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揺らめく心と核心~side要~

#6

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翌日、寝不足だった俺は、まるで今の俺の心の中を映し出したような、朝からどんよりと暗い曇に覆われた窓外に広がる空の景色に視線を彷徨わせつつ、いつものようにコーヒーの入ったカップを傾けていた。

そこへ、これまたいつものようにスケジュールの確認に現れた夏目は、

「あれあれ? どうしちゃったのかなぁ? 要くん。そんなに眠そうな顔しちゃって。もしかして、可愛い婚約者がおめでたで、いままであんなに毎晩のように可愛がっていたのに、それができなくなっちゃって、寝不足なのかなぁ? まぁ、あれだけ可愛がってたら、子供もデキちゃうよなぁ? 数か月前までEDで悩んでた人物と一緒だとは思えないよなぁ? まぁ、良かった良かった」

開口一番こう言い放ってきやがったのだ。

――人の気も知らないで、いい気なもんだ。まったく。

俺はジト目で夏目のことを一瞥してから、一瞬無視でも決め込んでやろうかとも思ったのだが……。

こういうところから正していかないとな、俺も人の親になるんだし。

それに、美菜のことで色々奔走してたことを知ってるこいつが、美菜に何か言われたとしても、例え気持ちを伝えられたとしても。

絶対かどうか分からないが、たぶん、きっと、美菜に応えるようなことはしないだろう……と思いたい。

でも、俺のことで、美菜が泣くようなことがあれば、絶対黙っていないよな?

それに、結局、今回の一連の厄介ごとは、全部俺に関係してたんだもんな。

前に、実家に帰ると言った夏目に、俺が理由を問えば、

『俺、美菜ちゃんのこと好きになっちゃったみたいだわ。もうこれ以上傍にいたら、ヤバいことになっちゃいそうだから……て、俺が言ったらどうする? 

ハハッ、冗談だよ冗談。でも、美優と一緒で天涯孤独のあの子泣かしたら、要でも許さないからな。そのつもりで、幸せにしてあげてほしい』

そういってた夏目。

いつものように冗談めかしては言っていたが、あれは、絶対に本心だったに違いない。

だから俺は、あの時、『約束する』って答えたし、これからもそうするつもりだ。

昨日は、あまりのショックに、その後どうなったかなんて確かめるような度胸も余裕もなかったが、どうだったんだろうか?

昨夜から、一睡もできなかった俺の頭の中を支配していたあれこれが、とぐろを巻くように渦巻いて、もうグチャグチャで、おかしくなってしまいそうだ。

そんな俺は、寝不足だったこともあり、

「……昨日病室で、美菜が『副社長より、夏目さんなら良かったのに』って言った時、お前はなんて答えたんだ?」

いつもなら、怖くて聞けないことをドストレートに口にしてしまっていた。
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