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第1弾 黄色いリボン
MonumentValley(モニュメント・バレー)
しおりを挟む夕暮れのモニュメント・バレー。
トボトボと歩くジョー、メラリー、太田。
「――あっ、俺、乗馬クラブに入会手続きしてないですよ」
太田が思い出したように声を上げた。
「いーよ。どうでも」
ジョーが邪険に言い捨てる。
「あ~あ、やっぱり乗馬はゴードンさんに習おっかな~――あ――?」
メラリーがブツクサと言い掛けて、急に立ち止まった。
前方にはダンが佇んでいた。
「……」
ダンは夕陽が沈みかけ黒く浮かび上がるビュート(岩山)を見上げている。
「――ダンさん」
ジョーが声を掛ける。
「あ、ああ――」
ダンは我に返ったように3人を見やった。
「……」
映画の神様ジョン・フォード監督が多くの西部劇を撮ったジョン・フォード・ポイントを模した景色を眺める4人。
ダンがポソリと口を開いた。
「――わたし等の世代が子供の頃は西部劇の全盛期でした。毎日毎日、空き地で友達と西部劇ごっこに明け暮れたものです」
「はい」
太田は羨ましさに溢れた目をした。
「保安官や騎兵隊に憧れて、けど、当然、遠い時代の別の世界のことだと思ってましたよ。――それが――」
ダンは言葉を切って可笑しげに口を歪めた。
「このウェスタン・タウンが出来たんです。自分の仕事場の乗馬クラブの隣にモニュメント・バレーが。信じられますか?」
ダンが3人を見返った。
「まあ、非現実の世界っすよね」
人工のビュート(岩山)を見つめるジョー。
「――ずっと夢を見ていたような気分ですよ」
そう言いながら本当にぼんやりと遠い目をするダン。
「……」
「……」
「……」
若い3人もダンに共鳴したようにぼんやりとした。
「――楽しい夢だった」
ダンが目を細める。
「明後日からは、――いや、明日の夕方からは現実です。乗馬クラブのバイトの親父です」
ダンはそう自分に言い聞かせるように言った。
その夜。
キャスト宿舎のジョーの部屋。
「~~♪」
ジョーが『黄色いリボン』の歌を口ずさみながらティッシュで照る照る坊主を作って、窓枠に吊るしていると、
「ジョーさ~ん」
メラリーが青いパジャマ姿で部屋へ入ってきた。
「――あっ?」
メラリーはジョーが吊るしている照る照る坊主に目を留めた。
「なんだよ?ガキくせーとか思ってんだろ?」
ジョーは不覚を取ったような顔をして照れる。
「そんなこと思ってないっすよ」
メラリーはニンマリと笑って、
「タラララッタラ~~♪照る照る坊主~~ぅ」
ドラえもんがひみつ道具を出す時の口真似をしつつ、パジャマのポケットから照る照る坊主を取り出した。
「気が合うじゃん」
ジョーもニヤリとした。
2つ並べて照る照る坊主を吊るす。
「明日、晴れるといいっすね」
「ん――」
ジョーとメラリーは窓辺の照る照る坊主の真下に並んで夜空を見上げた。
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