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24.可愛いひと
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「それでね? その時のお兄様ったら、全然私のお話聞いてらっしゃらなかったのよ」
「ふふ、あの人たまにトンチンカンな返事をするものね」
「そう! あんな真剣な顔で真面目に聞いているように見えるのに!」
カフェのテラス席でクリームたっぷりのラテを飲みながら、ミランダと笑って話をする。
口調は怒っているけれど、彼女はずっと笑顔だ。
昔はもっと頻繁に互いの家の行き来があったようで、ミランダは私の知らないエドガーのことをよく知っている。
幼い頃のエドガーの話を沢山聞けるのは嬉しかった。
彼女がライケンス家の屋敷に滞在してから一週間が経つ。
初めのうちはエドガーと親し気なことにモヤモヤしたり、私への距離感の詰め方に戸惑ったりもしたけれど、今はもうそんなこともない。
ミランダには裏なんてなくて、いつだって屈託なく笑い、エドガーとの過去を自慢するでもなくただの笑い話として話してくれる。
人懐っこくて偉ぶらないから、屋敷中の使用人たちからも慕われている。
「あ! そろそろ時間ですシェリル様。劇場に向かいましょうか」
「あら本当ね。楽しくって時間を忘れていたわ」
「嬉しい。私もシェリル様とお話しするの大好き」
席を立ちながら微笑みを交わし合う。
お互いの口調もすっかり砕けて、最初のぎこちなさはすっかり消えていた。
「オペラは久しぶりだから、なんだか緊張してしまうわ」
「お兄様とは観劇なさらないの? あ、でもお二人並んで観覧席にいらっしゃったら、舞台より目を引いてしまいそう」
くすくす笑いながらミランダに言われて、思わず苦笑してしまう。
エドガーのことを慕っているのは確かなようなのに、牽制される様子はない。
それどころか、彼よりも私に構ってもらいたがるのが不思議だった。
この一週間、彼女はエドガーと顔を合わせれば挨拶はするし、談笑もしていた。けれどそれ以上一緒に居たがる様子もないし、すぐに私との話に戻ってくるのだ。
常ならば、懇意にしている男性が私に話しかけるだけで女性に睨まれるというのに。
初対面から一貫してこんなに好意的な女性は非常に珍しく、また素直な良い子なので悪い気はしない。
それどころか、彼女との散策は行く先々で新しい発見があって、ミランダの物の見方やそれについての語り口が自分にはないものばかりで、私の目に彼女はとても魅力的に映った。
エドガーは忙しいという言葉の通り、ミランダ一家が来てからはほとんど顔も合わせていない。
私ばかりが遊び呆けているようで申し訳ない気持ちもあったけれど、「たまにはライケンス家の嫁という立場を忘れて、思い切り羽を伸ばしておいで」というので甘えることにしている。
ミランダは沢山行きたいところがあると言っていた通り、色々なことを知っていた。
一人で行くほどの興味もないし誘ってくれる友人もいない私にとっては、初体験の場所ばかりだった。
彼女と過ごす日々は楽しく、ミランダ自身も良い子で、仲良くなるのはあっという間だった。
多少距離は近すぎる気はしたが、エドガーにも義父母にもそんな感じだったし、スキンシップが好きなのだろうとあまり気にもならなかった。
「明日はどこへ行きましょうか。シェリル様は何がお好き?」
劇場からの帰り道、弾むような足取りでミランダが問う。
「そうねぇ……最近は少し、ドレスを見るのが好きかも」
「ええ!? そんなにお美しくて少しの興味しかないんですか!?」
もったいない! と嘆くように言われて曖昧に笑う。
昔は大好きだった。
綺麗なドレスも宝飾品も。
見るだけで心が躍ったし、それらを身に付ける自分を夢想したりもした。
だけど社交界に出て以来、何を着ても嫌味や悪口を向けられるようになって、楽しくなくなってしまったのだ。
結婚してからもずっとエドガーや仕立屋の見立てに諾々と従い、自分の好みなんてすっかり忘れてしまっていた。
「目立つのが怖かったのよ」
「ああ、そういうことでしたか……」
苦笑しながら言うと、ミランダが同情と理解を示して暗い顔になる。
彼女も際立った容姿をしているから、少なからず同じ目に遭ったことがあるのだろう。
「んんん、でも、やっぱり勿体ないです! そんな人達に負けちゃダメです!」
「ええ、本当に。最近ようやくそのことに気付けたの」
着飾れば着飾るほど敵を増やす。
ずっとそう思っていたから、服を選ぶのが楽しくなかった。
けれどクレーベルク公爵夫人の一件から、表立って私の悪口を言う人が減った。
おもねって機嫌を取るフリでその実嫌味たっぷりに鬱陶しく絡んでくる人が、エドガーの一瞥で退散していくのだ。
あからさまな敵意を向ける人が遠ざかると、面白いことに今度は後ろ暗いことのない善人が気を遣って話しかけてくれるようになった。
