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揺らめく心と核心~side要~

#5

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それからのことは、よくは覚えていない。

ただただ必死に、別れを切り出そうとする美菜に、なんとか思い直してもらおうと、そればかりだった。



皮肉なことに、そんな状況で、美菜が俺の子供を身籠っていることが分かり、俺はなんとか美菜のことを失わずに済んだのだった。

数か月前まで、EDだったっていうのに、それに避妊だってちゃんとしていたし、まぁ、何度か美菜に了承の上でしなかったこともあったが、まさかこんなに早くに子供を授かるなんて思いもしなかったから、正直驚いたし。

まだ二十三歳の誕生日も迎えていない若い美菜のことを思うと、もっとしかっり避妊しておけば良かったと、反省するところもあったが、正直、早くほしいとも思っていたから、メチャクチャ嬉しかった。

ただ、俺の過去せいで、色々嫌な目に遭わせてしまったことで、美菜の気持ちが俺から離れてしまったと分かった今となっては、そのことを聞かされたときは、なんとも複雑な心境だったのも事実だ。

でも、超音波検査の時に、モニターに映る我が子の姿を初めて目にしたときには、感激して、胸にグッときてしまった俺は、思わず涙を零しそうになった。

まさか、それをネタに、小石川に脅されることになるとは思いもしなかったが……。

――まぁ、いい。

こうして美菜と一緒にいられるんだったら、例え、俺から気持ちが離れてしまっても、時間をかけてゆっくり、美菜にまた好きになってもらえるように頑張ればいいだけのことだ。

もともと、契約なんていう卑怯なやり方で美菜のことを繋ぎとめてしまってた俺が悪かったんだから仕方がない。

自業自得ってやつだ。

この日は、ただでさえ朝から色々あったし、病院から帰る段になっても、隼がいきなり現れたりと色々あったが……。

優しい美菜の気遣いのお陰で、俺が隼をクビにすることも、兄弟の縁を切ることもなく、ある条件を出すにとどめることとなった。

そんなこんながあって、俺と美菜の関係は、表面上は、これまで通りとなんら変わりのないものにすることができたように思う。

美菜も、夜になって、二人きりになると、いつものように俺に甘えてきて、キスのおねだりまでしてきたりして。

なんとか、授かった子供のために、俺との関係を修復しようとしてくれているようだった。

それで、気をよくしてしまった俺は、なんとか美菜のことを引き止めておきたくて、入籍や結婚の日取りまでを速めてしまったというのに、美菜はあっさり了承してくれ、俺は心底ホッと胸を撫でおろしていたのだが……。

まさかそれが、すべて俺の早合点だと知ることになるのは、翌日のことで。

まさか、そうとも知らなかった俺は、この夜、隣でぐっすりと寝入ってしまった美菜を胸に抱き寄せたまま、眠れない長い長い夜を過ごすこととなったのだった。

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