PictureScroll 昼下がりのガンマン

薔薇美

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第1弾 黄色いリボン

Easy Come, Easy Go.②(簡単に来て、簡単に去る)

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「――あ、クララ。雨キャン~?」

 休憩を終えたタウンの女のコ達がキャスト食堂から出てきた。

「そぉ。もう、やんなっちゃう」

 クララはプウッと風船を吹くように頬を膨らませる。

「シアターとシューティング・ギャラリーとストアは雨のおかげで混み混みよぉ」

「もぉ忙しくって~」

「じゃね~」

 女のコ達は急ぎ足でタウンへ戻っていく。

「……」

 クララは一人ポツネンと取り残された。

(ミーナに電話しようかな~)

 ケータイをポチっとしたが、

(――あ、家族で旅行中だっけ)

 と気付いて遠慮する。

「……」

 手持ち無沙汰に桜色の指の爪を眺める。

 フードサービスのキャストはネイルカラー禁止なのだ。

 替わりにクララはネイルポリッシュでピカピカに磨いていた。

(――爪磨きでもするかな~)

 などと猫のようなことを思っていた矢先、

「退屈そうじゃん?」

 ジョーが近づいてきて、クララの向かいの椅子に座った。


(――ジョ、ジョーさんっっ?)

 だしぬけに目の前に現れたジョーを見て、クララの心臓はドッキーンと躍り上がった。

「そっちも雨キャンだろ~?遊びに来ねえ?俺んとこ」

 そう言いながらジョーがクララの顔を覗き込んでニッコリした。

「――え?」

 クララの心臓が再びドキドキと小躍りする。

「――(ニマニマ)」

 ジョーの通常のスケコマシ笑い。

 だが、クララの目には屈託のない子供のような笑顔に映った。

 実際、ジョーは何の屈託もなく、年齢のわりに童顔ではあるのだが。

(――ジョーさんの部屋に――?)

 まさに急展開。

 降って湧いたような不意の誘いに戸惑いつつも、クララの頬はポォッと染まって瞳はキラキラと輝いた。


 そのジョーとクララの様子をロビーのソファーからトム、フレディ、メラリーが見ていた。

「あ~あ、クララちゃん、行っちゃうのかな~?」

「雨キャンまで有効活用するよな。ジョーさん」

 トムとフレディはチェッと舌打ちした。

「――なんか、腹立つ」

 バリッ。

 メラリーは憎々しげに焼きたてのアップルパイにフォークを突き刺した。


 それから、小1時間が経過。

 キャスト宿舎。

「~~♪」
   
 タウンのマーケットへ買い物に寄ったメラリーが買い物袋を提げて帰ってきた。

 3階まで階段を上がると、

 ガチャン!

 ジョーの部屋の扉が大きな音を立てた。

「最っっ低ーーーっっ!」
   
 廊下に飛び出してきたクララが室内に向かって大声で言い捨てる。

「――っ」

 メラリーとクララは階段の前で鉢合わせになった。

「わっ、クララさん。どしたんすか?」

 クララの激しい剣幕にメラリーは驚いて訊ねた。

「ジョーさんって、いっつも、ああなのっ?」
   
 クララは顔を真っ赤にして怒り口調だ。

「――え?」

「玄関に入って5秒でベッドに押し倒されたのよっ。靴を脱ぐのと、ほぼ同時よっ。信じらんないっっ」

 興奮気味に叫んでクララは階段を駆け下りていく。

 ダダダーーッ。

「……」

 メラリーは唖然としてクララの後ろ姿を見送った。  
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