彼女たちは本心から私のことを褒めてくれて、それからあなたにはあそこのお店のあのドレスが絶対に似合うと思うの、とオススメの店を教えてくれた。
新手の嫌がらせかもしれないという疑惑を抱きつつも、アンバーとそれらの店を回ると、確かに私の容姿やスタイルにぴったり合うものばかりだということが分かった。
すっかり人間不信になっていたせいで、失礼なことを考えてしまったと深く反省してその日は眠れなかった。
彼女たちは本心から善意で接してくれていて、私は嫌味な人間に傷付けられるものかと頑なになっているうちに、そういう人達さえも遠ざけてしまっていたのだろう。
そのことにようやく気付いたのだ。
そうやって善意に触れるうちに、私は身を飾ることへの興味を取り戻していた。
なにより、私が選んだものをエドガーが手放しで褒めてくれるのが単純に嬉しかった。
今までどんな男性に褒められてもちっとも嬉しくなかったのに、それどころかちょっと気持ち悪いとさえ思ってしまっていたのに、好きというその感情のみでこうも感じ方が変わるのかと驚いてしまう。
「それなら良かったです。では明日は服飾店巡りをいたしましょう」
ぱちんと両手を合わせてミランダが嬉しそうに言う。
「楽しそうね。私、ミランダのドレスを選んでみたいわ」
「素敵! でしたら私はシェリル様のドレスを選びます!」
生き生きとした顔で、興奮気味にミランダが言う。
「そのドレスを着て、私たちだけの小さなパーティーを開きましょうよ。ねえアンバー、出来るかしら?」
唐突にミランダに会話を振られて、大人しく付き従ってくれていたアンバーが露骨に嫌そうな顔をした。
面倒臭いというのがありありと表情に出ていて、思わず笑ってしまう。
「……ミランダ様がお手伝いなさってくださるのでしたら」
「もちろんよ! 私がお料理できること、知っているでしょう?」
「いいえミランダ様が得意なのは調理場を散らかすことです」
「あら、片付けが苦手なだけよ」
キツく聞こえるアンバーの物言いに、ミランダが慣れた様子で平然と返す。
アンバーはライケンス家に長く仕えているので、ミランダとも付き合いは長いらしい。
二人の遠慮ない物言いに最初は衝撃を受けたものだけど、お互いへの信頼と好意を感じられることに気付いてからは、二人の関係が少し羨ましくなった。
ミランダと仲良くなれて嬉しいけれど、彼女にとっては普通のこと。
彼女にとって私は、数多居る友人の中の一人でしかないだろう。
彼女は常に友好的で、とても可愛らしくて誰からも愛されている。
エドガーも、間違いなくミランダのことを大好きだ。
ようやく同性の友人が一人できたばかりの私と、メイドからさえも慕われるミランダと。
一体どっちが上かなんて、比べるまでもない。
彼女との距離が縮まれば縮まるほど、その差の大きさに気付いて悲しくなってくる。
彼女が嫌な子だったらよかったのに。
ミランダは他意なく親切に接してくれるのに、そんな風に考えてしまう自分が嫌だった。
「ふふ、あの人たまにトンチンカンな返事をするものね」
「そう! あんな真剣な顔で真面目に聞いているように見えるのに!」
カフェのテラス席でクリームたっぷりのラテを飲みながら、ミランダと笑って話をする。
口調は怒っているけれど、彼女はずっと笑顔だ。
昔はもっと頻繁に互いの家の行き来があったようで、ミランダは私の知らないエドガーのことをよく知っている。
幼い頃のエドガーの話を沢山聞けるのは嬉しかった。
彼女がライケンス家の屋敷に滞在してから一週間が経つ。
初めのうちはエドガーと親し気なことにモヤモヤしたり、私への距離感の詰め方に戸惑ったりもしたけれど、今はもうそんなこともない。
ミランダには裏なんてなくて、いつだって屈託なく笑い、エドガーとの過去を自慢するでもなくただの笑い話として話してくれる。
人懐っこくて偉ぶらないから、屋敷中の使用人たちからも慕われている。
「あ! そろそろ時間ですシェリル様。劇場に向かいましょうか」
「あら本当ね。楽しくって時間を忘れていたわ」
「嬉しい。私もシェリル様とお話しするの大好き」
席を立ちながら微笑みを交わし合う。
お互いの口調もすっかり砕けて、最初のぎこちなさはすっかり消えていた。
「オペラは久しぶりだから、なんだか緊張してしまうわ」
「お兄様とは観劇なさらないの? あ、でもお二人並んで観覧席にいらっしゃったら、舞台より目を引いてしまいそう」
くすくす笑いながらミランダに言われて、思わず苦笑してしまう。
エドガーのことを慕っているのは確かなようなのに、牽制される様子はない。
それどころか、彼よりも私に構ってもらいたがるのが不思議だった。
この一週間、彼女はエドガーと顔を合わせれば挨拶はするし、談笑もしていた。けれどそれ以上一緒に居たがる様子もないし、すぐに私との話に戻ってくるのだ。
常ならば、懇意にしている男性が私に話しかけるだけで女性に睨まれるというのに。
初対面から一貫してこんなに好意的な女性は非常に珍しく、また素直な良い子なので悪い気はしない。
