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煌めく未来へ
#12
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そんな私のことを、これまた以前のように、面白おかしく茶化しつつも、いつぞやのように、綺麗にアイロンがなされたハンカチを手にした夏目さんは、涙がおさまるまでの間、そっと優しく涙を拭ってくれていた。
そうして、私の涙が落ち着いたころ、
「さぁて、そろそろ行きますかぁ。新郎の要が、可愛い花嫁が来るのを今か今かと首を長~くして待ってるだろうから。ね?」
「はい」
「さぁ、どうぞ」
まるで、どこかの執事のように、一礼した夏目さんは、私の隣に並んで、自分の左ひじを少し曲げて待ってくれている。
「よ、よろしくお願いしますっ」
「こちらこそ。こんなに綺麗な花嫁のエスコートができるなんて光栄です」
「////……ど、どうも」
「こーら、リップサービスにいちいち照れてないで、さっさと行くぞ?」
「はっ、はいっ」
いよいよと思うと、緊張感に襲われてガッチガチになってしまった私のことを、相変わらず夏目さんに、茶化されたりなんかしているうちに、リラックスできた私は、優しい夏目さんのエスコートで、挙式が執り行われるホールへと向かったのだった。
たどり着いてホールの重厚な両開きの扉の前。
リハーサル通りできるか不安だったものの、夏目さんのエスコートのお陰で、なんとかなりそうだとホッとしたのも束の間。
ワーグナーの結婚式の定番曲である『婚礼の合唱』に合わせて、扉が開かれ、祭壇の傍で佇んでいる要さんの姿が見えてきて。
昼間の時間帯でもっとも格式が高いとされている、なんとも上品なグレーの滑らかな光沢感のあるモーニングコートに身を包んでいる要さんの姿は、本当の王子様みたいで。
キラキラと煌めく特殊なエフェクト全開で、もうクラクラしてしまいそうなほど素敵すぎる。
思わず見惚れてしまってた私は、
「こら、王子様仕様の要に見惚れてないで行くぞ?」
夏目さんに潜めた声で、ツッコまれハッとし、正気を取り戻すことができて。
私は、リハーサル通りに、夏目さんにエスコートされつつ、要さんの待つ祭壇へと向けて、バージンロードへと右足を一歩踏み出した。
バージンロードは花嫁にとっては、『過去』を意味しているらしく、その第一歩は、花嫁がこの世に生を受けた『誕生日』を意味するらしい。
そして、新郎の元へたどり着いた時が『現在』。新郎が花嫁と一緒に退場する時には、『未来』ということになるらしい。
バージンロードを一歩一歩、踏みしめながら、ゆっくりゆっくり歩いてゆく私の脳裏には……
天国に居る家族と一緒に過ごしたかけがえのない日々のこと、学生時代のこと、『YAMATO』に就職した時のこと、
愛する旦那様である要さんに出逢えた時のこと、本当のお兄ちゃんのような夏目さんに出逢えたことなどなど……。
……まるで走馬灯のように、次々に浮かんでくる。
そんな思い出深い、これまでの日々を振り返りながら、要さんの元へたどり着いた私は、今度は夏目さんからバトンタッチされた、王子様仕様の要さんのエスコートによって、永遠の愛を誓いあうために、祭壇へと向かい合った。
きっと、これからも、今までと同じように色んな事が待っているんだろうと思う。
でもきっと、これから、私と要さんとが一緒に手を取り合って歩んでゆく『未来』は、どんなに綺麗な宝石よりも煌めいているに違いない。
だって、私の天国に居る家族や、美優さん、そして夏目さん、これまで出逢ってきた沢山の大切な人たちが、私たちのことをずっとずっと見守っていてくれているだろうから。
♪゜・*:.。. .。.:*・♪
そうして、私の涙が落ち着いたころ、
「さぁて、そろそろ行きますかぁ。新郎の要が、可愛い花嫁が来るのを今か今かと首を長~くして待ってるだろうから。ね?」
「はい」
「さぁ、どうぞ」
まるで、どこかの執事のように、一礼した夏目さんは、私の隣に並んで、自分の左ひじを少し曲げて待ってくれている。
「よ、よろしくお願いしますっ」
「こちらこそ。こんなに綺麗な花嫁のエスコートができるなんて光栄です」
「////……ど、どうも」
「こーら、リップサービスにいちいち照れてないで、さっさと行くぞ?」
「はっ、はいっ」
いよいよと思うと、緊張感に襲われてガッチガチになってしまった私のことを、相変わらず夏目さんに、茶化されたりなんかしているうちに、リラックスできた私は、優しい夏目さんのエスコートで、挙式が執り行われるホールへと向かったのだった。
たどり着いてホールの重厚な両開きの扉の前。
リハーサル通りできるか不安だったものの、夏目さんのエスコートのお陰で、なんとかなりそうだとホッとしたのも束の間。
ワーグナーの結婚式の定番曲である『婚礼の合唱』に合わせて、扉が開かれ、祭壇の傍で佇んでいる要さんの姿が見えてきて。
昼間の時間帯でもっとも格式が高いとされている、なんとも上品なグレーの滑らかな光沢感のあるモーニングコートに身を包んでいる要さんの姿は、本当の王子様みたいで。
キラキラと煌めく特殊なエフェクト全開で、もうクラクラしてしまいそうなほど素敵すぎる。
思わず見惚れてしまってた私は、
「こら、王子様仕様の要に見惚れてないで行くぞ?」
夏目さんに潜めた声で、ツッコまれハッとし、正気を取り戻すことができて。
私は、リハーサル通りに、夏目さんにエスコートされつつ、要さんの待つ祭壇へと向けて、バージンロードへと右足を一歩踏み出した。
バージンロードは花嫁にとっては、『過去』を意味しているらしく、その第一歩は、花嫁がこの世に生を受けた『誕生日』を意味するらしい。
そして、新郎の元へたどり着いた時が『現在』。新郎が花嫁と一緒に退場する時には、『未来』ということになるらしい。
バージンロードを一歩一歩、踏みしめながら、ゆっくりゆっくり歩いてゆく私の脳裏には……
天国に居る家族と一緒に過ごしたかけがえのない日々のこと、学生時代のこと、『YAMATO』に就職した時のこと、
愛する旦那様である要さんに出逢えた時のこと、本当のお兄ちゃんのような夏目さんに出逢えたことなどなど……。
……まるで走馬灯のように、次々に浮かんでくる。
そんな思い出深い、これまでの日々を振り返りながら、要さんの元へたどり着いた私は、今度は夏目さんからバトンタッチされた、王子様仕様の要さんのエスコートによって、永遠の愛を誓いあうために、祭壇へと向かい合った。
きっと、これからも、今までと同じように色んな事が待っているんだろうと思う。
でもきっと、これから、私と要さんとが一緒に手を取り合って歩んでゆく『未来』は、どんなに綺麗な宝石よりも煌めいているに違いない。
だって、私の天国に居る家族や、美優さん、そして夏目さん、これまで出逢ってきた沢山の大切な人たちが、私たちのことをずっとずっと見守っていてくれているだろうから。
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