笑顔をただ見つめた。
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