それどころか、彼女との散策は行く先々で新しい発見があって、ミランダの物の見方やそれについての語り口が自分にはないものばかりで、私の目に彼女はとても魅力的に映った。
エドガーは忙しいという言葉の通り、ミランダ一家が来てからはほとんど顔も合わせていない。
私ばかりが遊び呆けているようで申し訳ない気持ちもあったけれど、「たまにはライケンス家の嫁という立場を忘れて、思い切り羽を伸ばしておいで」というので甘えることにしている。
ミランダは沢山行きたいところがあると言っていた通り、色々なことを知っていた。
一人で行くほどの興味もないし誘ってくれる友人もいない私にとっては、初体験の場所ばかりだった。
彼女と過ごす日々は楽しく、ミランダ自身も良い子で、仲良くなるのはあっという間だった。
多少距離は近すぎる気はしたが、エドガーにも義父母にもそんな感じだったし、スキンシップが好きなのだろうとあまり気にもならなかった。
「明日はどこへ行きましょうか。シェリル様は何がお好き?」
劇場からの帰り道、弾むような足取りでミランダが問う。
「そうねぇ……最近は少し、ドレスを見るのが好きかも」
「ええ!? そんなにお美しくて少しの興味しかないんですか!?」
もったいない! と嘆くように言われて曖昧に笑う。
昔は大好きだった。
綺麗なドレスも宝飾品も。
見るだけで心が躍ったし、それらを身に付ける自分を夢想したりもした。
だけど社交界に出て以来、何を着ても嫌味や悪口を向けられるようになって、楽しくなくなってしまったのだ。
結婚してからもずっとエドガーや仕立屋の見立てに諾々と従い、自分の好みなんてすっかり忘れてしまっていた。
「目立つのが怖かったのよ」
「ああ、そういうことでしたか……」
苦笑しながら言うと、ミランダが同情と理解を示して暗い顔になる。
彼女も際立った容姿をしているから、少なからず同じ目に遭ったことがあるのだろう。
「んんん、でも、やっぱり勿体ないです! そんな人達に負けちゃダメです!」
「ええ、本当に。最近ようやくそのことに気付けたの」
着飾れば着飾るほど敵を増やす。
ずっとそう思っていたから、服を選ぶのが楽しくなかった。
けれどクレーベルク公爵夫人の一件から、表立って私の悪口を言う人が減った。
おもねって機嫌を取るフリでその実嫌味たっぷりに鬱陶しく絡んでくる人が、エドガーの一瞥で退散していくのだ。
あからさまな敵意を向ける人が遠ざかると、面白いことに今度は後ろ暗いことのない善人が気を遣って話しかけてくれるようになった。
彼女たちは本心から私のことを褒めてくれて、それからあなたにはあそこのお店のあのドレスが絶対に似合うと思うの、とオススメの店を教えてくれた。
新手の嫌がらせかもしれないという疑惑を抱きつつも、アンバーとそれらの店を回ると、確かに私の容姿やスタイルにぴったり合うものばかりだということが分かった。
すっかり人間不信になっていたせいで、失礼なことを考えてしまったと深く反省してその日は眠れなかった。
彼女たちは本心から善意で接してくれていて、私は嫌味な人間に傷付けられるものかと頑なになっているうちに、そういう人達さえも遠ざけてしまっていたのだろう。
そのことにようやく気付いたのだ。
そうやって善意に触れるうちに、私は身を飾ることへの興味を取り戻していた。
なにより、私が選んだものをエドガーが手放しで褒めてくれるのが単純に嬉しかった。
今までどんな男性に褒められてもちっとも嬉しくなかったのに、それどころかちょっと気持ち悪いとさえ思ってしまっていたのに、好きというその感情のみでこうも感じ方が変わるのかと驚いてしまう。
「それなら良かったです。では明日は服飾店巡りをいたしましょう」
ぱちんと両手を合わせてミランダが嬉しそうに言う。
「楽しそうね。私、ミランダのドレスを選んでみたいわ」
「素敵! でしたら私はシェリル様のドレスを選びます!」
生き生きとした顔で、興奮気味にミランダが言う。
「そのドレスを着て、私たちだけの小さなパーティーを開きましょうよ。ねえアンバー、出来るかしら?」
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二人の遠慮ない物言いに最初は衝撃を受けたものだけど、お互いへの信頼と好意を感じられることに気付いてからは、二人の関係が少し羨ましくなった。
ミランダと仲良くなれて嬉しいけれど、彼女にとっては普通のこと。
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エドガーも、間違いなくミランダのことを大好きだ。
ようやく同性の友人が一人できたばかりの私と、メイドからさえも慕われるミランダと。
一体どっちが上かなんて、比べるまでもない。
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